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アンジェス Research Memo(7):高血圧DNAワクチンは、第1相/前期第2相臨床試験で安全性と抗体産生を確認

2021/12/6 15:07 FISCO
*15:07JST アンジェス Research Memo(7):高血圧DNAワクチンは、第1相/前期第2相臨床試験で安全性と抗体産生を確認 ■主要開発パイプラインの動向 3. 高血圧DNAワクチン プラスミドDNA製法を用いたワクチンの1つとして、高血圧症を対象としたDNAワクチン(AGMG0201)の開発を進めている。同ワクチンは大阪大学の森下竜一(もりしたりゅういち)教授の研究チームにより基本技術が開発されたもので、血圧の昇圧作用を有する生理活性物質アンジオテンシンIIに対する抗体の産生を誘導し、アンジオテンシンIIの作用を減弱させることで長期間安定した降圧作用を発揮するワクチンとなる。 現在、主力の治療薬としてはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬(経口薬))があるものの、毎日服用する必要があるため、長期的に見れば患者1人当たりの治療コストは高い。このため、発展途上国では医療経済上の問題から使用が限定的となっている。アンジェス<4563>が開発するDNAワクチンは既存薬よりも高薬価になると想定されるが、1回の治療で長期間の薬効が期待できるためトータルの治療コストは逆に低くなる可能性もあり、開発に成功すれば発展途上国も含めて普及拡大が期待される。 同社は2018年4月よりオーストラリアで第1相/前期第2相臨床試験(プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験、予定症例数24例)を開始し、2020年3月にすべての患者への投与を完了した。二重盲検下で6ヶ月間の安全性と有効性(血圧の低下等)を評価し、その後6ヶ月の非盲検下での長期安全性及び有効性を評価する試験となっている。 同試験結果についは、2021年10月17日付でHypertension Researchに論文として掲載されたほか、第43回日本高血圧学会総会でも発表している。主な内容としては、安全性に問題が無かったこと、また、DNAワクチンを投与した患者では、特に高用量群で抗アンジオテンシンII抗体の産生が多く認められたこと、全体として同ワクチンに対する忍容性は良好だったことを挙げている。ただ、抗体価については被験者ごとでバラつきがあり、今後分析する必要があるとしており、血圧降下作用といった有効性についても別の形でデータを纏めていく予定にしている。 同社では、今回の試験で安全性について問題のないことが確認できたことで、データの詳細分析を行いながら今後の開発方針を改めて策定することにしている。現状では投与量をさらに高めた第1/2相臨床試験または第2相臨床試験を実施し、安全性と有効性を確認する可能性が高いと弊社では見ている。なお、高血圧DNAワクチンに関しては2020年6月に日本で、7月に米国でそれぞれ製剤特許及び用途特許を取得している。 Emendoは2021年内に先進的なゲノム編集技術の開発成果を複数の学会で発表 4. Emendoのゲノム編集技術 新たに子会社化したEmendoでは、先進的なゲノム編集技術「OMNITM(オムニ)」を用いて遺伝子治療薬の開発を進めている。ゲノム編集とは、特定の遺伝子(DNA配列)をDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)によって特異的に切断、編集、改変する技術のことで、ゲノム編集により特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正することが可能となる。これまでも複数のゲノム編集技術が開発されており、なかでも、CRISPR/Cas9は従来技術よりも短時間で簡単に標的となるDNA配列を切断できる革命的な技術として評価され、その開発者が2020年のノーベル化学賞を受賞したことは記憶に新しい。 Emendoでは、これまで一般に用いられてきた既存のCas9ヌクレアーゼとは異なる新規のRNA誘導型ヌクレアーゼ(ガイドRNAがゲノム上の標的配列にCas9ヌクレアーゼを誘導する)を探索し、これらをゲノム編集に応用する独自の技術プラットフォームを確立し、それを「OMNITM」と命名した。Emendoが開発するOMNITMヌクレアーゼの長所は、ターゲット遺伝子ごとにヌクレアーゼが最適化されるため、高い効率と精度を持ってゲノム編集ができる点にある。ヒトでの遺伝子疾患治療薬の開発では、人体への悪影響を避けるためゲノム編集を高精度に行う必要があり、それが開発のボトルネックにもなっていた。「OMNITM」はそのブレイクスルーとなる技術として注目されている。Emendoでは2021年内に複数の学会で「OMNITM」技術による開発の成果を発表する予定となっており、同発表の内容を受けて注目度がさらに高まる可能性もある。 同社は社内に専任チームを作り、Emendの経営陣と「OMNITM」の技術を活かした適応症の選定などの協議を進めているが、2022年にも具体的な開発プロジェクトがスタートするものと予想される。また、「OMNITM」技術の利用を希望するバイオベンチャーや製薬企業などと現在水面下で契約交渉を進めている状況にあり、こちらも2022年には具体的な成果が得られる可能性がある。Emendoでは「OMNITM」技術を用いた遺伝子治療薬の開発だけでなく、同技術をプラットフォーム化してライセンスフィーを獲得していくビジネスも展開していくことにしている。なお、想定される適応症としては、血液系や眼科、がん疾患のほか、神経系、免疫疾患、循環器系、治療法のない常染色体顕性遺伝子疾患、厳密な発現調節を要する遺伝子疾患など多岐にわたり、潜在的な市場規模も大きいと考えられる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05