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愛知銀行 Research Memo(3):15/3期の経常収益はほぼ横ばいとなったが、利益は大幅な増益

2015/7/16 16:53 FISCO
*16:54JST 愛知銀行 Research Memo(3):15/3期の経常収益はほぼ横ばいとなったが、利益は大幅な増益 ■決算動向 (1)銀行の収益構造 銀行の収益構造を見るポイントについて説明する。一般の事業会社の売上高と営業外収益を足し合わせたものが「経常収益」と呼ばれるもので、貸出金利息や有価証券利息配当金等の資金運用収益や各種手数料収入などによって構成されている。そこから、資金利息等の資金調達費用や経費、与信費用(貸倒引当金繰入額や不良債権処理額)などの「経常費用」を差し引いたものが「経常利益」となっている。 ただし、銀行本来の収益力を判断する上で重要となるのは、「業務粗利益」及び「業務純益」と呼ばれる指標である。「業務粗利益」は、一般の事業会社の売上総利益に相当するもので、「資金利益(貸出及び有価証券等による運用収益から預金等による調達原価を差し引いた利ざや収益)」と「役務取引等利益(送金や各種金融商品の販売等に関する手数料収益等)」、「その他業務利益(外国為替売買損益、国債や株式の売買損益等)」で構成される。また、「業務粗利益」から「経費」と「与信費用の一部(一般貸倒引当金繰入額)」を差し引いたものが「業務純益」となる。また、同行が目標とする経営指標の「コア業務純益」とは、一般貸倒引当金繰入前の業務純益から国債等債券売買損益を除いたものである。 業務粗利益を稼ぐためには、その大部分を占める資金利益の重要性が最も大きい。資金利益を増やすためには、預貸金残高をバランスよく増加させるか、預貸金利ざやの拡大を図ることがポイントとなるため、その両面に注目する必要がある。一方、資金利益に依存せずに業務粗利益を増やす手段として各行が注力しているのが役務取引等利益の拡大である。これは信用リスクを伴わない収益源として魅力があり、送金や事務手数料のほか、銀行窓口で取り扱いが可能となった投資信託や各種保険商品など預かり資産による手数料収入が含まれている。また、同行を含めてすべての地銀がそうであるが、預金残高が貸出金残高を上回ることによる余剰資金が発生しており、そのほとんどを有価証券で運用しているため、運用パフォーマンス(受取利息や配当金等による有価証券利回りのほか、売却損益や評価損益の状況等)も注意すべき項目である。 特に最近の傾向として、貸出金利回りの低下(預貸金利ざやの縮小)に伴う資金利益の減少を、国債及び株式の売却益や過去に積み増した貸倒引当金の戻入益によってカバーする構造が業界全体でみられるため、収益の増減要因を正確に把握する必要がある。 (2) 2015年3月期決算の概要 愛知銀行<8527>の2015年3月期の連結業績は、経常収益が前期比0.1%減の49,298百万円、経常利益が同12.7%増の9,735百万円、当期純利益が同13.3%増の5,822百万円と経常収益はほぼ横ばいながら大幅な増益となった。また、同行予想(2014年11月増額修正後)に対しても、経常利益が139.1%、当期純利益が138.6%と増額修正計画をさらに上回る結果となった。貸倒引当金の戻入益が主因である。 また、銀行単体の経営指標については、業務粗利益が前期比0.6%減の35,187百万円、業務純益が同6.2%減の7,889百万円、経常利益が同15.5%増の9,290百万円、当期純利益が同15.3%増の5,674百万円であった。業務粗利益及び業務純益は前期比で減益となった一方、経常利益及び当期純利益では増益となった。また、連結業績と同様、ともに増額修正計画を上回る結果となった。 銀行単体の決算概要は以下のとおりである。 業務粗利益が減少したのは、資金利益が前期比2.8%減の30,903百万円に落ち込んだことが主因である。預貸金残高はそれぞれ拡大したものの、市中金利の低下に歯止めがかからないことや競争激化に伴って貸出金利回りが1.31%(前期比0.1%減)に低下し貸出金利息が大幅に減少したことが資金利益の減少につながった。また、役務取引等利益も、注力する預かり資産関連手数料は好調であったものの、受入為替やATM関連手数料等の減少により減益となった。なお、その他業務利益が大きく伸びているのは、国債等の債券売却益によるものである。 経費については、人件費が減少したものの、物件費の増加(名古屋駅前支店の移転に伴う一過性の要因)や消費税増税の影響により全体として増加した。その結果、業務純益は7,889百万円(前期比6.2%減)、コア業務純益も7,076百万円(同16.9%減)とともに減益となった。 ただ、経常利益及び当期純利益が大幅に増益となったのは、与信費用の減少(貸倒引当金戻入益の増加)が計画を大きく上回ったことが主因である。 一方、預貸金残高(末残)の状況については、預金が2兆6,408億円(前期末比1.7%増)、貸出金が1兆6,583億円(同1.3%増)とともに増加した。特に、貸出金については中小企業の資金需要が低迷した2014年3月期をボトムに回復傾向にあり、中小企業向け貸出や個人向け住宅ローンが伸びている。また、預金も個人預金を中心に好調に推移している。 なお、預貸ギャップの拡大に伴う余剰資金は、外債投信などを中心に積み増したことから有価証券残高(評価損益を含む)も1兆1,608億円(前期末比5.9%増)に増加した。そのうち、評価損益(含み益)についても国内の株式相場の上昇等から1,012億円(前期比47.1%増)に拡大している。同社は、市中金利の低下に伴う資金利益の減少が続くなかで、投資環境に適合したポートフォリオへの見直しを行っている。これまでの国債や地方債、社債(シングルA格以上)に大きく偏った構成から、株式や外債、投信等への比率を増やし、市場流動性を重視しながら、リスク分散によるパフォーマンス向上を目指している。2015年3月期は、国内債券の償還資金等を投信(外国投信及び株式投信)にシフトしたことから、有価証券のうち、その他(投信を含む)の構成比率は10.5%(前期末は4.0%)に拡大した。 一方、財務の健全性を示す国内基準の単体自己資本比率は、リスク・アセットの増加等により11.78%(前期は11.95%)に若干低下したが、依然高い水準を維持しており、国内の自己比率規制の4%も大きく上回っている。また、リスク管理債権残高(延滞債権等)の減少により、リスク管理債権比率も3.70%(前期末は4.31%)に大きく低下した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫) 《HN》
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愛知県地盤の第二地方銀行。銀行業を中心に、証券業務や信託契約代理業務、リース業務などを展開。赤字を計上したことのない堅実経営に特徴。非対面チャネルやコンサル機能を強化。業容好調で23.3期1Qは増収増益。 記:2022/08/05