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オンコリス Research Memo(6):「OBP-702」は米国で2022年のIND申請、臨床試験入りが目標

2021/3/23 15:16 FISCO
*15:16JST オンコリス Research Memo(6):「OBP-702」は米国で2022年のIND申請、臨床試験入りが目標 ■開発パイプラインの動向 2. 次世代テロメライシン「OBP-702」 オンコリスバイオファーマ<4588>は次世代テロメライシンとして、テロメライシンに強力ながん抑制遺伝子であるp53を組み込んだアデノウイルス製剤「OBP-702」の開発を進めている。がん患者の30~40%でp53遺伝子に変異・欠損(悪化因子)があり、こうした患者向けの腫瘍溶解・遺伝子治療となる。テロメライシンと比べて間質細胞※を破壊する能力が高く、さらに、テロメライシンと比較して約10〜30倍の抗腫瘍活性を示すことが非臨床試験から明らかとなっている。 ※臓器の結合組織に関わる細胞で、生体組織の支持構造を構成し、実質細胞を支える細胞である。線維芽細胞、免疫細胞、周皮細胞、内皮細胞及び炎症性細胞が間質細胞の最も一般的な種類で、間質細胞と腫瘍細胞との相互作用は、がん細胞の増殖と進行に大きな影響を及ぼすことが知られている。 2017年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究プロジェクトとして採択され、岡山大学において、ヒト型骨肉腫細胞株をマウスに移植した非臨床試験を実施、投与後28日目の腫瘍の大きさをテロメライシンやp53の単独投与と比較したところ、大きさを約半分に抑える効果があることが確認されている。また、2019年4月に米国で開催された癌学会において、膵臓がん細胞の増殖に対して強力な抑制効果があり、膵臓がん細胞の組織浸潤と転移を抑制できる可能性のあることが動物実験モデルにより示されたほか、神経芽腫細胞に対してがん関連遺伝子やテロメラーゼ活性を抑制し、非常に強い増殖抑制作用が示されたことなどが研究報告として発表されている。 「OBP-702」の開発方針としては、アンメット・メディカル・ニーズが強く、テロメライシンで効果が得られにくいがん種、あるいは既存治療法に抵抗を示すがん(p53遺伝子欠損・変異がん)や間質細胞の多い難治性がんなどを対象に免疫チェックポイント阻害剤との併用療法で開発を進めていく方針となっている。具体的には、骨肉腫、直腸がん、膵臓がんなどを想定している。既に、GMP※基準によるウイルス製剤でマウスを使った前臨床試験をスタートしており、2022年に米国でIND申請を行い、第1相臨床試験開始を目標としている。また、国内については岡山大学が引き続きAMEDの助成を受けて開発を進めていくことが決定しており(研究開発期間:2021−2023年度)、2023年以降に治験申請を行うことを目標としている。開発が順調に進めば2025年頃にライセンス契約を締結できる可能性がある。 ※GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造及び品質管理に関する基準のこと。GMP認定のためには、製造工場ごとに構造や設備の運用・管理、製品の品質・衛生・製造管理などの細部にわたる審査・査察を受け、基準を満たすことが必要となる。創薬においては、GMP準拠施設で製造されたGMP製剤でないとヒトを対象とする治験に適用できない。 新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に着手、2023年までに幅広く利用可能な経口剤としてPOC取得を目指す 3. 新型コロナウイルス感染症治療薬「OBP-2011」 同社は鹿児島大学との共同研究の中で、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する低分子化合物を複数特定し、培養細胞を用いた実験では承認済みのレムデシビルと同等以上の活性が示されたことを確認した。2020年6月には、同研究成果に基づいて鹿児島大学が出願中の抗SARS-CoV-2薬の特許譲受に関する契約を締結し、開発に着手している。鹿児島大学に対しては、今後、開発進展に応じたマイルストーン、第三者からの収入に応じたロイヤリティなどを支払っていくことになる。 2021年3月には、複数の候補化合物の中から有力と思われる化合物を絞り込み、「OBP-2011」を経口剤として開発を進めていくことを発表している。対象はPCR陽性の無症状から中等症までの患者を対象とする。2021年中にGMP基準による製造や毒性試験、薬理試験などを実施し、2022年に治験申請を行い、健常人を対象に第1a/1b相臨床試験による安全性及び容認性を確認した後に、新型コロナウイルス感染症患者に第2相臨床試験を行い、2023年までにPOCを取得し、ライセンス交渉に臨むことにしている。第3相臨床試験は大規模治験となり多額の開発費用が必要となるため、パートナーが決まれば進めていくことになる。開発については国内外問わず、状況を見ながら検討を進めていく予定だ。日本政府も予防ワクチンの開発について補助金などを拠出して開発を進めているが、今後、治療薬についても国産化の必要性を鑑み、開発を支援していく可能性があるためだ。 経口剤としての製剤化については既に国内の製薬企業と協議を進めている段階にある。同社では1日1~2回の服用を1週間程度続けることで治る薬の開発を目指している。新型コロナウイルス感染症は今後、インフルエンザのように季節性感染症として毎年、流行する可能性もあり、安価な経口剤の開発にいち早く成功すれば、その市場価値も高まるものと期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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ウイルス遺伝子改変技術を用いてがん治療薬を開発する「ウイルス創薬」バイオベンチャー。テロメライシンは富士フイルム富山化学と国内販売提携契約を締結。研究開発費は増加。23.12期通期は米国売上が増加。 記:2024/02/25