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日経平均は続落、IPOに見る「相場観」と「投資機会」

2021/6/29 12:19 FISCO
*12:19JST 日経平均は続落、IPOに見る「相場観」と「投資機会」  日経平均は続落。256.82円安の28791.20円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。  週明け28日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、150ドル安となった。バイデン政権と超党派議員で合意したインフラ計画の実現に懐疑的な見方が広がり、航空機のボーイングの下落なども重しとなった。一方、長期金利の低下でハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.0%の上昇となり、過去最高値を更新。本日の東京市場でも半導体関連などの値がさハイテク株に買いが入ったものの、NYダウの下落が嫌気され、日経平均は120円安からスタートした。朝方には28735.81円(312.21円安)まで下落する場面があり、その後も週末の米6月雇用統計など各種経済指標の発表を前に積極的な押し目買いの動きは限られ、軟調な展開だった。なお、6月末の配当権利落ちの影響がおよそ28円ある。  個別では、ソフトバンクG<9984>が2%の下落となっており、ファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>などのメガバンク株も軟調。配当権利落ちのJT<2914>は3%超、原油安が嫌気されたINPEX<1605>は4%超下落している。象印マホービン<7965>は好決算ながら業績修正済みとあって売りに押され、ヒマラヤ<7514>も材料出尽くし感から東証1部下落率上位に顔を出している。一方、レーザーテック<6920>、任天堂<7974>、ソニーG<6758>、東エレク<8035>は小じっかり。独通信大手から5G(次世代通信規格)通信網を受注したNEC<6701>は4%超、決算が好感されたしまむら<8227>は6%近く上昇している。外資系証券の投資判断引き上げが観測されたシスメックス<6869>も上げ目立つ。また、アジア投資<8518>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。  セクターでは、鉱業、ゴム製品、ガラス・土石製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは精密機器と電気機器の2業種のみだった。東証1部の値下がり銘柄は全体の79%、対して値上がり銘柄は18%となっている。  本日の日経平均は29000円を下回ってスタートすると、200円超の下落で前場を折り返した。なぜか日本では報道が少ないものの、米インフラ計画を巡って早くもさや当てが始まったようだ。インフラ計画と民主党の要求するその他支出案が「一体でないと署名しない」などとバイデン大統領が発言。共和党上院トップのマコネル院内総務が合意順守を要求し、バイデン氏は釈明に追われることとなった。25日の当欄で述べたとおり、独立記念日に伴う休会入り(25日)より前に合意したい事情があったとみられ、今後も財源などを巡って紆余曲折があることは容易に想像できる。当初の2.3兆ドルから1兆ドル規模まで縮小した計画でこの有り様なら、やはり大規模な経済対策は期待しづらい。  新型コロナウイルス感染再拡大への懸念も相まって、世界経済拡大への期待は失速気味なのだろう。日経平均は29000円台を維持できず、また上値を切り下げる格好となった。底堅さを強調していた市場関係者には残念な動きかもしれない。今週は月末月初とあって米6月雇用統計など経済指標の発表が多く、これらの内容を見極めたいという思惑はもちろんあるだろう。しかし、いつも「~~待ち」という説明を繰り返しているうちに、日経平均は4カ月以上も年初来高値を更新できずにいる。  改めて強調するが、仮に強めの経済指標が飛び出してきたとしても、コロナ禍からの回復ペース鈍化や経済対策効果の息切れから「これがピーク」と受け止める向きが増えてきたのが重要なのである。また、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、「米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に動く可能性がある」と意識された点ももう1つのポイントだ。結果、「衆目一致で」景気高揚に期待することは難しくなってしまった。日経平均は上値切り下げトレンドを脱せず、底堅くとも「アップサイドに乏しい」なら投資家は積極的に買い参加してこない。堅調なのは世界的にインターネットサービスを席巻する米ハイテク企業ばかりである。  相場全体のアップサイド期待が低下している影響を顕著に受けているのはIPO(新規株式公開)かもしれない。6月後半のIPOラッシュ終盤に入り、買い疲れ感も相まって需給主導で初値を飛ばす銘柄は限られるようになった。こうしたなか、前日から人気化しているのが25日上場の日本電解<5759>であり、本日堅調な初値を付けたのがOPS<7699>だ。日本電解は電解銅箔を、OPSはプラスチック製品を手掛ける。公募・売出規模などには大きな違いがあるが、両社共通しているのは新興株として上場しながら大手企業並みの株価バリュエーションで公開価格設定されたことだろう。  つまり、IPO銘柄を積極取引する投資家もバリュエーション重視に舵を切りつつあるということだ。昨年10月までのマザーズ指数の上昇局面では、PER(株価収益率)を100倍超まで切り上げるIT関連のIPO銘柄がざらにあった。それも「市場全体にバリュエーションの一段の向上が期待できる」との見方が背景にあったからこそだろう。こうした期待が薄れつつあるなか、「IPO銘柄の価格設定のあや」に活路を見出す投資家が増えてきたのだと考えられる。  ちなみに日本電解は公開価格(1900円)が仮条件(1800円~2480円)の上限に決まらず、価格決定過程を人気度そのものと捉える向きから「不人気」とのレッテルが貼られていた。しかし、公開価格は需要家(投資家)と発行企業双方への配慮のバランスから決まるもので、「仮条件のどこで決まったか」というのはそのバランスをどのようにとったか考察するうえでの材料の1つに過ぎない。人気度そのものと捉えるのは誤りだろう。今後のIPO改革のためにも、幅広い価格帯を提示して投資家にゆだねるやり方への理解が進むことに期待したい。(小林大純) 《AK》
関連銘柄 18件
1605 東証プライム
1,974
