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霞ヶ関キャピタル Research Memo(2):不動産開発を対象とした独自のビジネスモデルを展開

2023/11/8 17:42 FISCO
*17:42JST 霞ヶ関キャピタル Research Memo(2):不動産開発を対象とした独自のビジネスモデルを展開 ■会社概要 1. 会社概要 霞ヶ関キャピタル<3498>は2011年9月、東日本大震災により被災した宮城県柴田郡大河原町のショッピングセンター事業をきっかけに設立された。現在は物流施設開発、アパートメントホテル開発、ヘルスケア関連施設開発、ファンド、海外投資などを主軸に「不動産コンサルティング事業」を展開する。 同社は、これらの「成長性のある事業分野」かつ「社会的意義のある事業」を行うことで、社会の課題の解決に貢献することをビジネスポリシーとしている。なお、2018年11月に東証マザーズ市場へ上場し、2022年4月の市場区分再編に伴いグロース市場へ移行したが、2023年10月にはプライム市場への昇格を果たしている。 事業の拡大に伴い、2019年9月には、これまでのホテル開発事業をより強化するため、サブリース事業、オペレーション事業を推進する「霞ヶ関パートナーズ(株)」(持分比率100%)、投資分析、投資戦略立案、最適スキーム構築(法務・税務)、ファイナンスアレンジメント機能を持ち、潜在価値の実現化、投資パフォーマンスの極大化、資源と資金の最適な組み合わせを追求する「霞ヶ関投資顧問(株)」(同100%)、同社で開発するホテル等を主たるシードアセット(ファンドの投資対象資産)としてファンドの組成及びアセットマネジメント事業の構築を進める「霞ヶ関アセットマネジメント(株)」(同100%)の3子会社を設立した。設立以来、事業内容を充実・拡大し続けていることに伴い、2020年3月には第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業登録、同年6月には物流事業を開始した。さらに、2021年3月には不動産テック事業への参入を目的として「KC Technologies(株)」(同70.1%)を設立、同年4月には「ホテル京都木屋町」を保有する「メゾンドツーリズム京都(株)」(同100%)を連結子会社化した。同年12月にはヘルスケア事業を発足、2022年1月には合弁会社のロジフラッグ・デベロプメント(株)(以下、LFD)(同66%)による物流施設開発事業を開始したほか、レジデンスファンドの組成を行った。このほかにも、同年5月に三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と共同アセットマネジメントに関する基本合意書を締結するなど、次の成長戦略に向けて着々と布石を打っている。 同社は、創成期からの事業推進役であった河本幸士郎(こうもとこうしろう)氏が代表取締役社長を務めており、連結ベースの従業員数は2018年8月末の12人から2023年8月末には174人(連結グループ、役員含まない)に増加している。金融機関、ファンド、不動産業界出身者や、弁護士、会計士、不動産鑑定士など専門資格の保有者も多く、少数精鋭のプロ集団を構築していることが同社の大きな強みの1つでもある。 2. 事業内容とビジネスモデル 事業内容については、従来は「不動産コンサルティング事業」と「自然エネルギー事業」の2つのセグメントに分類して開示してきたが、2023年8月期から「不動産コンサルティング事業」単一に変更した。創業当初より自然エネルギー事業に取り組んできたが、発電した電気の買取価格であるFIT価格の下落や自社発電施設の売却などにより、足元の事業規模は縮小傾向にあった。一方で、近年は不動産コンサルティング事業に属するホテルや物流施設の開発事業が拡大していることに加え、2022年8月期にはヘルスケア事業を立ち上げるなど、継続した成長を実現している。その結果、自然エネルギー事業の開発利益や売電収入がグループ全体の売上・利益に占める規模は相対的に低くなってきていた。このため、引き続き自然エネルギー発電施設の開発や売電事業は継続して行うものの、自然エネルギー事業を1つのセグメントとして社内リソースの投入と管理を実施することは適切ではないと判断し、自然エネルギー事業を不動産コンサルティング事業に統合した。この再編は、事業環境の変化に応じて臨機応変に柔軟な対応を行う同社の事業戦略の一例と言えよう。なお、不動産コンサルティング事業には物流施設開発、アパートメントホテル開発、ヘルスケア関連施設開発、ファンド事業、海外投資、ショッピングセンター、自然エネルギーなどの事業が含まれている。同社は投資家にとって魅力のある不動産投資商品を提供する方針で、柔軟な戦略やビジネスモデルとそれを実行する十分な人材と資金の活用により、今後も既存の事業分野に留まることなく、事業環境の変化に対応して新たな事業へのチャレンジを続けると弊社では見ている。 同社のビジネスモデルは「収益源の多層化」に大きな特徴があり、3つのステージで構成されている。第1ステージでは、開発用地を購入し、平均6ヶ月後に同社が組成する開発ファンドに売却する。そこでは、収益ポイント1) 土地売却益を計上する。すなわち、同社が取得した土地をプランニングして付加価値をつけ、開発ファンド投資家に売却することにより得られる利益である。また、販売用不動産を売却しオフバランス化することで、同社では財務の健全性を維持しながら開発が可能になる。 第2ステージでは、開発ファンドの資金で建物を造る。その際、同社は収益ポイント2) プロジェクトマネジメント報酬を得る。建築は開発ファンド投資家が主体となって実施し、同社はプロジェクトマネジャーとしてコストや工期の管理を担うことで、プロジェクトマネジメント報酬を受領する。 第3ステージでは、土地と竣工後の建物を開発ファンドから不動産ファンドに売却する。それに伴い、収益ポイント3) 成功報酬を受領する。成功報酬は、開発ファンド投資家から不動産ファンド投資家への売却時に期待収益を超過した場合に、開発ファンド投資家より受け取るものだ。さらに、収益ポイント4) アセットマネジメント報酬もある。これは、売却後も不動産ファンドのアセットマネジメントを行い、継続的に不動産としての価値を高めることで受領する。 このように、3ステージに分け、不動産を高回転でどんどん回していくのが同社のビジネスモデルである。2022年8月期までは、同社の利益の大半は用地売却による売却益であった。それが2023年8月期には初めての長期運用型ファンドの組成に伴い第3ステージの成功報酬・アセットマネジメント報酬が入ってくるようになり、今後も拡大を見込んでいる。さらに、AUMが積み上がってきたことで、アップフロント報酬※、アセットマネジメント報酬、プロジェクトマネジメント報酬、リーシング報酬、賃料収入、地代家賃、売電収入などのストック収入も順調に積み上がってきている。同社では今後もAUMとストック収入の順調な増加を見込んでおり、経営の安定性が増していると言える。 ※ ファイナンスのアレンジメントに対し、貸手に対して融資総額の一定比率で支払われる手数料。 このように、同社では他に例を見ない独自のビジネスモデルを構築している。すなわち、一般的な不動産開発では、土地を購入し利益を回収するまで3年間程度を要する。これに対して、同社では、土地購入後約6ヶ月で売却することでオフバランス化しつつ、回収した資金を再投資することで、高回転・高効率・低リスク・複利成長を同時に実現している。こうしたユニークなビジネスモデルによって、低リスクで効率の良い不動産開発を行い、高収益と財務の健全性を実現しているところに、同社の大きな強みがある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《SI》
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不動産投資会社。物流施設やアパートメントホテル、自然エネルギー施設等の不動産コンサルティング、ファンド運用を行う。不動産販売、不動産コンサルティングともに売上伸びる。24.8期1Qは大幅増収増益。 記:2024/01/27