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エルテス Research Memo(5):デジタルリスクへの脅威が高まるにつれて、顧客数の拡大が売上高の伸びをけん引

2022/11/21 16:05 FISCO
*16:05JST エルテス Research Memo(5):デジタルリスクへの脅威が高まるにつれて、顧客数の拡大が売上高の伸びをけん引 ■エルテス<3967>の決算動向 1. 過去の業績推移 過去の業績を振り返ると、顧客数の拡大等により順調に業績を伸ばしてきた。利益面では、2017年2月期にそれまでの過去最高益を更新した一方、連結決算に移行した2018年2月期以降は、将来の事業拡大に向けた先行投資の影響により利益水準は2期連続で低調に推移した。2020年2月期は事業拡大と新サービスの一部収益化により大幅な増益を実現したものの、2021年2月期はDX化の動きが加速するなかで、新たな事業機会に対応するために先行投資を拡大し、上場後初めての営業損失を計上する結果となった。しかしながら、2022年2月期はコロナ禍からの段階的な回復や高収益プロダクトの伸びにより、黒字転換している。また、2023年2月期に入ってからは、相次ぐM&Aの実施により事業が大きく拡大するとともに、「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」「DX推進事業」の3事業によるバランスの良い成長基盤が整ってきた。 財務面に目を向けると、自己資本比率は2016年11月の株式上場に伴う新株発行等により80%を超える水準で推移してきた。なお、2021年2月期はAnd Securityの買収に伴い自己資本比率は50.4%まで低下したが、その後も50%水準を確保している。 2. 2023年2月期上期決算の概要 2023年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比46.9%増の1,850百万円、営業利益が22百万円(前年同期は62百万円の損失)、経常損失が6百万円(同46百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が19百万円(同27百万円の損失)と大幅な増収により営業損益の黒字化を実現した。重視するEBITDAについても86百万円(同2百万円のマイナス)と大きく改善している。 売上高は、相次ぐM&Aによる効果に加え、「デジタルリスク事業」「AIセキュリティ事業」「DX推進事業」の3つの事業がそれぞれ伸長した。特に、「デジタルリスク事業」については、営業秘密など情報持ち出し事件をきっかけとして「内部脅威検知サービス」が大きく成長した。また、「AIセキュリティ事業」もM&A先を含めた営業体制整備が功を奏し、警備事業が伸長した。「DX推進事業」についてもGloLingのPMI推進が増収に寄与したほか、自治体DXサービスの収益化にも進展があった。 損益面では、M&Aに係る一時的な費用(約57百万円)が利益を圧迫したものの、高収益の「内部脅威検知サービス」の伸びや生産性向上、管理部門の業務効率化により営業損益は増益となり、3期ぶりに黒字化を実現した。また、一時的な費用を除く営業利益では79百万円(同じく経常利益は50百万円)で着地しており、利益を生み出せる体質改善が着実に進んできたと言える。 財務面についても、相次ぐM&Aや資本業務提携により大きく変化した。資産合計は「現金及び預金」及び「のれん」の増加等により前期末比71.4%増の4,234百万円に拡大した。一方、自己資本は第三者割当増資(約8億円の資金調達)※により同63.8%増の2,216百万円に増加したことから、自己資本比率は52.3%(前期末は54.8%)とほぼ同水準を確保することができた。長期借入金による有利子負債も同115.6%増の1,578百万円に増加したが、ネット有利子負債は引き続きゼロの状態が続いており、財務の安全性は維持されている。あえて言えば、M&Aに伴い「のれん」が1,247百万円(前期末は230百万円)に増えており、今後の減損リスクを認識する必要はあるものの、自己資本の範囲内(約56%)で十分カバーされていることや、複数社に分散されていること、各社ともに比較的キャッシュフローが安定していること、既にPMIの効果も出始めていることから、大きな下振れ要因として懸念する必要はないであろう。 ※2022年4月21日に締結したラックとの資本業務提携締結により、ラック及びDOSOを割当先とする第三者割当増資を実施した。 事業別の業績は以下のとおりである。 (1) デジタルリスク事業 売上高は前年同期比22.3%増の1,104百万円、セグメント利益は同45.2%増の403百万円と増収増益となった。政府が進める経済安全保障対策やコーポレート・ガバナンスへの意識の高まり、営業秘密など情報持ち出し事件をきっかけとして、「内部脅威検知サービス」が大きく成長した。また、2022年4月8日付で連結化したアクターも増収に寄与した。利益面でも、収益性の高い「内部脅威検知サービス」の伸びや生産性向上により大幅な増益となり、セグメント利益率も36.6%(前年同期は30.8%)と大きく改善している。 (2) AIセキュリティ事業 売上高は前年同期比74.7%増の616百万円、セグメント損失は40百万円(前年同期は16百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。売上高については、2022年3月10日付で連結化したISA(及びその関連会社SSS)が増収に寄与した。特に、PMI推進部を中心とするAnd Security及びISA・SSSの営業体制整備が功を奏し、警備事業の売上が成長した。損益面では、投資フェーズにあるAIKへの先行費用に加え、M&Aに係る一時的な費用及びのれん償却費などにより損失幅が拡大した。 (3) DX推進事業 売上高は前年同期比125百万円増の129百万円、セグメント損失は61百万円(前年同期は37百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。売上高については、2022年3月18日付で連結化したGloLingによる上乗せ分(及びPMI推進)が増収に大きく寄与した。また、宮崎県延岡市へのスーパーアプリ導入などを含め、自治体DXサービスの収益化に向けても進展があった。損益面では、M&Aに係る一時的な費用及びのれん償却費などにより損失幅が拡大した。 3. 2023年2月期上期の総括 以上から、2023年2月期上期を総括すると、戦略的M&Aを通じた業績の拡大はもちろん、3つの事業の成長基盤を整えたことや、需要が拡大している「内部脅威検知サービス」の営業体制が強化されてきたことなど、今後の成長加速に向けても多くの成果や方向性を示すことができたと評価できる。創業来、ソーシャルメディアにおけるリスクマネジメント(風評被害対策など)を軸に成長してきた同社であるが、市場の大きなセキュリティ(警備)領域や、デジタルガバメント関連、さらには「メタシティ構想」に至るまで、同社ならではの価値提供により事業領域を拡充し、進化していく道筋が具体的に見えてきたと言えよう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《NS》
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時価総額 3,916百万円
Webリスクモニタリングや内部脅威検知サービス等のデジタルリスク事業、DX推進事業、警備管制DXシステム等のAIセキュリティ事業を展開。内部脅威検知サービスのID数は大幅増。27.2期売上100億円目標。 記:2024/06/07