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MDV Research Memo(5):「地域医療ビジョン」策定で経営支援システムのニーズ高まりへ

2015/4/14 16:27 FISCO
*16:31JST MDV Research Memo(5):「地域医療ビジョン」策定で経営支援システムのニーズ高まりへ ■中期展望 日本は、「国民皆保険」や「フリーアクセス」などの社会保障制度の充実により世界トップクラスの長寿国となった。しかし、急速に進む少子高齢化と人口減少に制度の持続可能性が問われている。2013年度の国民医療費は前年度比2.3%増の40.1兆円とGDP比8.3%になった。同年度の国民医療費のうち、後期高齢者が35.4%を占めた。 厚生労働省による人口1人当たり年齢階級別国民医療費の調査(2012年度)によると、総数の307.5千円に対し、60歳未満は117.1千円、65歳以上が717.2千円と年齢階級間の格差が大きい。特に75歳以上の後期高齢者は892.1千円と総数を大きく上回る。 団塊の世代は、2015年に65歳以上の高齢者となり、2025年には75歳以上の後期高齢者入りする。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(2012年1月推計)によると、65歳以上の人口が2010年の2,948万人から2020年に3,612万人へ、2030年には3,685万人へ増加する。同期間の75歳以上人口は、1,407万人から1,879万人へ、さらに2,278万人へと増加する。1人当たり医療費が高い高齢者人口の増加により、老人医療費が急増することになる。一方、生産年齢人口(15~64歳)は2010年の8,103万人から2020年に7,341万人へ、2030年には6,773万人に減少する。その結果、高齢者人口を支える生産年齢人口の比率は、2010年の2.8人から2020年に2.0人へ、さらに2030年に1.8人に減少することになる。 現在の年金・医療・介護のサービス水準を維持するだけでも、毎年1兆円以上の税金投入が増加する。財源を確保できなければ、費用が増え続ける現在の制度を持続することは困難になる。高齢者は、所得が少ないため保険料が現役世代より小さいものの1人当たり医療費が高い。少子高齢化の進行は、医療保険財政をひっ迫させる。国は、医療保険制度財政の安定化のため、「自己負担の引き上げ」と「診療報酬の引き下げ」を行ってきた。医療保険制度の70歳以上の被保険者本人の自己負担は、かつてなかったが、70歳以上74歳の自己負担率を1割に、そして2014年4月から2割へと引き上げた。診療報酬は、2年ごとに改訂されてきた。 介護を必要とせず健康的に生活できる期間を示す健康寿命(2013年)は、男性が71.19歳、女性が74.21歳であった。平均寿命との差は、男性で9.0年、女性で12.4年になる。平均寿命が延びて要介護期間も長くなるのでは医療費がかさむため、健康寿命の延伸が必要となる。 国は2025年に向けて、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築を計画している。医療の「病院完結型」から「地域完結型」への転換、「病床の機能分化・連携、在宅医療の推進」、「地域包括ケアシステムの構築」がうたわれている。東大では、若者への依存から、若者との共存共栄を目指して、「入院を外来に、外来を家庭に、家庭で健康に」のコンセプトを打ち出している。「自分で守る健康社会」の実現のため、個人が健康維持と医療保険制度財政の安定化を他人事ではなく「自分事」と認識することが求められる。 2014年6月の医療法改正により、都道府県が病床機能分化に向けた施策における権限を強化する。病床の機能は、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分けられる。医療機関が提出する現状と今後の方向性に関する報告をもとに、都道府県は4機能の将来の必要量を含む「地域医療ビジョン」を策定する。ビジョン実現のため、医療機関と「協議の場」を設けるが、協議に従わない場合は罰則を科すことができる。都道府県は、病床機能分化を加速するための権限が増すことになる。特に人口減少が危惧される地方では、地域医療の機能のボリュームを変化する実態に合わせて調整する必要がある。自院の位置付けを変えた場合、どのような変化が経営に及ぶかシミュレーションする経営支援システムのニーズが高まろう。 2014年6月に発表された「日本再興戦略改訂版」は、健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供を目指して、メディカル・データ・ビジョン<3902>も関わる医療・介護領域における3つの重点を挙げた。それらは、1)医療・介護等を一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の創設、2)個人に対する健康・予防インセンティブの付与、3)保険外併用療養制度の大幅拡大だ。1)の非営利ホールディングカンパニー型法人制度では、法人の合併を伴わない組織統合によるグループ化が進展することになる。地域病院のグループ経営には、グループ内病院の経営の見える化や素早い決算報告、機能分担や連携のためのグループ全体の経営を分析するシステムが求められるであろう。 日本再興戦略改訂版は、新たなテーマ銘柄「健康経営銘柄(仮称)」の設立を検討するとしている。経済産業省は、これまで、「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選」(経済産業大臣表彰)を2012年度から実施。また、東証と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定している。今5月には、経営革新や競争力の強化のためにITの積極的活用に取り組んでいる企業を「攻めのIT経営銘柄」として選ぶ予定だ。「健康経営銘柄」は、健康経営に取り組む優れた企業が社会で評価される枠組みなどを構築する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《FA》
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時価総額 20,134百万円
医療情報統合システムの製作・販売、医療データの分析・調査・コンサル等を行う。病院経営改善アプリケーション「MDV Act」などを手掛ける。SBIHDが筆頭株主。クラウド型健診システムの拡販を図る。 記:2024/08/29