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藤商事 Research Memo(4):スマートパチンコ/パチスロ機の導入による市場活性化に期待

2022/6/17 15:24 FISCO
*15:24JST 藤商事 Research Memo(4):スマートパチンコ/パチスロ機の導入による市場活性化に期待 ■藤商事<6257>の今後の見通し 1. 業界動向と市場シェア (1) 業界動向 パチンコホール業界はここ数年、客数の減少を背景とした経営環境の厳しさが続くなかで、ホール軒数の減少傾向が続いてきたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)でシニア層を中心に客数が一段と落ち込み、ホール数の減少傾向にも拍車がかかっている。2021年末時点のホール軒数は8,458軒(前年末比6.4%減)であったが、業界団体のデータでは8,000店舗を割り込む水準まで落ち込んでおり、経営体力のない中小事業者の淘汰が進んでいるものと見られる。遊技機の設置台数について見ても、2021年末時点でパチンコ遊技機が233万台(前年比3.9%減)、パチスロ遊技機が147万台(同6.2%減)となっており、市場の縮小が進むなかで遊技機メーカーの競争もさらに激しくなっている。 2022年度の出荷台数について、同社ではパチンコ遊技機が100万台(前年度比16.1%減)、パチスロ遊技機が60万台(同7.1%減)といずれも減少に転じる見通しを示している。これはパチンコホールにおいて旧規則機から新規則機への入替を2022年1月までに実施したことによる特需の反動が2022年度は出ると見ているためだ。また、足元では部材不足の長期化により、ホール側の需要に対して予定通りの台数を納品できないケースも出ているもようで、先行きの見通しについては依然、部材の供給状況によって変動する可能性がある。 こうした状況のなか、業界の再活性化の契機になるものとして注目されているのが次世代遊技機となるスマートパチンコ/スマートパチスロだ。従来の遊技機との大きな違いは、スマートパチンコは玉が封入され循環式となっており、また、スマートパチンコ/スマートパチスロともに遊技に必要な物理的な玉やメダルは使用せず電子情報を元に遊技ができるため、玉やメダルに触れることがないので感染防止対策につながるといったメリットがあることだ。これにより客足の戻りが鈍かったシニア層の回復が期待される。また、ホール運営側も出玉やメダルの持ち運びや計数管理など店舗スタッフの業務が減少し、人件費の抑制につながるといったメリットがある。 そして、ゲーム性が高く集客力向上が期待できるような遊技機の開発ができるよう、規則の範囲内で業界内のレギュレーション変更が行われた。スマートパチンコでは大当たり確率が従来の320分の1から350分の1になることでスペック設計の幅が広がり、多様性のある遊技機開発が可能となる。また、スマートパチスロについては、有利区間の最大遊技数※1が撤廃され、どの段階からも大当たりが期待できるようになったほか、出玉性能も従来は大当たり開始からの増加2,400枚が上限であったが、差枚で2,400枚が上限となった※2。そのほかの詳細についてはまだ不明だが、次世代遊技機の導入が停滞していたパチスロ市場の活性化につながるものと期待される。 ※1 有利区間の最大遊技数は、現行の6.5号機までは有利区間の上限が連続4,000ゲームとなっており、最大遊技数に到達した場合に初期化され非有利区間(通常区間)に戻る。 ※2 その日の台の収支がマイナス1,000枚だった場合、上限は3,400枚となる計算で、今まで以上に多くの出玉を獲得できるようになる(差枚方式については現行の6.5号機から採用)。 現時点では、スマートパチスロ機が2022年11月、スマートパチンコ機が2023年以降に導入開始となる見通しとなっている。懸念要因としては、半導体不足によって制御装置も含めて一定水準以上の台数を製造できない可能性が挙げられる。設備投資負担も掛かることから、当初は経営体力のある大手ホールから徐々に導入が進み、集客力が明確に向上することが確認できれば、導入ペースが加速していくことも考えられる。 (2) 市場シェアの動向 同社の販売シェアは人気機種の販売時期によって変動があるものの、パチンコ遊技機はおおむね5~9%で安定して推移しており、年間6~8機種のペースで新機種を開発、販売してきた。2021年3月期以降、「Pとある」シリーズが2タイトル続けて2万台を超えるヒット機種となったこともあり、従来得意としてきた「ホラー」や「時代劇」「萌え」に加えて新たに「アニメ」ジャンルで主力タイトルが確立されたことになり、今後のシェア拡大が期待される。2022年3月期のパチンコ機の販売シェアは、業界全体が新規則機の入替特需で販売台数が伸びたこともあって前期の8.1%から6.7%に低下したが、2023年3月期は7.1%と若干回復する見込みとなっている。 一方、パチスロ遊技機はパチンコ機で販売実績のあるタイトルを中心に年間2~3機種のペースで新機種を投入することを基本方針としている。新規則機の適合率が低下した影響で2022年3月期は1機種の投入にとどまったが、2023年3月期は複数のタイトルを投入する予定で、販売シェアは2%台となる。 同社では商品戦略として、ユーザーの年齢層別にターゲットを合わせたジャンルを強化し、主力タイトルの開発・育成を図っていくことで、ラインナップの拡充を図り、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェア拡大を目指していく方針だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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パチンコ・パチスロ機の中堅メーカー。1958年創業。無借金経営。「とある」シリーズなどアニメジャンルが主力商品。パチスロ遊技機の新製品「スマスロ ゲゲゲの鬼太郎 覚醒」は24年8月上旬から導入予定。 記:2024/06/11