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ワコム Research Memo(7):新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」を公表

2021/6/9 16:47 FISCO
*16:47JST ワコム Research Memo(7):新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」を公表 ■成長戦略 1. 中期経営計画「Wacom Chapter 2」の進捗 (1) 「Wacom Chapter 2」の前倒し達成 ワコム<6727>は、2019年3月期に策定した2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Wacom Chapter 2」を推進してきた。「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りながら、顧客志向の技術革新を通じて持続的な成長を目指す内容となっている。具体的には、1)テクノロジー・リーダーシップの推進、2)アイランド&オーシャンによる緊密な連携、3)大胆な選択と集中、の3つの全社戦略に取り組み、2022年3月期の営業利益率10%(営業利益10,000百万円)、売上高100,000百万円、ROE 15~20%を目指してきた。経営課題解決への着実な取り組みと戦略の遂行により、主要な経営指標の目標を1年前倒しで達成できたことから、新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」(2022年3月期~2025年3月期)を公表した。 (2) 「Wacom Chapter 2」の総括 同社では、1年前倒しで達成できた業績面はもちろん、1)製品ポートフォリオの変革、2)デジタルペン体験の機会拡大、3)筋肉質な組織体制の構築、4)個の力を最大活用する企業文化の醸成などでも、以下のような一定の成果を残すことができたと総括している。 1) 製品ポートフォリオの変革 同社ブランド製品のエントリーユーザー層の裾野拡大につながる製品ポートフォリオの変革を行い、アプリケーション・パートナーとの協業を深化させたクリエイティブ領域のみならず、教育領域においても多くのユーザーにインク体験を提供することができた。これにより、開発進行中のデジタルインクに関するコア技術の将来的な高度利用につながる事業基盤の拡大に寄与した。 2) デジタルペン体験の機会拡大 タブレットやノートPCといった広く普及しているデバイスのみならず、電子ペーパーや教育事業者向けの専用デバイスなどを取り扱う多様なビジネスパートナーのユーザーにも、同社の技術ソリューションを通じて進化したペンと紙のデジタル体験を広く提供できたことで、働き方や学び方などユースケースの多様化への備えが前進した。 3) 筋肉質な組織体制の構築 研究開発や技術の展開、製品企画、資材調達、品質管理、在庫管理の各領域で、事業部門の壁を越えた取り組みが活性化した。課題に焦点を当てつつ利益を重視する姿勢が組織全般に浸透した結果、全社的な収益性の改善を通じて将来に向けた積極的、持続的な技術投資を支える基盤が構築できた。 4) 個の力を最大活用する企業文化の醸成 エンジニア組織を中心に志の高い個人が核となるプロジェクトチームを複数立ち上げ、様々なコミュニティのパートナーが有する強みと融合した価値創造によって、すべての関係者が成長を分かち合う意識の醸成が進んだ。 2. 新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」について 「ライフロング・インク」(お客様と社会に対して、ワコムの技術に基づく「人間にとって意味のある体験」を長い長い時間軸で、ご提供し続けていきます)のビジョンを継承し、これまでの取り組みをさらに発展、進化させるべく、改めて「5つの戦略軸」を設定した。その実行にあたっては「6つの主要技術開発軸」を定め、コーポレート技術ロードマップとして運営し、具体的な価値提供と持続的な成長につなげていく方針である。また、コーポレート・ガバナンス改革等を通じた経営の質の向上、同社独自のアプローチによる社会・コミュニティへの関わりにも取り組む方針である。 (1) 5つの戦略軸の設定 1) Technology Leadership 引き続き、同社の提供価値の源泉である技術革新に注力し、圧倒的な技術優位を維持・展開していく戦略である。クリエイティブや教育分野をはじめ、各種DX(行政窓口手続き、書類申請、業務フローでのPDF書き込み、電子投票等)への寄与、様々な最新機種やデジタル文具等への搭載、スマートホームソリューションへの組み込みなどに取り組んできたが、今後もハードウェア、ソフトウェア、サービスにまたがる技術開発により、最高の「ペンと紙とインク体験」を提供していく考えだ。 2) Community Engagement 同社だけではなくコミュニティ(パートナー)と深く連携し、価値ある体験を形成していく戦略である。最近の事例では、ピクシブ(株)との共同による大規模オンライン作画フェスの開催※、教育分野などで広く導入されているChromebook対応認定商品やアンドロイド対応、リモート環境での創作ワークフローの構築などで連携を図っている。 ※2021年5月22日より3日間にわたって視聴者参加型のライブストリーミングイベント「Drawfest(ドローフェス)」を開催。世界中の人気イラストレーター、マンガ家等による絵の描き方のオンライン講座・ワークショップのほか、視聴者全員で一斉に絵を描き時間内に完成させる参加プログラムなどが行われた。 3) New Core Technology, New Value Proposition 既存のコア技術に加え、新しいコア技術をもとに新しい価値を創造する戦略である。既存技術と親和性の高い「AI、XR、Security」の3分野を選択し、新コア技術と新しいビジネスモデルで新しい価値提供を実現していく考えだ。例えば、デジタルインクとAIによる新しい教育体験※1の創造や、ブロックチェーン証明による著作権の保護※2、XR空間での描画体験※3などについては、すでに他社との協業によりプロジェクトが動いている。 ※1 (株)増進会ホールディングス(Z会グループ)との教育分野における「手書き×デジタル」の利用に向けた包括的な業務提携契約を締結したほか、エスディーテック(株)と「手書き×デジタル」のAI利活用に向けた共同開発などに取り組んでいる。 ※2 デジタル署名認証技術を用いて、デジタルアート作品やその証明書に署名を組み込んで作品証明とし、制作者の権利を保全して流通させる仕組み。 ※3 複数・遠隔地のクリエイターとの共同作業や2Dと3Dを自由に行き交う新たなクリエーション体験など。 4) Technology Innovation for Sustainable Society 環境ケアに貢献する技術開発と商品開発により、持続可能な社会発展への貢献を目指している。すでに気候変動イニシアティブ(JCI)への参加や環境ケア技術開発部門の設置により、同社ならではの技術革新を進めている。また「使い続けていく」ことを体現する企業活動にも取り組んでおり、例えば廃材で作るステージを家具へ再利用する活動なども行っている。 5) Meaningful Growth 経済的な成長(財務側面)をしっかり確保しながら、顧客・ユーザー、社会・コミュニティ、関連する個人など多面的側面での「意味深い成長」を模索する方針であり、長期的な視点での持続的な成長を目指していく。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《EY》
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時価総額 100,867百万円
描画用ペンタブレットで世界首位。韓国サムスン社など向け電子ペンOEMも。24.3期3Q累計は自社ブランド品の需要が戻らず。だがOEMが回復。経費削減や円安なども寄与して増収増益に。営業外に為替差益を計上。 記:2024/04/11