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井関農 Research Memo(2):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(1)

2022/9/29 17:12 FISCO
*17:12JST 井関農 Research Memo(2):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(1) ■会社概要 1. 会社概要 1926年8月創立の井関農機<6310>は「農家を過酷な労働から開放したい」という理念の下、日本農業の近代化、省力化、効率化に貢献し、海外にも展開している。1926年の全自動籾摺機の開発を皮切りに世界初・業界初となる独創的な農機を数多く開発してきた。2014年からはさらなる農業の省力化、効率化を目指しロボットトラクタなどICTを活用した「スマート農機」の開発に着手。ICTを活用し省力化・効率化を推し進めることにより、儲かる農業の実現に貢献すると同時に同社農機の魅力を高め、競争力の向上を目指している。また、農機販売にとどまらず「顧客の夢ある(=儲かる)農業を応援する」というコンセプトの下に様々な形で営農支援を行っている。2015年に設立した「夢ある農業総合研究所」においては、行政・研究機関・大学・企業などの外部ステークホルダーと連携し、ロボット技術やICTを活用したスマート農業の研究・実証・普及活動を行っているほか、「夢ある農業応援団」では農家に役立つ営農情報のホームページを通じた発信、情報誌の作成、日本GAP協会が推進するJGAP※認証取得サポートなどの活動も行っている。このようにハード・ソフトの両面から顧客である農家とその経営をサポートしている点が同社の大きな特徴の一つと言えるだろう。 ※GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で、農林水産省が「農業生産工程管理手法」として、その取り組みを推奨している。導入することにより、生産者にとっては「農場管理の標準化」「農場としての信頼の向上」「安定した取引の実現」などのメリットがある。 同社は、日本やアジアでは、農家、大規模農業法人などを中心に、欧州や北米では、景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などを対象にトラクタ・乗用芝刈機などの整地用機械、コンバインなどの収穫調製用機械、田植機・野菜移植機などの栽培用機械の開発・製造・販売・アフターサービスを行っているほか、輸入作業機の販売、OEMによる製品の販売など多岐にわたって事業を展開している。日本農業に関しては、耕耘から稲刈り、乾燥調整まで全てのフェーズにおいて製品を提供していることが特徴だ。国内においては系列販売会社11社(うち直系広域6社)を全国にかまえ、日本全国の顧客に農機の販売を行いながら現場のニーズを的確に吸い上げている。海外においては、北米、欧州、アジアを3つの重点地域として定めて事業を展開している。PT井関インドネシアなどの生産拠点やISEKIヨーロッパなどの販売拠点を設け、グローバルにビジネスを展開している状況だ。2021年12月期の地域別売上高は、欧州が159億円で最も多く、北米が151億円、アジアが91億円と続いている。現時点では欧米に比べて売上規模は小さいものの、アジアは今後伸びる市場として注目できると弊社は考える。日本と食文化が似ており稲作が盛んに行われていること、各国政府の政策により農業の近代化が促進されていることなどを背景に、同社が日本で培ってきた技術力や経験を発揮することできるためだ。実際、2012年に同社は地域の生産拠点となるPT井関インドネシアを設立しているほか、2020年にはタイの販売代理店IST Farm Machinery Co., Ltd.を子会社化するなど同地域でのプレゼンスを着実に高めている。 2. 事業内容 (1) 整地用機械 整地用機械カテゴリーでは、農業において作付け前の整地に使用するトラクタ、耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などを扱っている。特に欧米においては景観整備業者、ホビーファーマーや一般消費者向けに土木作業用トラクタ・景観整備用トラクタ・乗用芝刈機などの販売が好調に推移しており、2021年12月期の全社売上高に占める割合は34.6%で最大。海外売上高においては75.5%を整地用機械が占めている。 トラクタカテゴリーにおけるフラッグシップモデルは「T.Japan(TJ)」シリーズ。65~130馬力のレンジに「TJV5シリーズ」「TJX3シリーズ」「TJW3シリーズ」と3つのシリーズをラインナップしている。どのシリーズも「高精度・高能率・高耐久」を実現していることに加え、ICTも導入されている点が特徴だ。例えば、TJV5とTJW3シリーズは農機に搭載したGPSアンテナおよび通信端末を用いて農機の情報を収集できることに加え、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールも提供している。また、TJX3シリーズにおいては、ICTの活用により「作業管理サポート」と「機械管理サポート」を提供するAGRI-SUPPORTを農機に導入することができる。さらに、最先端の自動運転技術を導入した「ロボットトラクタTJ Vシリーズ」は、(1)トラクタに搭乗せず、有人監視下で行うロボットモード、(2)トラクタに搭乗し、操作は自動で行うオートモード、(3)直進作業をアシストする自動操舵モードの3つの運転モードから状況に合わせたモードを選ぶことができる。ICTを活用した農機を市場に投入することにより、農作業の効率化、省力化に大きく貢献している。 (2) 収穫調製用機械 収穫調製用機械カテゴリーでは、穀物の刈り取りと脱穀を合わせて行うコンバイン・ハーベスタ・収穫した籾を乾燥させる乾燥機・籾摺機・野菜収穫機などを扱っている。2021年12月期の全社売上高に占める割合は12.0%と整地用機械、作業機・補修用部品・修理収入に次ぐ売上の柱となっている。また、海外においても5.8%を占め、同じく整地用機械、作業機・補修用部品・修理収入に次ぐ大きさとなっている。 同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルはコンバインの「HJ」シリーズだ。トラクタと同じく「高精度・高能率・高耐久」を実現していることはもちろん、最新のICTにより効率的な作業管理と機械管理を可能にするAGRI-SUPPORTの機能を標準装備。また、タイプによっては、遠隔監視による農機の盗難抑止、稼働情報の管理サービスを提供する「ISEKI リモート」も装備している。さらに、コンバインにも直進アシスト機能を搭載した製品を市場に投入予定で、田植機・トラクタ・コンバインの主要製品カテゴリーにおいて直進アシストモデルのラインナップが揃う。2023年度からの本格販売に向け、コンバインのデモ機により2022年秋の稲刈りの時期に顧客へのアピールを図っていく。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) 《SI》
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6310 東証プライム
1,022
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時価総額 23,491百万円
大手農業機械メーカー。稲作や野菜栽培用のトラクタや耕うん機等の整地用機械に加え、田植機や移植機等の栽培用機械、収穫用機械を製造、販売する。23年12月期の売上高は過去最高となった一方、販管費が増加した。 記:2024/03/07