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MDV Research Memo(3):豊富な実証データに基づく医療の実現を目指して事業を展開

2015/4/14 16:23 FISCO
*16:25JST MDV Research Memo(3):豊富な実証データに基づく医療の実現を目指して事業を展開 ■会社概要 (2)事業概要 社名「メディカル・データ・ビジョン」(MDV)には、“豊富な実証データに基づいた医療の実現”という意味が込められている。設立目的は、医療や健康分野のICT化を推進し、人々の健やかな生活に貢献することである。生活者が、生涯を通じて自身の医療・健康情報を把握できる社会、それらの情報をもとに、医療・健康分野のサービスを選択できる社会を目指している。 2014年12月期の売上高1,950百万円の事業別内訳は、データネットワークサービスが62.2%(パッケージ:25.8%、メンテナンス:33.6%、その他:2.7%)と、データ利活用サービスが37.8%(顧客用分析ツール「MDV analyzer」:11.0%、顧客の注文に応じて同社が分析を行う「アドホック調査サービス」:26.7%)になっている。 メディカル・データ・ビジョン<3902>の経営理念は、「医療や健康分野のICT化を推進し、情報の高度活用を図る」である。しかし、そのためにはまずデータベースを構築する仕組みが必要であったため、医療経営支援ツールなどを開発し、病院との関係構築を図った。2003年になるとDPC制度が導入され、この市場の変革期に現在の事業の柱となる「EVE」を投入したことが同社飛躍のきっかけとなった。 2003年4月に、厚生労働省は急性期入院医療の包括払い制度を導入した。従来の医療費の計算方式は、すべて診療行為ごとの出来高払いであったが、DPC制度における計算方式は、入院1日当たりの定額支払いと出来高払いの組合せになっている。定額制度は入院基本料、検査、レントゲン、投薬・注射などの項目を対象とし、手術、麻酔、胃カメラ、リハビリなどは引き続き出来高払いが適用されている。 包括払い制度では、DPC(診断群分類)に基づいて評価され、入院1日当たりの定額が決められる。包括支払い制度はDPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)と呼ばれる。患者の病気(診断群分類)に応じた定額が支払われるため、医療者は効率的で効果的な医療を行うことで利益を増やすことができる。 DPC方式はすべての入院費に当てはまるものではなく、主には急性期の医療機関にかかる患者を対象としている。 全国のDPC対象病院数は、制度導入時の2003年には82だったが、2006年以降加速的に増え、2009年に1,000を突破し、2014年に1,585へと増加した。 同社のDPC分析ベンチマークシステム「EVE」の導入件数は、製品リリース時である2006年の33から、2009年には429、2014年は705となった。「EVE」の導入件数は、DPC準備病院等も含んでおり、DPC対象病院に限定すると2014年末のシェアは42.4%になる。 2014年末の「EVE」の導入病院数累計は、前年の709から705になっているが、社会保険病院の医療機関の再編で組織がまとまったことによるもので、収益に影響を与えるものではない。「EVE」の年間販売件数は、2014年12月期が58と前期の53から増加した。 DPC分析ベンチマークシステムはその専門性から、電子カルテなどの基幹システムに注力している大手ITベンダーとの直接的な競争は避けられた。同市場セグメントは主に、同社とニッセイ情報テクノロジー(ニッセイグループのIT子会社)、ヒラソルの3社で構成されている。その中で同社は、42.4%のシェアを誇っている。 「EVE」では、疾患別・症例別に、出来高請求とDPC請求の差額把握はもちろんのこと、患者数・在院日数・医療資源などの各種指標や詳細情報を把握できる。しかし、「EVE」が真価を発揮するのは、他院比較ができるベンチマーク機能で、自院の強みと弱みがわかることにある。42%超のシェアを誇るため、ベンチマークできる病院数が多く、より精緻なベンチマーク分析が可能となる。自院の診療傾向を他院と比べ、より客観的に改善点を見つけ、医療の質と経営の質の両立を図ることができる。 ・DPC制度により診療データが共通フォーマット化 国が定めたDPCフォーマットのデータ出現により、病院間の詳細なデータ比較が容易になった。同社においても、こうしたことが背景となり、共通フォーマットを使った分析システムとして「EVE」を開発することができた。 同社がDPC分析ベンチマークシステムで大きなシェアを獲得した背景には、地道な営業努力に加え、ユーザ会の組成、勉強会やセミナーの開催などユーザ支援を熱心に行ったことが大きい。ITシステムの活用は、ともすれば数値の分析のみに終始し、病院経営の課題解決に至らないことが多い。同社のシステム導入病院は、お互いの診療データを見せ合うことで、自院と他院及びベンチマークとの比較ができ、それぞれの経営改善が可能になる。利用者の自助だけではなく互助の精神が、当社データベースを拡大する原動力になっている。 同社の経営支援システム「Medical Code」は、DPCデータや電子レセプトデータなどの標準フォーマットデータを活用して、目に見えない様々な経営課題の解決を支援する。院内での情報共有から意識改革・行動誘発まで促す。原価基礎分析はもとより、患者日別原価計算、コメディカル部門採算分析、薬剤処方改善、算定率向上、症例検索、診療報酬改定シミュレーションなどが行える。「現状把握」から「改善効果確認」までの工程や対策をシナリオ化し、目標→手段→経過を明確にした経営改善を可能にする。薬剤処方改善では、自院の薬剤銘柄数や後発品(ジェネリック医薬品)採用率など、薬剤の使用状況の把握及び他院と比較(ベンチマーク)することが可能になる。薬剤切り替えシミュレーションによる適切な薬剤選定も支援する。 国は、医療情報データベースの有用性を認識している。日本では薬を服用した人数を調べる方法が非常に限られており、副作用への対応が遅れることが懸念されている。2011年5月に、厚生労働省は7大学病院を含む10病院群を選定して、2011年度から3年間で総額約20億円をかけ、1,000万人規模の医療データベース「MID-NET」を作ることを目指した。費用は、国と企業の折半となる。しかし、2012年度における目標達成率は10%、データベース構築数も当初見込みの8に対してわずか2にとどまった。2013年度の時点でも、データベース構築に約9ヶ月の遅延が生じた。 一方、同社は2014年末時点で167病院、897万人の患者に関する診療データベースを作り上げた。2015年3月末には、データベースの規模が186病院、974万人に拡大した。同社は、2015年度中に1,000万人規模に到達するとみている。民間企業が、国が目標とした規模並みを実現することになる。 厚生労働省は、薬価が先発品よりも低い後発品の使用を奨励している。後発品の数量シェアは、2011年9月の39.9%から2013年9月には46.9%へ上昇した。さらに、2018年3月までに同シェアを60%に引き上げることを目標としている。ジェネリック医薬品のシェアを高める際、ベンチマークを後発品への切り替えの根拠とすることができる。 従来、薬品会社が利用していたデータは、メーカー及び卸売会社の出荷データであり、営業上の優勝劣敗の判断に使われていた。一方、同社が提供するデータベースは、収集が難しく、把握が困難とされていた、病院における薬剤処方や疾患規模の実態などを明らかにするものである。データ粒度が細かく、病名、全診療行為、薬剤情報を日単位で所持し、薬剤処方実態の詳細な把握ができ、薬剤マーケティングだけでなく新薬の開発や企業戦略を強力に支援する。 サービスに利活用される診療データベースは、病院からデータの2次利用許諾を得たうえで、DPCデータ/レセプトデータをもとに構築している。個人情報保護の観点から、取り扱うデータはすべて匿名化処理を行っている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《FA》
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時価総額 20,134百万円
医療情報統合システムの製作・販売、医療データの分析・調査・コンサル等を行う。病院経営改善アプリケーション「MDV Act」などを手掛ける。SBIHDが筆頭株主。クラウド型健診システムの拡販を図る。 記:2024/08/29