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南シナ海波高し、米海軍空母打撃部隊の概要【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
2020/7/20 9:31
FISCO
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*09:31JST 南シナ海波高し、米海軍空母打撃部隊の概要【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】 7月1日から5日の間、中国海軍は南海、東海及び北海のそれぞれの艦隊が大規模軍事演習を行った。中国の力による実効支配を強固なものにしたいという意図によるものであろう。 これに対し、米国は7月4日~6日の間、空母ロナルドレーガンと空母ニミッツ及び4隻の駆逐艦を南シナ海に派遣し、軍事演習を行った。2個空母打撃部隊が近接した海域で同時に演習を行うのは、極めて異例なことだ。ここで、艦載機の機種や機能から米海軍の空母打撃部隊(Carrier Strike Group)の部隊運用についてみてみよう。 まず、SH60Bシーホークにより対潜戦、捜索救難任務を行い空母部隊に近接しようとする潜水艦の脅威を排除、E-2Cホークアイが空母上空周辺および行動経路上の対空早期警戒を行う。次に、EA-18Gグラウラーが敵レーダーサイトや敵迎撃機に対し、強力な電子妨害、ジャミングを行い捜索能力、対抗能力を低下させ、FA-18スーパーホーネットが敵迎撃機を撃破、敵軍事拠点などに打撃を与えるという運用構想になると思われる。そして、広大な空母打撃部隊の作戦海域または経路上は固定翼哨戒機や潜水艦により哨戒を行い、随伴しているイージス艦が、ミサイル攻撃など空からの攻撃への防御を行うという形態になるのであろう。このように、効果的効率的な戦力の組み合わせとその機動性により、米海軍空母打撃部隊の総合力は、敵対する相手にとっては大きな脅威になると言えよう。 米国のポンペオ国務長官は、7月13日、2016年オランダ・ハーグの仲裁裁判所判決から4年の節目に「世界は、中国が南シナ海を自ら海洋帝国として扱うことを認めない。完全に違法である」という強い声明を発表した。また、米国は「国際法で認められる限り、いかなる場所でも航行・飛行・活動する」とも強調した。米国は、これまで、領有権問題には関与せず、当事者による平和的解決を求めるという立場をとってきた。しかし、今回ポンペオ国務長官は、フィリピンやベトナムなど中国と海洋権益を争う国を支持し、中国の主張を全面否定した格好だ。中国に対峙した、この海域での米国の空母打撃部隊の活動や「航行の自由作戦(FONOP : Freedom Of Navigation OPeration)」は、当分の間継続される見通しだ。 さらに、6月の豪印首脳による「包括的戦略パートナーシップへの格上げ宣言」や、来春の英国最新鋭空母「クイーンエリザベス」のアジア派遣など、「開かれたインド・太平洋構想」に呼応した中国包囲網の具体的な行動が顕在化しつつある南シナ海情勢である。 南シナ海は我が国の生存に死活的に重要なシーレーンが通っている。日本は、自由主義陣営の一員として米国や他の関係各国と緊密に連携し、中国による一方的な力による現状変更に対抗していかなければならない。 《SI》
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