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米国株式市場見通し:早期利上げ観測が後退、イエレン議長の講演に注目

2015/3/21 15:53 FISCO
*15:53JST 米国株式市場見通し:早期利上げ観測が後退、イエレン議長の講演に注目 週初は、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策による輸出企業の業績向上やユーロ圏景気回復への期待感拡大から欧州株が全面高となったことが好感されたものの、2月住宅着工件数が市場予想を大幅に下回ったことや連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げに向けて声明文が変更されるとの警戒感から軟調推移となった。注目のFOMCでは予想通り「辛抱強くなれる」との文言は声明文から削除されたものの、4月での利上げについて「可能性は低い」と言及したほか、15年のGDP成長率を下方修正したことから早期利上げ観測が後退したことで、堅調推移となった。週末にかけては、FOMC発表をきっかけとした大幅上昇を受けて、利益確定の売りが散見されたものの、それを上回る買戻しが入ったほか、バイオ医薬品セクターでアルツハイマー病治療薬の臨床試験結果が好感されたことから上昇した。結局、週を通じて主要株価指数は上昇。ナスダックは再び5000ポイントの節目を回復した。 家庭用品のプロクター&ギャンブルは美容・化粧品関連部門の分離を計画しているとの思惑で上昇。製薬のアストラゼネカは同社抗血栓薬の有効性を計測する検証結果が好感され、買われた。携帯端末のアップルはオンラインテレビへの参入が報じられ、堅調推移。航空大手のアメリカン・エアラインズは、20日の取引終了後にS&P500銘柄に組み入れられることが明らかとなり上昇。カジノホテル運営のウィン・リゾートは一部アナリストの買い推奨を受け買われた。検索サイトのヤフーは、北京事務所を閉鎖し、中国市場から撤退すると報じられ、堅調推移となった。一方で、グラフィックソフトのアドビ・システムズはクリエイティブクラウド利用者数の伸びが市場予想を下回り、下落した。宝飾品のティファニーは決算内容が嫌気され売られた。 先週のFOMC発表では、「辛抱強くなれる」との文言が声明文から削除されたものの、イエレンFRB議長が4月での利上げについて「可能性は低い」と言及したほか、15年のGDP成長率やインフレ率見通しについても引き下げたことで早期利上げ観測が後退したと判断した投資家が多く、利上げ時期を巡る市場予想は従来の6月から9月以降に傾いた。欧州中央銀行(ECB)が量的緩和に着手するなど、ドル高の進行が一段と進んでおり、米国の経済成長やインフレ見通しの先行きが不透明となっていることも一因だ。27日にはイエレンFRB議長の講演が予定されており、引き続きインフレや雇用情勢の判断に関する発言に注目が集まるだろう。 経済指標では、2月新築住宅販売(24日)、3月消費物価指数(24日)、2月耐久財受注(25日)、10-12月期GDP確報値(27日)などの発表が予定されている。先日発表された2月住宅建設許可件数は昨年10月以来の高水準となり、春季の住宅販売シーズンに向けた明るい兆しと考えられる。春先は季節的に住宅販売が伸びる時期でもあり、新築住宅販売への期待は高い。 個別企業では、クルーズ客船運営会社のカーニバル・コーポレーション(25日)、ビデオゲーム小売のゲームストップ(26日)、食品メーカーのコナグラ・フーズ(27日)などの決算発表が予定されている。カーニバル・コーポレーションは原油安を背景とした燃料価格の下落が業績に寄与すると予想されるが、売上高の多くは米国以外の地域である為、ドル高がどれくらい売上高や利益率を押し下げているかが焦点となるだろう。 オンラインテレビ市場に参入しているHBOやソニーなどは、同市場へ参入する企業の増加に伴い、ネット回線の混雑や遅延を避ける目的でブロードバンド・プロバイダーのコムキャストなどに対して、専用回線の利用について申し入れを行ったようだ。この専用回線とは通話やオンラインテレビ番組が途切れないようにするために一般的なインターネットへのアクセス用とは別に、管理された専用回線のことを指す。プロバイダーも消費者の有料テレビ離れの流れが進む中、新たな加入者を生み出せるメリットがあるが、このような取り組みは、連邦通信委員会(FCC)によって承認された「ネット中立性」に関する規制案に違反するのではないかとの見方もあり、プロバイダーの多くは慎重姿勢を崩していない。FCCは規制案の中で、ケーブルテレビ(CATV)会社や電話会社がこれらの専用回線を提供できるとの見解を維持していることから今後、専用回線の利用が広がるかどうか注目される。 (Horiko Capital Management LLC) 《TN》