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窪田製薬HD Research Memo(1):「クボタメガネ」は2021年内に台湾でテスト販売予定

2021/9/30 15:41 FISCO
*15:41JST 窪田製薬HD Research Memo(1):「クボタメガネ」は2021年内に台湾でテスト販売予定 ■要約 窪田製薬ホールディングス<4596>は革新的な眼疾患治療薬及び医療デバイスの開発を進める米クボタビジョン・インクを子会社に持つ持株会社である。現在は、近視の進行を抑制または改善させる効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と、スターガルト病※及び網膜色素変性を適応対象とした治療薬候補品の開発を主に進めている。また、加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向けの遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」についても、パートナー候補企業と協議を進めており、商業化に向けた取り組みを進めていく方針となっている。 ※スターガルト病:遺伝性の若年性黄斑変性で、症状の進行とともに視力の低下や色覚障害を引き起こし、有効な治療法がいまだ確立されていない稀少疾患。患者数は欧米、日本で合計15万人弱と少ない。 1. クボタメガネの開発状況 「クボタメガネ」は網膜に人工的な光刺激を能動的に与える独自技術(アクティブスティミュレーション技術※1)により、自然光を受動的に用いる他社先行品よりも眼軸長※2を効果的に短縮することが可能で、近視の進行抑制に高い効果が期待できるデバイスとして注目されている。2021年5月に台湾で医療機器としての製造許可を取得し、現在は製造委託先工場で少量生産を開始した段階にある。2021年内にもまずは、近視矯正メガネとしてテスト販売を開始する予定で、販売価格は約30万円を見込んでいる。その後は医療用デバイスとして販売するため、各国の規制当局と交渉を進めていく方針となっている。現在、欧米のアカデミアで進めている共同研究のデータを用いることで認可を得られるか各国規制当局と交渉を進めているほか、2022年後半にグローバル治験を開始して2024年後半に欧州での医療機器認証(CEマーク)取得を目指す。CEマーク適用国は欧州以外でも多く、2025年以降は医療用デバイスとして普及拡大していくものと期待される。世界における近視人口は年々増加しており、同社は潜在的な市場規模として2030年に全世界で最大1兆3千億円の市場の可能性を有していると見ている。将来的には量産効果で価格も低下することが予想され、今後の動向が注目される。 ※1 アクティブスティミュレーション技術:ナノテクノロジーを用いて網膜に能動的に人工的な光刺激を与えて近視の進行抑制、治療を目指す同社独自の技術。特許も申請中となっている。 ※2 角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。 2. 開発パイプラインの状況 そのほかの主要開発パイプラインのうち、スターガルト病治療薬候補の「エミクススタト塩酸塩」については、第3相臨床試験の被験者登録が完了しており、順調に進めば2022年第3四半期以降に試験結果のデータベースロックが完了する見込みだ。有効性が確認されれば販売承認申請を行う予定で、販売パートナー契約についても、一部の販売地域に関して交渉がスタートしているもようだ。一方「PBOS」については、大学病院で実施していたソフトウェア改良や患者データの収集が終了し、現在は性能評価と並行して複数のパートナー候補企業と協議を進めている段階にある。遠隔眼科医療モニタリングデバイスは新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で重要性が一層増していることから、今後の進展が期待される。そのほかVAP-1阻害剤の候補化合物について、共同研究契約先のLEO Pharma A/S(デンマーク)のスクリーニング評価が終わり、高い安全性と少量での阻害効果が確認されたことを受け、現在、皮膚疾患領域等で10社程度との交渉が始まっている。また、研究データからがんの転移抑制効果が確認されれば、がん疾患領域におけるコンビネーション剤として注目される可能性も出てきている。 3. 業績動向 2021年12月期第2四半期累計(2021年1~6月)の連結業績は事業収益がなく、営業損失で1,335百万円(前年同期は1,292百万円)とおおむね計画どおりの進捗となった。研究開発費が前年同期比23百万円減少の986百万円となった一方で、特許関連費用や事業開発関連費用を中心に一般管理費が同28百万円増加の348百万円となった。2021年12月期通期の業績は期初予想を据え置いており、「クボタメガネ」の販売開始を想定し事業収益10百万円を見込んでいる。一方、営業損失は「クボタメガネ」の商業化に向けた関連費用の増加により2,900百万円(前期は2,484百万円の損失)とやや拡大する見通し。なお、2021年12月期第2四半期末の手元資金は5,532百万円となっており、当面の事業活動を行うための資金は確保されている。なお、2020年7月に発行した第三者割当による新株予約権(下限行使価額197円)については、2021年8月末時点で未行使分が544万株相当となっている。 ■Key Points ・「クボタメガネ」は台湾で2021年内のテスト販売開始を目指し、その後世界展開へ ・VAP-1阻害剤候補化合物は皮膚科系治療薬開発に向け10社程度と交渉を開始 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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眼科領域特化のバイオベンチャー。ウェアラブル近視デバイス、遠隔眼科医療モニタリングデバイス等を手掛ける。医療機器分野に経営リソースを重点的に投下。双日九州との業務提携で中国市場における販売拡大目指す。 記:2024/10/11