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ソーバル Research Memo(3):事業リスク低減のために受注先を分散

2015/4/21 17:06 FISCO
*17:06JST ソーバル Research Memo(3):事業リスク低減のために受注先を分散 ■2015年2月期連結決算 (2)業績の分析 (a)事業別の売上高 ソーバル<2186>の事業は、大きく2つに分けられる。エンジニアリング事業とその他事業である。 エンジニアリング事業は、ソフトウェア、ハードウェア及びコンテンツの開発・作成を行っている。その約80%がファームウェアという電機製品の組込ソフトの開発・作成となっている。 その他事業は、RFID(ICタグに代表される、電波及び電磁誘導方式を用いた非接触型の自動認識技術)の製造・販売、スマートフォン向けのアプリや、ポータルサイトの運営などである。エンジニアリング事業が業務請負や、開発技術者を顧客企業に送り込む形で運営されているのに対し、その他事業は、非受注の製品やサービスとなっている。 2事業のうち、エンジニアリング事業の規模が圧倒的に大きい。売上高でその他事業が占める割合は1〜3%程度である。2015年2月期では、その他事業は1.8%、エンジニアリング事業が98.2%の比率になっている。 以上を踏まえたうえで、事業別の売上高を見てみると、エンジニアリング事業は、前期比4.4%増の6,798百万円となった。 一方、その他事業は、同7.4%増の121百万円となった。その他事業の大部分を占めるRFID事業が伸びた。これは、主にソフトバンク<9984>向けで、電波法の改正に伴って生じた置き換え需要で、2014年2月期から続いている。 売上面で特筆すべきなのは、同社が事業リスク低減のために推進しているキヤノングループ以外の顧客からの受注が着実に伸びていることであろう。同社の売上高に占めるキヤノングループ向けの売上高の比率は、2014年2月期比で2.7ポイント減の63.3%まで低下した。代わって伸びたのが、キヤノンに次ぐ大口顧客であるソニーグループからの受注である。同2.4ポイント増の11.9%になった。第3位の大口顧客である富士通<6702>及び同グループは同0.1ポイント減の8.5%、第4位のNTT<9432>及び同グループは同0.2ポイント減の3.7%となっている。また、これら顧客以外からの「その他」受注は同0.6ポイント増の12.6%となった。 ソニーグループからの受注が拡大したのは、スイッチャーなどの放送機器関連や、ホームネットワーク系の受注が急拡大しているためである。ちなみに、ホームネットワーク関連はIoT(インターネットオブシングス)の普及によって今後も益々、需要拡大が見込める。放送機器関連の受注は、2012年の東京オリンピックに向けてさらに拡大が期待され、収益源の1つとして成長しそうである。 しかし、この結果には、他に注目すべき点が2点ある。第1は、ソニーグループ向け以外の大口顧客の受注が減っているわけではないということである。金額で見ると、キヤノングループ、富士通グループ、NTTグループは横ばいで推移している。ソニーグループ以外の顧客も、非常に大切な顧客であることは変わりなく、良好な関係でバランス良く、コンスタントに受注している。 第2は、売上高の上昇要因でも触れたが、「その他」からの受注の拡大である。新しい顧客が増加していることは、同社の事業リスク低減には大きな意味を持つ。これら顧客が大手の有名企業であることも併せて注目すべきであろう。また、「その他」からの受注は、ファームウェアはもちろん、それ以外のWebや業務系も少なくない。ファームウェアは顧客企業の製品の開発時期によって売上が上下しやすいが、Webや業務系の開発へと事業のすそ野が広がることで、売上高の標準化も期待できる。 (b)利益 同社は、事業セグメント別の営業利益を公表していない。しかし、2015年2月期の連結ベースでの売上高営業利益率は8.0%と、同社が安定成長に欠かせないとしている7%台を越える寸前の水準になっている。これは2014年2月期通期の7.8%を上回っている。 繰り返しになるが、これは、本社移転に伴う業務効率の向上による売上高の増加と、利益率の高い、高付加価値の案件が従来以上に増加しているためである。 (c)財務状況 一方、財務状態は相変わらず、極めて良好で無借金経営を維持している。業容の拡大に伴い、資産が増えたものの、連結の自己資本比率は70.8%と極めて高い水準となっている。 キャッシュフローも潤沢にある。なお、投資活動によるキャッシュフローのマイナス幅の増加は定期預金の預け入れ(100百万円)と新本社ビルの保証金(126百万円)を計上したためで、財務活動によるキャッシュフローのマイナス幅の増加は、次に説明する自己株式の取得による支出(136百万円)、配当金の支払い(112百万円)を計上したためである。 さらに、現金及び預金の期末残高も1,783百万円と、2014年2月期末に比べて20.7%も増加している。これは、以下に述べるM&Aの費用として準備した分も含まれる。 (d)配当 期末に1株当たり18円を配当する。期初計画から5円増配に踏み切る。同社は、2015年2月期から配当性向を今までの30%から35%に引き上げた。しかし、第2四半期の配当13円を加えると、配当性向は40.1%となる。これは、長期保有の株主への還元をより厚くするのが目的である。同社は安定成長の持続に自信を持っており、長期に株式を保有すれば、今まで以上に毎期配当が増えていくということを投資家に暗に示唆している。 さらに、同社は、配当のほかに株主優待制度も導入している。2015年2月期からは、QUOカードを保有単元に応じて配る。8月31日時点での株主に対し、1〜4単元(1単元は100株)の保有で500円、5単元以上の保有で2,000円分を送る。これも、長期に大量保有する株主を増やすことが目的である。 なお、株主還元を重視するという面からは、これらのほかに、2014年12月に自社株買いを実施した。自己株式を除く発行済み株式の3.49%に当たる15万1,900株を市場から購入し、自社株を含めた15万2,200株を一括消却した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光) 《FA》
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