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KaizenPF Research Memo(7):非対面ニーズの高いDX市場がコアターゲット

2023/9/25 12:07 FISCO
*12:07JST KaizenPF Research Memo(7):非対面ニーズの高いDX市場がコアターゲット ■成長戦略 1. 営業・マーケティング・カスタマーサービス分野のDX市場がコアターゲット DX市場は拡大基調である。大企業を中心に業務のデジタル化・非対面化が進展し、市場拡大が今後加速する見込みとされている。これまで紙で制作していたチラシやパンフレットなどのコミュニケーションツールも、急速にデジタル化・動画化(SNS広告、メール・チャット、Webサイト、デジタルサイネージ、オンラインイベント等)が進展している。 こうした事業環境も背景に、Kaizen Platform<4170>は成長に向けた基本戦略として、DX市場の中でも特に非対面ニーズが高く、市場成長性の高い営業・マーケティング・カスタマーサービス分野のDX市場をコアターゲットとして、大企業向けを中心にリカーリング売上拡大やARPU向上を加速させる方針である。DXの進展にあたっての最大のボトルネックは人材不足だが、同社には、プラットフォーム上で専門スキルを持った1万人超のグロースハッカーネットワークを構築している強みがある。 さらに、今後はChatGPTやGPT-4など生成AIの活用が求められるため、AI人材育成プログラムを開発した。当面は社内向けに活用し、将来的には外販も想定している。成長する市場において、プラットフォームとしてのポジションをより強固なものにするため、新領域でのM&A・アライアンスも含めた積極投資を行い、BPOへの進化(DXソリューションにおけるEMS(電子機器の製造受託))を図る方針である。 2. グループシナジーでリカーリング売上拡大とARPU向上を推進 同社は、新規顧客獲得によるアカウント数拡大とともに、リカーリング売上拡大やARPU向上に向けて、顧客のDX進展に合わせて各種サービスを組み合わせて提供するクロスセル・アップセル戦略を基本としている。また、ディーゼロ及びハイウェルを子会社化したことに伴って組織再編を行い、クライアントポートフォリオ転換を推進している。 なお、2022年12月期のリカーリング売上比率は70.9%で前期比11.6ポイント低下した。2022年12月期はクライアントポートフォリオ組み替えの影響で単発売上からリカーリング売上への転換が伸び悩んだが、2023年12月期はリカーリング売上比率のさらなる向上を目指す。 3. M&A・アライアンスも積極活用 さらなる成長戦略として顧客の課題に合わせて提供サービスを再編・拡充する方針だ。このためM&A・アライアンスも積極活用する方針である。2021年6月にはアドバンテッジアドバイザーズ成長支援投資事業有限責任組合に出資した。本ファンドの投資先企業に対して売上成長をもたらすDX支援を行うとともに、新たなビジネスモデルやサービスの創出につなげる方針だ。2021年7月には内製型DXを実現する「KAIZEN CONSULTING」の提供を開始した。DXの実行に課題を抱える企業向けに、戦略策定から実行までプロジェクトの上流からサポートする。 2021年9月には子会社ディーゼロとのシナジー効果を生かし、Webサイトの課題分析からリニューアル・新規開発、長期的な効果改善に向けた運用まで一気通貫で支援する「KAIZENサイトリニューアル」の提供を開始した。2022年5月にはKDDI<9433>と自治体向けWebサイト構築ソリューションの提供を開始した。自治体向けでは、すでに国土交通省「川の防災情報」Webサイトに一部導入した実績がある。2022年8月には、NTT西日本が取り組むCX(Customer Experience=商品やサービスの利用における顧客視点での体験)改善の一環として、Web上での顧客体験向上に向けたDXプロジェクトを共同で実施した。 2022年10月にはハイウェルを子会社化した。ハイウェルはSES事業、採用支援事業、デジタルプロモーション事業を展開し、特にHR(Human Resources)領域において3,000社を超えるパートナー、累計3,000名以上のエンジニアネットワークを有している。同社のグロースハッカーネットワークとハイウェルの豊富なリソース及びHR領域におけるノウハウを組み合わせることで、全社ベースでのクロスセル・アップセル戦略を加速させる方針だ。 4. 株主還元策 株主還元については、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つとして位置付けているが、創業して間もないことから、財務体質強化や事業拡大のための内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。このため創業以来配当は実施しておらず、今後も当面の間は内部留保の充実を図る方針である。将来的には株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針だが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定としている。 5. サステナビリティ経営 同社はサステナビリティ経営についてマテリアリティを公表していないが、DX支援の事業を通じてペーパーレス推進やCO2削減などの社会課題解決に貢献する方針である。 また同社は事業展開において、昨今重要性を増しているアクセシビリティ(accessibility=利用しやすさ)向上推進も重視している。デジタル庁が掲げる「人にやさしいデジタル社会の実現」やSDGsの流れも相まって、これまで国や自治体のみが義務化されていたWebサイト等のアクセシビリティへの合理的配慮が、2021年6月の障害者差別解消法の改正によって民間事業者でも義務化され、公布から3年以内に対応が求められるようになった。現在推計170万以上の企業ホームページのうち、Webアクセシビリティに関するJIS規格を満たしている企業の割合は僅か4.6%に過ぎず、今後95%以上の企業のWebアクセシビリティ対応が急務となることが予想されている。 しかしDX対応と同様に、ここでも多くの企業にとってリソースの壁(ノウハウや人材の不足)が課題となっていることに対応して、同社は2022年1月に、アクセシビリティに関して豊富なノウハウを持つ子会社ディーゼロとともに、アクセシビリティ専門エンジニアやWebサイト改善専門家をグループ内に持つ強みを生かして、より多くの企業のWebアクセシビリティ向上に向けて、課題の抽出、レポートによる診断、必要に応じた課題の改修までトータルに支援するサービスの提供を開始した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《YI》
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