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品川リフラ Research Memo(10):2025年3月期以降の中計ではROIC経営を推進する(2)

2023/12/27 15:40 FISCO
*15:40JST 品川リフラ Research Memo(10):2025年3月期以降の中計ではROIC経営を推進する(2) ■品川リフラクトリーズ<5351>の中長期の成長戦略 2. 各セクターのセクタービジョンと成長戦略 基本方針 各セクターは、「セクタービジョン」と「成長戦略 基本方針」に基づき、各セクター及びセクター間の協業による事業活動を展開する。以下に、セクターごとに説明する。 (1) 耐火物事業 国内粗鋼生産量は漸減の傾向にあるため、国内鉄鋼業界向けの販売規模の維持に努めつつ、非鉄・工業炉分野への拡販を進める。業界では耐火物と断熱材の両方の事業を行う事業者が他になく、同社グループ独自の強みとなる。両製品の技術融合による省エネ性能を向上した製品の開発、使用後耐火物のリサイクル原料化による産業廃棄物と新規原料製造時に発生のCO2発生量削減、熱ロス低減対策となる炉の設計と築炉技術、交換頻度の少ない装置の提供などを、セクター間の協業により一体販売する。2023年4月にAllied Mineral Products社と国内のアルミニウム業界向け不定形耐火物の独占販売契約を結んだ。同社の競争力のある豊富な製品群を活かして拡販に取り組む。 海外事業は、M&Aによりグループ入りしたSRB社の設備を新規投資により増強し、新商品生産体制の確立による鉄鋼業界向け事業を拡大する。また、非鉄・セメント業界向けでの事業拡大を図る。チリ、アルゼンチンなど南米諸国へのビジネスを拡大する。 サステナビリティへの対応として、リサイクル原料を活用したGreen Refractoryを開発し、まずセメント業界に提案・展開中である。従来、セメント製造の回転式窯であるセメントキルンに使用されるマグネシア・スピネル質れんがは、使用後に廃棄処分されている。その使用後れんがを、リサイクル原料とするための管理徹底とリサイクル原料を含めた製品粒度構成の最適化による再活用技術(特許取得済)を確立した。同社の優位性は、自社製品だけでなく他社製品も含めた使用後れんがをリサイクル原料化できることだ。新規に採掘・加工された原料の使用比率を減少させることで、原料製造時に発生するCO2排出量削減に寄与する。繰り返し再原料化を行うことで、原料の安全保障面から製品の安定供給が可能となる。また製品が軽量化される。セメントメーカーの上流Scope3を含めたサプライチェーンにおけるGHG排出量削減に寄与する。今後はセメント業界のみならず、耐火物を使用する全ての業界に向けた展開を図る考えだ。海外では、リサイクル原料化のビジネスを既に確立している企業もある。 (2) 断熱材事業 断熱材事業は、耐火断熱れんが及びセラミックファイバーの製造販売がコア事業となる。新規分野向けに耐火性と断熱性の両特性を生かした製品開発と市場開拓を図る。顧客のカーボンニュートラル実現をサポートするため、工業炉の省エネ化への貢献のみならず、化石燃料から新規燃料への転換に対応可能となる高温及び各種雰囲気下に耐え得る製品群を充実させる。また、人体と環境に優しい生体溶解性ファイバーの先駆者として、当製品の量産化と耐熱温度の向上に努め、環境への配慮にも重きを置く。今後の成長が期待できる自動車や燃料電池用のパーツ、半導体や電子部品製造用のツール及び蓄電池への適用などへの市場拡大を図る。これらの分野では、生産コストの削減のみならず高効率生産化による納期対応も重要な課題としている。サステナブル分野向けとして、断熱性に加えて耐火性をも兼ね備えた住宅用不燃建材などの開発にも取り組む。 高まる省エネ需要に対応し、超低熱伝導率断熱材(LTCシリーズ)を開発した。LTCシリーズは、従来品より断熱性能が高く、厚みが薄くでき、強度が高く、加工性に優れ、人と環境に優しい。熱ロス低減効果が大きく、省エネへの寄与率が向上し、炉内容積の拡大も可能になる。 (3) セラミックス事業 セラミック事業は、「先端セラミックス技術」で成長し続け、存在感あるセクターとなることを目指す。ファインセラミックスや無機塗料・無機接着剤など、「高付加価値」に属する製品を取り扱っている。主力製品であるファインセラミックスは、金属や樹脂などの素材と比べて耐熱性・耐食性や機械的強度などで優れ、半導体・自動車・産業用機械など幅広い分野で使用されており、軽量素材などとしても今後需要がさらに伸びていくと期待される。生産能力の増強、競争力強化や事業規模の拡大が重要な課題となる。米国で高性能ポンプの需要が増加しており、セラミック部材の増産対応中である。無機塗料及び無機接着剤は、主力の事業である耐火物研究の成果を応用し、有機物を含む通常の塗料・接着剤では実現できない耐熱性・電気絶縁性・耐候性や離型性を持たせた製品特長を有している。 既存事業の深耕に加えて、新規3分野の市場参入・拡販、製品ラインナップの拡充、外部技術の導入・組織強化による規模の拡大を図る。新規3分野は、特殊蒸着材、大型ロール材、リチウムイオン電池分野である。製品ラインナップの拡充により、使用環境が共通する断熱材セクター製品群とのクロスセリングを推進する。外部技術の導入・組織強化による規模の拡大では、シナジー効果を最大限発揮できる事業分野における企業との連携を模索する。 (4) エンジニアリング事業 エンジニアリング事業は、近年の国内粗鋼生産の縮小やカーボンニュートラル化の加速などにより経営環境が大きく変わろうとしている。既存分野への対応に加え、今後の成長分野を見据えた新事業創出への挑戦が重要な課題と認識している。成長戦略として、1) 各産業界のカーボンニュートラルに向けた取り組みへの貢献や耐火物リサイクル事業の拡大など今後の成長分野への対応を強化、2) 既存分野において安全・品質・技術面での顧客満足度を向上させ大型案件を継続的に獲得、3) 断熱材セクターやセラミックスセクターとの連携強化により新たな事業創出を推進、を挙げている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《SI》
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大手耐火物メーカー。1875年創業。鉄鋼業界向けに強み。JFEスチールの持分法適用会社。東京駅外壁の赤レンガなどで納入実績。セラミックス事業等も。海外事業の拡大等に注力。27.3期売上1800億円目指す。 記:2024/06/15