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キトー Research Memo(6):アジアは不振だが、主力の国内・米州が好調

2014/12/12 17:27 FISCO
*17:27JST キトー Research Memo(6):アジアは不振だが、主力の国内・米州が好調 ■業績動向 (1)2015年3月期第2四半期(実績) ●損益状況 2015年3月期第2四半期の決算は売上高18,400百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益855百万円(同26.7%減)、経常利益892百万円(同25.6%増)、四半期純利益504百万円(同32.2%減)となった。売上高は円安効果があったものの4.2%増にとどまり、期初予想(11.6%増)を下回った。日本、米州は好調であったが、中国、アジア(主にタイ)は予想を下回った。 セグメント別売上高は、日本が5,182百万円(同3.6%増)、米州が6,151百万円(同10.3%増)、中国が4,073百万円(同5.7%増)、アジア1,796百万円(同13.2%減)、欧州891百万円(同18.3%増)、その他304百万円(同23.8%減)となり、海外売上高比率は71.8%となった(下表参照)。 またセグメント利益は、下表のように日本が2,097百万円(同23.6%増)、米州が126百万円(同69.2%減)、中国が390百万円(同2.6%減)、アジアが314百万円の損失(前年同期5百万円の利益)、欧州が18百万円(同563.6%増)となった。 日本では期初に消費税増税の反動があったが、以後は全般的に拡大基調が継続した。建築土木の工事に遅れがみられたものの、民間設備投資向け需要は堅調に推移した。さらに米国向けの輸出が好調に推移し、輸出採算の改善を図ったことからセグメント利益も増益となった。 米国では製造業を中心に幅広い産業向けに需要は堅調に推移し、ドルベースでの売上高は10.8%増となった。カナダは依然として前年同期比では減少しているが、前四半期からは回復しており、受注は前年並みとなった。その結果、米州全体では円安効果もあり前年同期比で10.3%の増収となった。しかしセグメント利益は、下記のような「未実現利益の消去(在庫の評価減)」を行ったため、大幅な減益となった。ただしこれらの在庫製品が、下半期以降に外部顧客に対して売上高として計上(実現)されれば、大幅な増益要因となる。(未実現利益の消去についての詳細は下記参照) 中国では経済の先行きが不透明であることから、もともと増収率を数%と低く予想していた。しかし需要は予想以上に弱く、現地通貨ベースでは減収となった。特にキトー<6409>の主要顧客であるローカル企業から需要が底割れした。ただし上表のように人民元の平均レートが円安(15.4円⇒16.7円)になったことから、円ベースの売上高は増収になったが、セグメント利益は前年同期比で2.7%減となった。 アジアでは全体として伸びが鈍化しており、特にタイは政情不安の影響もあって現地通貨ベースで20%近い減収となったもよう。このためアジア全体では13.2%の減収となり、セグメント利益は赤字となった。欧州ではドイツが予想より悪かったが、全体の売上高、セグメント利益はほぼ予想線であった。全体としての規模が小さいため、大手顧客の動向に左右されてしまう傾向がある。 全社的な内部努力(生産性の向上)や円安効果などもあったが、米国子会社での未実現利益の評価減などもあって売上総利益率は35.6%(前年同期比0.1%増)とほぼ横ばいとなった。この結果、売上総利益は6,558百万円(同4.6%増)となったが、販売管理費が5,703百万円(同11.8%増)となったことから、営業利益は大幅減益となった。販売管理費は前年同期比で600百万円増加したが、その主な内訳は、親会社での販売方法変更に伴う販売促進費250百万円増、人材教育費等100百万円増、子会社(タイ、韓国)での工場稼動に伴う経費増150百万円、為替の円安による影響100百万円など。 以上のように、2015年3月期第2四半期は数字的には大幅減益となったが、内容は数字ほど悪くはないようだ。中国はやや停滞し、アジアが不振であったが、主力の国内、米州が好調だからだ。好調にもかかわらず米国の利益が大幅減となったのは、下記に述べるような会計上の処理が影響しており、製品の動き自体は好調であることから下半期以降には回復が期待できそうだ。 【未実現利益の消去】 例えば、親会社P社が100で仕入れた(または製造した)製品に、20の利益を上乗せして120で海外子会社(S社)に販売したとする。この場合、連結決算(P/L上)ではP社の売上高(120)とS社の仕入高(120)は相殺消去されるが、子会社S社のBS上では、120の製品在庫が残る。しかしこの120の内の20(利益分)は外部顧客へ販売されない限り実現されないので、この製品が子会社に在庫として存在するうちは、在庫の評価減(P/L上の損失)を計上する必要がある。 言い換えれば、親会社が100で仕入れた製品が子会社へ移動しただけで120になることはおかしいので、この修正仕訳(子会社の在庫評価減)が必要になる。ただしその後、この製品が外部顧客へ販売された場合には、利益が計上されることになる。 ●財政状況 2015年3月期第2四半期末の財政状況は下表のようになった。流動資産は35,607百万円(前期末比7,686百万円増)となった。主要科目では現預金が8,139百万円(同1,908百万円増)、受取手形及び売掛金9,182百万円(同232百万円減)、たな卸資産15,958百万円(同5,631百万円増)となった。たな卸資産の増加は、主に海外子会社で年末商戦に向けて在庫が増加したことに加え、第2四半期末(9月末)に急速に円安になったことによる。固定資産は20,371百万円(同7,190百万円増)となったが、内訳は有形固定資産11,367百万円(同1,363百万円増)、無形固定資産7,617百万円(同6,422百万円増)、投資その他資産1,386百万円(同596百万円減)であった。無形固定資産が大幅に増加したのは、8月に買収したPEERLESS社(米国最大のチェーン製造会社)の「のれん代」約5,000百万円を計上したことによる。(詳細後述)この結果、資産合計は55,982百万円(同14,874百万円増)となった。 流動負債は28,249百万円(同15,720百万円増)となったが、主な変動は上記のPEERLESS社買収のために短期借入金が14,282百万円増加したことによる。一方で、固定負債は社債の償還等により5,064百万円(同1,512百万円減)となった。純資産は22,669百万円(同665百万円増)となったが、主に当期純利益の計上による。 ●キャッシュ・フローの状況 2015年3月期第2四半期のキャッシュ・フローは下表のとおりであった。営業活動によるキャッシュ・フローは1,353百万円の収入となったが、主な要因は税金等調整前当期純利益950百万円、売上債権の減少による収入2,187百万円、たな卸資産の増加による支出1,153百万円など。投資活動によるキャッシュ・フローは7,816百万円の支出となったが、主に子会社株式(PEERLESS社)の取得による支出7,477百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは9,028百万円の収入となったが、主に短期借入金の増加による収入14,763百万円、長期借入金の返済による支出4,881百万円など。この結果、期間中の現金及び現金同等物は1,790百万円増加し、期末の残高は8,126百万円となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《FA》
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搬送機械メーカー。チェーンブロックやロープホイスト等の巻上機からレバーブロックやクレーン等の多様な製品を手掛ける。インフラ需要継続で米州は好調。為替差益を計上。23.3期2Qは2桁の増収、経常増益。 記:2023/01/14