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(3)マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜
2021/8/12 15:08
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*15:08JST (3)マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜 以下は、2021年8月2日にYouTubeチャンネル「FiscoTV」で配信された「マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜」である。フィスコアナリストの白幡 玲美氏とフィスコアナリストの小林大純氏が、対談形式で2021年前半の株式相場、それにマザーズ市場の概況について解説している。3回に分けて配信する。 白幡: こんにちは、フィスコアナリストの白幡 玲美です。ここからは今後のマザーズ市況やマザーズ企業の決算発表での注目ポイントに触れたのち、マザーズ先物を活用するメリットについてフィスコアナリストの小林大純(こばやし ひろずみ)さんに解説して頂きます。それでは小林さん、宜しくお願いします。 (資料 マザーズ指数の推移 2021年前半) 小林: はい、宜しくお願いします。まず2021年前半のマザーズ指数の動向をおさらいしたいと思います。マザーズ指数は2月16日に取引時間中の年初来高値1340ptを付けると、5月にはアメリカの消費者物価指数(CPI)の急伸を受けてパフォーマンスが悪化する場面もありました。ただ、その後持ち直し、昨年末水準を若干上回って今年前半を折り返しました。昨年10月の高値1368ptを付けて以降、IT・インターネット関連銘柄から景気敏感色の強い銘柄に投資資金をシフトする動きが続き、マザーズ指数の上値の重さにつながりました。また、景気回復に伴う金利水準の上昇もマザーズ銘柄のような新興成長株にとって逆風となります。 白幡: それでは今後もマザーズ指数は上値の重い展開が続くのでしょうか? 小林: いえ、7月後半から8月前半にかけて予定される4-6月期決算発表を挟み、マザーズ指数は上値を試す場面も出てくると考えています。まずアメリカの金利水準は昨年に比べ高いとはいえ、このところ伸び悩んでいます。インフレや景気が過熱すればアメリカの中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の縮小に着手するとみられていますし、景気回復期待が根強い一方でピークアウトへの懸念もくすぶっているため、金利水準が早々に大きく上昇するとは考えにくいでしょう。経済情勢や金融政策の先行きを巡る波乱も想定しておく必要がありますが、今年前半と比べるとインフレ観測の高まりや金利水準の上昇が新興成長株の株価を押し下げる場面は少なくなるとみています。但し、7月には国内外経済の減速懸念から米金利水準の低下とともにマザーズ指数が下落する場面もありました。マザーズ市場は個人投資家や海外投資家といった純投資家の売買シェアが特に高いため、投資家心理の悪化には注意する必要があります。 白幡: それではマザーズ企業の事業環境や業績動向についてはいかがでしょうか。 小林: はい。1回目の緊急事態宣言が発出された昨年4-6月期は巣ごもり消費を取り込んだEC(電子商取引)関連企業を中心に業績を大きく伸ばし、マザーズ指数が昨年10月にかけて上昇する要因の1つとなりました。今年の4-6月期は前年同期のハードルが高い点に注意する必要がありますが、既に昨年7-9月期以降の決算を経て一過性の需要のはく落は株式市場も織り込んでいると考えられます。これはマザーズ指数が昨年10月高値をピークに伸び悩んだこと、EC関連銘柄等の株価が調整を強いられる場面があったことからも言えるでしょう。他方で社会のデジタル化はコロナ禍以前からの趨勢であり、IT・インターネット関連企業は中長期的に高成長が期待できるでしょう。今回発表される4-6月期決算で定常時の成長ペースが再確認され、見直される余地は十分あると思われます。EC関連企業なら流通取引総額(GMV)、クラウドサービス企業なら継続課金収益といった重要な経営指標が四半期ごとにどのように推移しているか見てみるとよいでしょう。 白幡: 確かにIT・インターネット関連企業にとって社会のデジタル化の恩恵は大きそうですね。マザーズ指数への影響が大きい個別企業の業績動向についても教えて頂けますでしょうか。 小林: はい。まずマザーズ時価総額トップでフリマアプリを手掛けるメルカリですが、既に2021年6月期の業績修正を発表済みです。本業のもうけを示す営業損益は従来予想が15億円の赤字から15億円の黒字だったのに対し、修正後は45億円の黒字となりました。