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コラム:ユーロは当面もみ合いか
2023/8/13 9:00
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*09:00JST コラム:ユーロは当面もみ合いか ユーロは欧州中央銀行(ECB)による次回の政策決定に向け、方向感の乏しい展開が予想されます。当局者内で金融引き締めをめぐり見解が分かれるなか、ドイツ経済の弱さが鮮明になればユーロ売りが優勢となりそうですが、一方で、米利下げ観測が強まればドル売り基調となりユーロは下げづらいでしょう。 ユーロ・ドル相場は今年前半、おおむね1.05-1.10ドルを中心にもみ合っていましたが、7月に入り上昇基調を強める場面がありました。その際に心理的節目の1.10ドルを上抜け、年初来高値となる1.1275ドルまで値を切り上げました。ただ、それをピークに反落し、再び1.10ドルを下回っています。ユーロは主にドル売りによって押し上げられたものの、最近はドル高のため失速しているようです。 ECBは7月27日に開催された理事会で、市場の予想通り0.25%の利上げを決定。しかし、ラガルド総裁は9月4日の次回理事会の政策方針について「オープン」としてデータ次第のスタンスを示しています。6月の理事会での7月の利上げに関する「予告」めいた発言と比べ歯切れの悪さが目立ち、市場はタカ派的なトーンを弱めたと受け止めました。このECBの利上げ終了観測が足元のユーロ売り要因になっています。 足元で発表されたユーロ圏経済指標では、域内総生産(GDP)が予想を小幅に上回ったほか、消費者物価指数(CPI)は伸びの鈍化が目立ちます。ただ、消費者信頼感指数は改善とはいえプラスにはほど遠く、楽観視できません。特にドイツの弱さは深刻で、域内全体への影響が見込まれます。2023年のユーロ圏は当初の減速見通しに戻りつつあり、今後の利上げ継続の必要性は弱まるでしょう。 ユーロを目先支える要因としては、顕著になっている域内の貿易収支の改善が挙げられます。ECBが9月も引き締めを継続するためには、主要経済指標、特にインフレ統計の高止まりと今後の方向性が重視されそうです。ラガルドECB総裁は金融政策が力強く伝達され始めているとの認識をもちつつ、タカ派姿勢を崩していません。ただ、ハト派的な見解も目立ってきており、引き締め継続の思惑は交錯が見込まれます。 他方、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に関しても思惑が交錯しています。7月25-26日の連邦公開市場委員会(FOMC)では慎重姿勢が目立ち、引き締め長期化観測の後退で長期金利は低下しました。しかし、米国債格下げによる長期金利への上昇圧力でドル高に振れると、ユーロを下押ししています。一方、今月のジャクソンホール会合でFRBの利上げ終了に思惑が広がればユーロを支える要因となるでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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