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サカタインクス Research Memo(1):環境配慮型製品に強み、新事業領域で新たな成長ステージへ

2021/10/1 16:01 FISCO
*16:01JST サカタインクス Research Memo(1):環境配慮型製品に強み、新事業領域で新たな成長ステージへ ■要約 サカタインクス<4633>は1896年創業以来120年以上の歴史を誇り、環境配慮型製品に強みを持つ世界3位の大手印刷インキメーカーである。ビジネステーマに「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、新事業領域への展開で新たな成長ステージを迎えている。 1. パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力 印刷インキ事業及び機能性材料を展開している。印刷インキは、パッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用インキ、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用インキ、飲料缶など金属缶印刷用インキなど)を主力とするほか、情報メディア向けインキ(新聞や雑誌、カタログなど)も展開している。機能性材料は、デジタル印刷材料(大型出力物やテキスタイルなどに使用される産業用インクジェットインキ、レーザープリンターや複合機に使用されるトナー)、液晶パネルの画像表示材料(カラーフィルター用顔料分散液)が主力である。 2. グローバル展開で米州及びアジアが利益柱、環境配慮型製品に強み 日本・アジア・米州・欧州の20の国・地域に製造・販売拠点を展開し、グローバル展開の加速、環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、米州及びアジアが利益柱となっている。植物由来成分を含む同社オリジナルブランド「ボタニカルインキ」シリーズなど、創業125年目を迎え、長い歴史のなかで培われた技術をもとに環境配慮型製品の開発力・品ぞろえ、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとして、グローバルで高い市場シェアを獲得している。 3. 2021年12月期第2四半期累計は期初予想を上回る大幅増収増益 2021年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.6%増の88,676百万円、営業利益が同58.6%増の5,045百万円、経常利益が同126.5%増の5,852百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同169.7%増の4,039百万円となり、期初予想を上回る大幅増収増益となった。売上面は印刷インキの数量増や機能性材料の販売回復などで期初予想を上回り、利益面は第2四半期以降に原材料・物流コストの高騰が顕著となったが、数量増、製品ミックス改善、販売価格改定、グループ全体におけるコスト削減などで吸収して大幅増益となった。 4. 2021年12月期通期連結業績予想は上方修正して増収増益幅拡大 2021年12月期通期連結業績予想は、2021年8月に上方修正を行い、売上高が2020年12月期比10.8%増の179,000百万円、営業利益が同24.8%増の9,000百万円、経常利益が同32.2%増の10,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同38.4%増の7,300百万円としている。日本及びアジアの印刷インキは新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)で販売数量が期初予想を下回る見込みだが、欧米のパッケージ用インキ及び機能性材料が好調に推移し、販売価格改定、製品ミックス改善、コスト改善、為替の円安なども寄与して、期初予想に比べて増収増益幅が拡大する見込みだ。なお原材料・物流コスト高騰の影響により下期の各利益は期初の下期予想を下回る形となったが、コロナ禍の影響が和らいで世界的に需要が回復基調であり、通期会社予想に再上振れ余地があると弊社では見ている。 5. 長期ビジョン達成に向けた基盤構築ステージの中期経営計画 長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」及び中期経営計画2023 CCC-Iでは、長期ビジョンを目指す姿として目標値に2030年12月期売上高3,000億円規模、営業利益率8%を掲げている。現中期経営計画は長期ビジョン達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、目標値に2023年12月期売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、ROE10%以上を掲げている。戦略の方向性を「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」として、3つの変革プロジェクト「グローバル連結経営のさらなる強化」「ステークホルダーとの関係強化」「人材育成の強化・組織風土の改革」を立ち上げた。 6. 新たな成長ステージ 地球環境問題やSDGsへの関心の高まりを背景として、印刷インキ市場でも世界的に環境配慮型製品へシフトする流れを強めている。環境配慮型製品の開発力・品ぞろえを強みとして高い市場シェアを獲得している同社にとって事業環境は良好と言えるだろう。このような市場動向に対応して、環境配慮型製品の開発・市場投入や、新事業領域への展開を一段と積極推進する方針だ。先行してグローバル展開した実績や各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウも豊富である。新たな成長ステージ入りして収益拡大基調を期待できると弊社では見ている。 ■Key Points ・パッケージ印刷用インキと機能性材料が主力で環境配慮型製品に強み ・2021年12月期通期連結業績予想は上方修正して増収増益幅拡大 ・環境配慮型製品の強みや新事業領域への展開で新たな成長ステージ (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《EY》
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時価総額 83,750百万円
1896年創業の印刷インキメーカー。各種印刷インキ、粉体トナーなどの機能性材料を手掛ける。アルミ缶用インキで世界トップシェア。総還元性向50%以上目指す。パッケージ分野中心に環境配慮型製品を積極展開。 記:2024/07/01