国内フリマアプリが好調なことに加え、米フリマアプリなどの収益改善も好感されているようです。また、時価総額2位でクラウド会計ソフトを手掛けるフリーは直近の1-3月期も前年同期比で48%増という高い売上高成長率を維持しており、4-6月期の動向が注目されます。 白幡: メルカリやフリーを見ると、今後の売上拡大や利益創出が期待できるマザーズ企業は多そうですね。それではここまでの説明を踏まえたうえで、マザーズ先物を活用するメリットについても解説して頂きましょう。小林さん、宜しくお願いします。 小林: はい、マザーズ先物を活用するメリットとして、少額から手軽に取引できること、少額の元手でも大きな額の取引が可能で、効率の良い投資ができること、現物株の取引ができない時間帯でも対応可能なこと、売りからも入れる柔軟な戦略立案が可能であることの4つが挙げられます。 白幡: それぞれ詳しく教えて頂けますでしょうか。 小林: はい、まず「小額から手軽に取引できる」という点です。7月7日のマザーズ先物終値は1163ptでした。マザーズ先物の最低単位は1枚から、先物価格の1000倍単位からの売買となるので、例に挙げたように116万3000円からということになります。ただ、実際に取引する際はこの金額全てを用意する必要はなく、証拠金という小額の金額を用意すれば始めることができます。7月7日時点のマザーズ先物取引の証拠金は9万円です。つまり、時価総額上位のマザーズ銘柄を現物株で取引しようとすると数十万円から場合によっては100万円以上必要なのに対し、マザーズ先物は10万円未満という金額から取引できるという手軽さがあるのです。 そして、これが2点目の「大きな売買代金で効率の良い投資ができる」にもつながってきます。マザーズ先物は9万円という証拠金を用意するだけで116万3,000円の取引ができるわけですから、およそ10倍のレバレッジがかけられるのです。現物株の信用取引は預けた担保評価額の最大3.3倍程度までの取引となるため、マザーズ先物取引は資金効率がより高いと言えます。 2016年7月の取引開始以降、マザーズ先物の取引高は順調に増えています。個別のマザーズ銘柄に代わり、マザーズ先物を通じて新興株・マザーズ市場に対するエクスポージャーを保有するようになった方が増えてきているのでしょう。 白幡: 小額からでも将来性のあるマザーズ企業に投資できるのはうれしいですね。 小林: はい、次に3点目の「現物株の取引ができない時間帯でも対応可能なこと」についてです。先物は現物株の取引が行えない夕方4時半(16:30)から翌日の早朝5時半までの間も取引を行うことが可能です。これにより、現物株の取引終了後に多くある決算等の会社発表、また夜間の米国発ニュースを受けていち早くマザーズ先物取引で対応することができるのです。個別企業に関する材料でも、マザーズ指数への影響が大きい銘柄ならマザーズ先物の代替性は高いと考えられ、積極的に活用することができるでしょう。例えば先ほどお話したメルカリの業績修正は6月23日、現物株の取引が終了した15時に開示されましたが、マザーズ先物の日中取引は15時15分まで行われているため、メルカリ株の代替目的とみられる買いが多く入りました。決算発表シーズンでも主要企業の業績動向をいち早く確認し、マザーズ先物取引で対応することなどが選択肢として考えられますね。また、マザーズ銘柄を保有しているものの、夜間に海外で株式市場全体へのマイナス影響が想定されるニュースが出た場合、マザーズ先物を売り建てておくといった活用も有効でしょう。 白幡: 確かに取引可能な時間の長さは活用シーンの多さにつながりそうですね。 小林: 最後に「売りからも入れる柔軟な戦略立案が可能」という点です。ほかに売りから入れる方法として、代表的なものに信用取引を活用した空売りがあります。ですが、マザーズ銘柄は流動性などの観点から空売りを行うことが意外と難しいのです。日本取引所グループが空売りできる条件を満たした銘柄として「貸借銘柄」と呼ばれる銘柄群を定めていますが、7月7日時点でマザーズ全上場銘柄373銘柄のうち貸借銘柄は74銘柄しかありません。そのため、貸借銘柄でないマザーズ時価総額上位銘柄を保有している場合、マザーズ先物を短期的な株価下落に備えたヘッジ手段として活用することが考えられますね。例えば長期的に有望な銘柄なのでまだ持っていたいけれど、成長のための先行投資などで目先の決算は心配、また短期的な株式市場の急変が心配、などといったケースが挙げられます。 白幡: なるほど、マザーズ先物を活用するメリットは多いことがよくわかりました。ここまでご清聴頂きありがとうございました。皆様にもマザーズ企業の将来性やマザーズ先物の魅力が伝わりましたら幸いです。ぜひマザーズ先物を活用してみて下さい。 《HT》
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