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日ピストン Research Memo(1):自動車エンジン進化への対応とともに、非自動車エンジン向け売上拡大も推進

2021/7/9 15:11 FISCO
*15:11JST 日ピストン Research Memo(1):自動車エンジン進化への対応とともに、非自動車エンジン向け売上拡大も推進 ■要約 日本ピストンリング<6461>は、主に自動車エンジン部品として使用されるピストンリングやバルブシートなどの大手メーカーである。世界の主要自動車メーカーに幅広く製品を供給している。会社設立以来約90年の歴史で培ったコア技術を応用し、新製品・新事業として非自動車エンジン向け売上拡大も推進している。 1. 会社概要 主要製品であるピストンリングやバルブシートは自動車エンジン性能に関わる重要機能部品であり、耐熱性や耐摩耗性の向上によってエンジン燃費効率向上に貢献している。高品質のピストンリングを供給できるメーカーについては、世界でも同社を含む5社に実質的に限定されている。また、バルブシートは、焼結合金の粉末配合のノウハウを強みに、日系自動車メーカー向けでは約4割とトップシェアを誇っている。 同社では、非自動車エンジン向け売上拡大に向けて、産業機器分野や医療分野を中心に新製品・新事業を推進している。一例を挙げると、医療分野では、ニッケルフリー・非磁性で生体適合性の高い医療用新材料として、チタンタンタル合金「NiFreeT(ニフリート)」の製品化・事業化を目指している。 2. 業績概要 2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比17.5%減の45,276百万円、営業損失が165百万円(前期は1,829百万円の利益)、経常利益が同80.0%減の355百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が813百万円(同490百万円の利益)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で世界的に自動車生産台数が減少したこと等により、減収となった。また、損益面においては、原価低減や固定費削減、業務効率化の効果等により下期は黒字化したものの、上期の落ち込みを補いきれず、リーマンショック以来の営業損失となった。ただし、半期別に見ると、上期は売上高19,629百万円、営業損失1,487百万円だったが、下期は売上高25,647百万円、営業利益1,322百万円と大きく改善した。これは、2020年6月より開始した新体制のもと、機構改革や収益構造の見直し等を推進し、実効性のある施策を展開したことによる。 2022年3月期連結業績予想は、売上高が前期比10.4%増の50,000百万円、営業利益が2,100百万円(前期は165百万円の損失)、経常利益が同490.3%増の2,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,300百万円(同813百万円の損失)を見込んでいる。コロナ禍の収束時期は未だに見通せず、インドの工場操業停止や、車載用半導体供給不足による一部自動車メーカーの減産なども不透明要因となるが、2021年3月期下期をベースとして需要を想定し、通期では前期比10.4%増の増収見込みとしている。利益面では、原材料の市況値上がりや新製品関連の研究開発費の積み増しなどを見込むが、増産や継続的な原価低減効果が寄与することで、増益を予想している。しかしながら、全体として保守的な印象が強く、会社予想から上振れて着地する可能性が高いと弊社では見ている。 3. 成長戦略 グローバル自動車市場は新興国における自動車普及進展などで中期的に拡大基調が予想されるが、同社にとっては中長期的な環境規制の影響(ガソリンエンジンのさらなる低燃費化、ガソリンエンジンの減少、新たなクリーン燃料エンジンの普及、自動車の電動化など)への対応が課題となる。こうした事業環境に対して同社は、電動化が一気に進む可能性は低いと想定し、コア事業の基盤強化に向けて、ガソリンエンジンの燃費性能向上やクリーン化への技術的対応、水素など新たなクリーン燃料によるエンジン進化への技術的対応、さらなる品質向上や原価低減などを推進する方針だ。加えて、徐々に進む電動化の流れも踏まえて、新製品・新事業による非自動車エンジン売上拡大にも注力する。 4. SDGsへの取り組み SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みについては、地球環境との共生、ステークホルダーとの共生、持続的な成長のための基盤醸成の3つのカテゴリーにおいて、それぞれ優先して取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な社会の実現に向けた活動を展開している。これらの活動により、サステナブル企業への躍進を目指している。 ■Key Points ・自動車エンジン用ピストンリングやバルブシートの大手メーカーで、バルブシートの市場シェアは日系自動車メーカー向けでは約4割とトップシェアを誇る ・2022年3月期は2ケタ増収・各利益は黒字転換の予想、さらに上振れの可能性も ・自動車エンジン進化への対応を進めるとともに、非自動車エンジン向け売上拡大も推進 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《YM》
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6461 東証プライム
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時価総額 15,911百万円
自動車メーカー向けピストンリング、バルブシート、シリンダ、カムシャフト等を製造。金属粉末射出成形品など非自動車領域も。産業機器向け製品は伸び悩むが、自動車関連製品事業は収益伸長。24.3期1Qは2桁増益。 記:2023/09/16