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国内最大の石油・天然ガス開発会社。旧社名は国際石油開発帝石。石油元売り大手などが主要取引先。イクシスLNGプロジェクトなど世界約20カ国でプロジェクト展開。再生可能エネルギーの安定収益化などに取り組む。 記:2024/07/29
2914 東証プライム
4,219
11/29 15:30
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時価総額 8,438,000百万円
世界的な大手たばこメーカー。メビウス、セブンスター等のブランドを展開。製薬会社の鳥居薬品、加工食品メーカーのテーブルマーク等を傘下に持つ。たばこ事業は販売数量増などで、自社たばこ製品売上収益が順調。 記:2024/07/01
5759 東証グロース
73
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-364(-83.3%)
時価総額 737百万円
電解銅箔メーカー。車載電池用銅箔で国内トップシェア。半導体パッケージ用など回路基板用銅箔も。高性能車載電池用銅箔、高周波基板用銅箔に注力。車載電池用銅箔は既存取引先の需要増などで受注の増加を見込む。 記:2024/07/02
6701 東証プライム
12,745
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+30(0.24%)
時価総額 3,477,473百万円
大手ITサービス会社。1899年設立。システム構築等のITサービス事業、ネットワークインフラ等の社会インフラ事業が柱。顔・虹彩などの生体認証に強み。クラウド、モダナイゼーション、生成AIなどの強化図る。 記:2024/08/10
6758 東証プライム
3,007
11/29 15:30
-51(-1.67%)
時価総額 18,772,996百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
6869 東証プライム
3,164
11/29 15:30
-7(-0.22%)
時価総額 1,991,336百万円
検体検査機器・試薬メーカー。血球計数検査や血液凝固検査、尿検査分野で世界首位。臨床検査機器も手掛ける。海外売上は8割超、世界中に展開。ヘマトロジー分野の機器、保守サービスの等が伸長。手術支援ロボット拡大。 記:2024/06/30
6920 東証プライム
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-145(-0.87%)
時価総額 1,550,062百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7203 東証プライム
2,551.5
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-55.5(-2.13%)
時価総額 40,300,909百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
7514 東証スタンダード
842
11/29 15:30
+1(0.12%)
時価総額 10,374百万円
大型総合スポーツ用品店「ヒマラヤ」を全国展開。岐阜市に本社。オリジナル商品の企画・開発、ECサイト運営等も。24年2月末時点のグループ店舗数は98店舗。中期経営計画では26.8期売上高690億円目標。 記:2024/06/09
664
11/29 15:30
+14(2.15%)
時価総額 13,983百万円
エンジニアリング・プラスチックの流通事業、開発・製造事業を手掛ける。シンガポールを拠点に東南アジア中心に展開。家電向け売上高構成比率が高い。研究開発力が強み。高成長分野に位置付ける合成樹脂に注力。 記:2024/10/21
7965 東証プライム
1,537
11/29 15:30
-8(-0.52%)
時価総額 111,586百万円
1918年創業の家庭用品メーカー。炊飯ジャーなどで国内シェアトップクラス。調理家電の売上構成比率が高い。ステンレスボトル、ふとん乾燥機等も。配当性向は50%以上目安。価格競争力の強化などに取り組む。 記:2024/07/28
7974 東証プライム
8,810
11/29 15:30
+25(0.28%)
時価総額 11,441,459百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。海外売上高比率は7割超。新規タイトル、追加コンテンツの継続投入でプラットフォームの活性化を図る。 記:2024/07/28
8035 東証プライム
23,310
11/29 15:30
-430(-1.81%)
時価総額 10,993,765百万円
世界的な半導体製造装置メーカー。TBSの出資で1963年に設立。塗布現像、ガスケミカルエッチング、拡散炉などで世界トップシェア。配当性向50%目処。研究開発投資を積極化。固定費の最適化などにも取り組む。 記:2024/07/07
8227 東証プライム
8,486
11/29 15:30
+106(1.26%)
時価総額 626,496百万円
総合衣料品店「ファッションセンターしまむら」を運営。低価格の衣料に強み。若者向け業態「アベイル」、ベビー業態「バースデイ」等も展開。アベイルはアウター衣料の品揃えを拡充。27.2期営業利益660億円目標。 記:2024/10/24
1,792
11/29 15:30
+23.5(1.33%)
時価総額 23,801,335百万円
三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJニコスなどを傘下に収める総合金融グループ。世界最大の金融機関の一つ。アジアプラットフォームの強靭化などに取り組む。 記:2024/07/29
8518 東証スタンダード
218
11/29 15:30
+5(2.35%)
時価総額 4,858百万円
独立系総合投資会社。プライベートエクイティ投資、再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛ける。豊富な投資経験などが強み。ジーエヌアイグループと業務提携。中計では27.3期営業利益12.5億円目標。 記:2024/10/07
9983 東証プライム
51,110
11/29 15:30
+10(0.02%)
時価総額 16,264,275百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,936
11/29 15:30
-112(-1.24%)
時価総額 13,135,875百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17