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スイス総選挙でフラン安【フィスコ・コラム】

2023/10/8 9:00 FISCO
*09:00JST スイス総選挙でフラン安【フィスコ・コラム】 スイス国立銀行(中央銀行)による予想外の政策金利据え置きで、スイスフランの軟調地合いが続いています。一方、10月22日の議会選は移民問題が争点の1つ。ポピュリスト政党の支持拡大は同国経済の先行きに不透明感をもたらし、一段の下押し要因になりかねません。 スイス中銀は9月21日に開催した定例会合で、6会合ぶりに政策金利の据え置きを決定。市場は一段の引き上げを予想していたのでネガティブ・サプライズとなり、フランはドルやユーロ、円に対して大きく売り込まれました。同中銀は昨年6月、他の主要中銀に追随する形で利上げサイクル入り。政策金利はこの間、-0.75%から+1.75%まで引き上げられ、金融政策は正常化されています。 同国の消費者物価指数(CPI)は1年前に前年比+3.5%まで上昇したものの、それをピークに物価高は沈静化に向かい、直近では+1.6%に鈍化。今年6-8月は中銀目標上限の+2%を割り込みました。ジョルダン総裁はインフレ圧力の緩やかな低下とフラン高の回避を政策据え置きの理由としています。加えて、足元の経済指標では景況感の弱さが目立ち、今後の減速が警戒されたこともあるでしょう。 フランはその後売り買い交錯でもみ合っていますが、10月22日の任期満了に伴う議会選もフラン売り要因になる可能性があります。同国の総選挙は4年ごとに上院46議席、下院200議席が争われます。前回2019年は気候変動などへの関心の高まりを背景に、緑の党が議席をほぼ倍増させました。ただ、その後のコロナ禍やウクライナ戦争を経て、今回は有権者の注意は生活に向けられているようです。 事前の情勢調査によると、環境や医療保険よりも移民問題が重要な争点となっています。スイスの人口は年内に900万人を突破する見通しで、移民の増加が主要因と考えられているためです。第1党で右派ポピュリズムの国民党は移民について「行き過ぎた流入」と批判し、支持率が過去最高水準に達しました。このまま投票に向け、他の右派勢力とともに党勢を強めそうです。 スイスの政治制度は、国民党のほか急進民主党(中道右派)、中央党(同)、社会民主党(中道左派)、の議席数上位4党から独特の配分率によって7人の閣僚が選出される大連立に似た仕組み。議会での与野党対立はみられないものの、選挙結果は民意をほぼ正確に反映していると考えられます。移民の受け入れに寛容さが失われれば人手不足は解消できず、成長の鈍化を警戒した中長期的なフラン安につながるとみます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》