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【フィスコ・コラム】トランプ大統領は「まさか」のメシア?
2017/2/12 7:00
FISCO
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*07:00JST 【フィスコ・コラム】トランプ大統領は「まさか」のメシア? 米大統領選後に上昇基調が続いていたイスラエル通貨シェケルは、ここへきて伸び悩んでいます。「救世主」(メシア)と期待されたトランプ米大統領の対イスラエル政策が不透明なためです。今後の中東和平に絡む神経質な展開も予想され、株高や通貨高の軌道に乗るにはなお紆余曲折があるかもしれません。 トランプ政権発足を約1カ月後に控えた昨年12月23日、国連安全保障理事会はイスラエルによる東エルサレムを含めたパレスチナの占領地でのすべての入植活動に関し、即時完全停止を求める決議を米国以外の全14カ国が採択しました。オバマ政権だった米国はこの決議に拒否権を行使せず棄権し、採決の実施を事実上容認しています。しかし、就任前からイスラエル寄りの発言を繰り返していたトランプ大統領は政策を転換するとみられ、中東情勢の安定が怪しくなってきました。 波紋を広げたのは、現在テルアビブにある米国大使館のエルサレムへの移転についての方針です。イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得し、その後67年の第3次中東戦争で東エルサレムを併合しています。パレスチナ側は東エルサレムを将来の首都とする方針を変えておらず、エルサレムの帰属は今後の和平交渉に委ねられるとされてきました。米国大使館の移転が実現した場合、米国がイスラエルの主張通りにエルサレムをイスラエルの首都と認めたことになります。 トランプ政権の米国を後ろ盾とみたイスラエル国会は2月6日、エルサレムを含むヨルダン川西岸地域に入植者向けの住宅を建設する計画を可決。これに対し、パレスチナ側は「国際法への挑戦」と強く非難しています。ところが、イスラエル寄りの政策に転換したと思われたトランプ政権は、入植活動を進めるイスラエルの動きは和平実現の支援にならないとの見解を示しました。米国とイスラエルによる2月15日の首脳会談でこの問題はどのように扱われるのか、金融市場でも注目されています。 イスラエルの株価指数、テルアビブ25は昨年11月の米大統領選でトランプ氏が選出された後、対米関係改善を期待した株買いで12月末まで上昇が続きました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ方針継続を背景にドル高に振れやすいなか、シェケルは底堅い値動きとなり、足元では2015年以降の上値抵抗ラインとして意識される1ドル=3.75シェケル付近で推移しました。ただ、年明け以降はネタニヤフ首相の汚職捜査による先行き不透明感から株価が失速し、シェケルも伸び悩んでいます。中東和平に対する懸念も市場の不安を高めています。 ちなみにイスラエルでは、建国から69年後にメシアが君臨して世界を救うとの説があり、2017年がちょうどその年に当たります。就任直後から国際社会を混乱に陥れているトランプ大統領が、イスラエルにとって「まさか」のメシアになるのでしょうか。 「吉池 威」 《MT》
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