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シンバイオ製薬 Research Memo(5):BCVは開発の可能性が広がり、成長ポテンシャルが大きく拡大(1)
2022/12/28 15:35
FISCO
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*15:35JST シンバイオ製薬 Research Memo(5):BCVは開発の可能性が広がり、成長ポテンシャルが大きく拡大(1) ■シンバイオ製薬<
4582
>の開発パイプラインの動向 2. 「ブリンシドフォビル(BCV)」(注射剤/経口剤) (1) 概要とライセンス契約 BCVは、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎治療薬等で知られているシドフォビル(CDV)よりも高活性の抗ウイルス効果が得られるほか、広範なDNAウイルスに対して抗ウイルス活性を持つことが特徴となっている。さらには、アカデミアの研究により高い抗ガン活性があることも明らかとなってきており、未だ治療法が確立されていない「空白の治療領域」を充たす開発候補品として注目度が高まっている。 BCVはCDVに脂肪鎖を結合した構造となっているため、CDV単体よりも細胞内に侵入しやすく、侵入後は脂肪鎖が切り離され二リン酸と結合することで、DNAウイルスの複製を阻害する役割を果たす。こうした作用機序から、CDVや他の抗ウイルス薬と比較してウイルスの増殖抑制効果が格段に高くなるというデータがin vivo試験などで得られている。また、安全性という点においては、CDVが腎尿細管上皮細胞に蓄積することで腎機能障害を発生するなど腎毒性が強いといった副作用リスクがあったが、BCVは脂肪鎖と結合することで逆に腎尿細管上皮細胞内に蓄積されず、腎毒性も回避できるといった優れた特徴を持つ。FDAからは、CMV、アデノウイルス(AdV)を対象としたファストトラック(優先審査)指定を受けており、欧州医薬品庁(EMA)からも同様のウイルスを対象にオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けている。 キメリックスではBCVの経口剤タイプの開発を進めていたが、第3相臨床試験で下痢等の副作用が発生したほか、統計的に有意な結果が得られず開発を中断していた。その後、抗がん剤分野に経営リソースを集中させるためBCVについてはライセンスアウトする方針とし、2019年9月に同社がグローバルでの製造・販売・開発(天然痘を除く)に関するライセンス契約を締結した。同社が導入を決めたポイントは、BCVが優れた安全性と機能性(広域かつ高い抗ウイルス活性)を持ち、開発成功の可能性が高いと判断したこと、また対象疾患が「希少疾患」かつ「空白の治療領域」で同社の開発ターゲットと合致しているだけでなく、対象疾患が「トレアキシン(R)」と同じ血液疾患領域であり、営業面でのシナジー効果も得やすいと判断したことにある。 キメリックスが経口剤の開発に失敗した原因については、消化器官からの薬剤の吸収率が低いため、多量の薬剤を服用せざるを得なかったことにあると同社では見ている。注射剤であれば経口剤の1割の投与量で同じ効果が期待できるため、副作用リスクも低く成功確率は高くなる。また、同契約では注射剤だけでなく経口剤についても契約内容に含まれており、将来的に経口剤で開発を進めていく可能性もある。なお、天然痘だけ契約の対象外となっているのは、バイオテロ対策として天然痘治療薬を米国政府が自国で製造、備蓄しておく必要があるためだ※。 ※天然痘治療薬に関しては、キメリックスが2021年6月にFDAから「BCV(経口薬)」の販売承認を取得している。 このライセンス契約ではグローバルライセンスであること、また、製造権も含めた契約となっている点が注目される。製造権も含めたライセンス契約としたのは、2019年に発生した「トレアキシン(R)」での品質不良問題が影響している。製造も含めて自社でコントロールし、事業リスクを極力抑える体制を構築していくことが、患者も含めたすべてのステークホルダーのためとなり、かつグローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指していくためには重要であるとの認識だ。既に製造委託先は見つかっており、上市の可能性が見えてきた段階で技術移転を進め、委託製造していくことにしている。 開発の対象疾患として、造血幹細胞移植後または臓器移植後のウイルス感染症のほか、大学の研究成果からEBV※陽性リンパ腫やCMV感染症の膠芽腫、EBVが主要発症因子であることが明らかとなった難病の多発性硬化症等での開発も進めていく意向を示している。2021年10月には米国に開発統括拠点となる子会社SymBio Pharma USAも稼働させた(会社設立は2016年だが休眠状態にしていた)。グローバルで臨床試験を円滑に進めていくためのノウハウや経験を持つ人材を副社長として招聘し、2022年9月時点で約10名(うち、正社員5名)の人員体制を2023年には2倍に増員し、開発体制を強化していく計画となっている。 ※EBVは、ヘルペス科に属するウイルスで5歳児の約50%、成人の約95%近くに感染歴がある。乳幼児期に感染した場合、多くは無症状で、思春期以降に感染すると発熱や喉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が一時的に見られる。通常、Bリンパ球に感染し、細胞の中で活動せずに潜伏しているが、何らかの環境変化によって活性化する。一部のリンパ腫や上喉頭がんなどの発生と関連のあることが明らかとなっている。 なお、BCVのライセンス契約に関しては開発元のキメリックスに対して契約一時金5百万米ドル(約540百万円)を2019年12月期に支払っており、将来的なマイルストーンとして最大180百万米ドル(約19,400百万円)、製品売上高に応じて2ケタ台のロイヤルティを支払う契約となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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4582 東証グロース
シンバイオ製薬
255
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+13(%)
時価総額 11,709百万円
がん、血液、ウイルス感染症分野がターゲットのバイオベンチャー。抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」が主力。トレアキシンの処方患者数は3.7万人超。アデノウイルス感染症など抗ウイルス薬BCVのグローバル開発推進。 記:2024/08/19
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