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ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の好調により、期初予想を上回る好決算

2023/3/6 14:24 FISCO
*14:24JST ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の好調により、期初予想を上回る好決算 ■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向 1. 2022年10月期の業績概要 2022年10月期の同社グループの業績は、売上高57,922百万円(前期比9.7%増)、営業利益6,312百万円(同18.3%増)、経常利益は6,189百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,303百万円(同32.3%増)と大幅な増収増益を達成し、各段階の利益はすべて前期比2ケタ成長を継続した。また、期初予想比では、売上高は1.1%増、営業利益は7.3%増、経常利益は7.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は12.8%増と好決算であった。予想を上回る各利益の増加は、売上高が計画をやや上回って増収したことに加え、販売費及び一般管理費が計画を5.2%下回ったことも影響した。例年並みに旅費・交通費や福利厚生費を見込んでいたが、コロナ禍で計画ほど使わなかったためである。また、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加は、同社が自社開発した学生マンションを既存の投資家に売却したことによる固定資産売却益を特別利益に計上したためである。こうした自社開発物件売却による資本回収は中期経営計画に沿った動きであり、売却後は同社の借上物件として管理戸数の増加にも貢献している。なお「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高は727 百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ7百万円減少しているが、2023年10月期からは会計基準変更に伴う影響はなくなる。 2022年10月期におけるわが国経済は、コロナ禍防止策としての海外渡航客向け水際対策の緩和や、国内向け旅行支援策の開始の決定等により観光関連の業種を中心として一定の盛り上がりが見受けられたものの、長期化しているロシアのウクライナへの侵攻をはじめとする地政学リスクの高まりや、それらに伴うエネルギー価格・資源価格の高騰、円安による物価上昇等の影響を受け、国内経済の見通しについては依然として不透明な状況であった。こうした経営環境の下、同社グループの主たる顧客層である学生の動向において、大学(大学院を含む)の学生数は293.1万人と前年より1.3万人増加(文部科学省「令和4年度学校基本調査(速報値)」)しており、同社グループを取り巻く市場環境については引き続き追い風となる状況となっている。 以上の経営環境のなかで、同社グループでは推進中の中期経営計画「GT01」(2021年10月期~2023年10月期)の2年目においても、取り組みを強化したオンラインによる非対面での営業活動の定着もあり、引き続き高水準の入居率確保によって好調な経営成績となった。また、前述のとおり投下資本の循環過程として自社所有物件の一部を売却し、それに伴う固定資産売却益を特別利益に計上した。2021年12月に当初の中期経営計画数値から上方修正したが、計画の超過達成に向けて順調に推移していると評価できるだろう。 なお主力事業の不動産賃貸管理事業においては、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期(2月~4月)に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向があることに留意が必要だ。実際、学生マンションの入居者入れ替わりは年度末・年度始に集中しており、売上高・利益計上の時期に大きな偏りが生じる。すなわち、学生マンションの入替期である第2四半期に売上高・利益計上が集中し、第1、3、4四半期は、主に入居者募集の準備として費用を計上する期間となっている。結果として、売上高・営業利益の四半期別累計の推移では変動はあるものの、物件管理戸数増加に伴って年度単位では着実に右肩上がりで推移している。 2. セグメント別動向 (1) 不動産賃貸管理事業 売上高は54,433百万円(前期比9.9%増)、営業利益は7,780百万円(同17.1%増)と増収増益となった。「収益認識に関する会計基準」等の適用により、契約決定件数は同1.1%増に留まり、従来の方法に比べて売上高は678百万円、営業利益は7百万円それぞれ減少しているが、営業強化と積極的な自社所有物件開発が奏功し好業績であった。 物件管理戸数は80,611戸(同4,665戸増)と順調に増加したうえ、高い募集力を背景に入居率は99.9%と、前期に引き続き高水準を確保し、収益基盤は順調に積み上がっている。「学生会館 Uni E’meal 三重大学前【食事付き】」「学生会館 Uni E’meal 富山大学前【食事付き】」、熊本県の「学生会館 ロイヤル 新大江【食事付き】」、鹿児島県の「学生会館 マニフィックリア 高麗【食事付き】」、山形県の「学生会館 UniS Court 山形【食事付き・山形大専用】」などの運営を開始した。こうした自社・保証物件増に伴う家賃・礼金等の増加や拠点増に伴う食堂売上の増加などから、増収となった。学生マンション業界では厳しい経営環境で倒産に追い込まれた学生寮運営会社があったなかで、同社グループの高い稼働状況は際立っている。費用面では、戸数増による保証家賃増加、人員増による人件費の増加、自社所有物件増による減価償却費の増加など、業容拡大に伴う費用負担の増加はあったものの、増収が上回り増益となった。この結果、営業利益率は前期の13.4%から14.3%に上昇し、高い利益率を維持している。 (2) 高齢者住宅事業 売上高は2,866百万円(前期比2.3%増)、営業利益は260百万円(同26.3%減)となった。「収益認識に関する会計基準」等の適用により、従来の方法に比べて売上高は49百万円減少しているが、売上原価も同額減少しているため、営業利益への影響はなかった。 2021年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」による売上高の増加はあったものの、コロナ禍における感染拡大傾向への懸念から2022年10月期第1四半期には高齢者施設に入居する時期を先延ばしにするなど、一時的に入居を控える動きもあったため、運営する高齢者施設の稼働率は全体的に弱含み、家賃関連売上や介護サービス関連売上は微増に留まった。一方、費用面では、人材不足により派遣社員の利用増に伴い人件費が増加した。コロナ禍によるスタッフの欠員を派遣社員でカバーしたためである。以上から、営業利益率は前期の12.6%から9.1%に低下した。また、入居率は89.9%(同4.2pt減)であったが、適正水準を維持している。 (3) その他の事業 売上高622百万円(前期比33.5%増)、営業損失59百万円(前期は172百万円の損失)となった。日本語学校事業では、断続的なコロナ禍拡大に伴う入国制限の長期化の影響を受け、待機留学生の発生、受け入れ時期の遅延から事業収益は低調な状況で推移していたが、政府による水際対策の緩和等を受け、ようやく留学生の受け入れも再開する運びとなり、2022年10月期第3四半期において事業収益は大幅に改善した。一方では、留学生の入国時に係る隔離費用等のコスト負担もあったため、営業損失は前期比改善したものの、依然として弱含みの状況となっている。また子会社のスタイルガーデンが運営する第0新卒事業は、当初計画を上回る順調なペースで推移し、その他の事業の業績挽回に貢献した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《YI》
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学生用マンションの企画開発から運営・管理までを一括で行う。高齢者住宅事業は譲渡。学研HDと業務提携。物件管理戸数は9.4万戸超。食事付き学生マンションの積極展開図る。26.10期営業利益87億円目標。 記:2024/10/24