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RSテクノ Research Memo(8):中国プライムウェーハ市場で増産投資が活発化、今後の需給バランスの動向に留意

2020/9/24 15:48 FISCO
*15:48JST RSテクノ Research Memo(8):中国プライムウェーハ市場で増産投資が活発化、今後の需給バランスの動向に留意 ■今後の見通し 2. 中期経営計画 RS Technologies<3445>は期初に中期経営計画(4ヶ年)を発表している。2020年12月期は中国子会社における工場移転の影響などにより、減収減益となる見通しとなっている。しかし、2021年12月期以降は再び成長ステージに移行し、2023年12月期に売上高で31,600百万円、営業利益で6,800百万円を目標に掲げている。営業利益率は2019年12月期の19.3%から、2023年12月期は21.5%を目指す。投資拡大により減価償却費が増加するものの、増収効果でカバーする。2019年12月期を起点とした4年間の平均成長率は、売上高で7%、営業利益で10%となる。この間の半導体市場の成長率は5%成長を前提としている。 プライムウェーハ製造販売事業においては、コロナ禍による世界経済の悪化、米中通商摩擦の激化に加えて、プライムウェーハの増産投資が活発化している。8インチウェーハについては、天津中環半導体が現在の月産20万枚から2020年内に30万枚、将来的に70万枚まで増強する計画となっているほか、フェローテックホールディングス<6890>も現在の月産10万枚を2021年末に35万枚に増強する計画を打ち出している。今後の中国市場における8インチウェーハの需給バランスの動向には留意する必要がある。 一方で、ウェーハ再生事業については主力顧客のTSMCが最先端半導体でさらに競争力を増しており、同社にとっても中期的に追い風となる。TSMCでは2024年に米国・アリゾナ州に月間2万枚の生産能力を持つ半導体工場を建設する予定となっているが、同工場が稼働した場合、同社の再生ウェーハの納入先として加わることになるためだ。TSMCでは同社の再生ウェーハの品質・技術力が高く評価されている。 (1) ウェーハ再生事業 ウェーハ再生事業については、12インチウェーハの業界シェアアップを目指して、日本及び台湾での能力増強に加えて、2022年より中国の合弁会社、山東有研RS半導体材料有限公司(以下、SGRS)※で量産を開始する。12インチ再生ウェーハの月産能力はグループ全体で2019年12月期の40万枚から2022年12月期には50万枚に拡大することになる。 ※2020年3月に同社とGRINM、徳州市政府ファンドの合弁会社として設立された。12インチプライムウェーハの製造販売及び12インチウェーハ再生事業を行う。 設備投資計画について見ると、国内では2020年に2億円、2021年に10億円、2022年に2億円を投資し、月産能力は2019年の25万枚から2021年に27万枚、2022年に28万枚に拡大する。一方、台湾については2020年に2億円、2021年に13億円を投資し、月産能力は2019年の15万枚から2021年に17万枚に拡大する。2021年は、微細化対応のための検査機や研磨機の導入を主に予定している。当初は2022年に実施する予定であったが、現地での旺盛な需要を受けて1年前倒しすることを決定した。中国については、2020年に徳州工場のインフラ等を整備し、2022年までに38億円をかけて月産5万枚の量産ラインを構築して稼働を開始する予定となっている。なお、2022年以降に中国で量産が開始されれば、現在、国内から中国へ輸出している分を徳州工場からの出荷に切り替え、国内工場で余った能力については日本・アジア・欧米に振り向けていくことにしている。 (2) プライムシリコンウェーハ製造販売事業 プライムシリコンウェーハ製造販売事業では、山東GRITEKが8インチウェーハの生産能力を現在の月産7万枚から2021年に12万枚に拡大する計画となっている。前述のとおり2020年は北京工場の生産設備を徳州工場に移設し、2020年11月より月産7万枚のラインが稼働する。また、5万枚の新設ラインを導入することで2021年は12万枚に拡大する見通しだ。設備投資額は合計140億円を計画している。 また、SGRSで12インチプライムウェーハの量産化に向けた研究開発用のテストラインの整備を進めていく予定で、2021年に月産1万枚のラインを整備する。総投資額は2021年までの2年間で50億円を計画している。今後1.5〜2年で量産化の目途を付け、その後、半導体メーカーからの認証を得ながら量産を開始し、将来的には月産30万枚の量産体制を目指していく。12インチプライムウェーハの量産化に向けては投資額が数百億円規模と多額の資金が必要となる。同社はGRINM、徳州市政府系ファンドと合弁会社を設立し、出資割合を約20%とすることで初期リスクを抑制している。なお、出資するのは3社だが、徳州市政府からも補助金の給付や電力・ガスなどインフラ面での優遇措置でサポートを受けることになっている。 (3) 半導体産業を国策として育成する中国 中国政府は半導体産業を国策として育成しており、現在、15%程度にとどまっている国産化率を2025年に70%まで引き上げていくことを目指している。ただ、半導体の製造技術や材料技術についてはまだまだ遅れを取っているのが実情である。中国最大のファウンダリーメーカーであるSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)でも売上高は30億ドル強の水準にとどまっている。最先端の半導体を製造するためには、微細な配線パターンを形成するための製造装置や高品質なシリコンウェーハなどが必要となる。しかし、現状はいずれも海外からの調達に依存しており、最先端分野の半導体の量産技術が蓄積されていないことが要因と見られる。 とはいえ、液晶ディスプレイ市場ではここ10年間で政府の補助金の後押しによる積極投資により、台湾や韓国メーカーからのシェア奪取に成功している。半導体市場でも同様の動きとなる可能性は十分あり、中国で現地政府などからの支援を得て事業展開している同社にとっても追い風となるのは間違いない。2019年12月期の中国向け売上構成比は30.0%だが、12インチ再生ウェーハやプライムウェーハの量産化が始まれば、その比率はさらに上昇し、同社の収益拡大に貢献するものと予想される。なお、同社は再生ウェーハの検査工程で米国製の検査装置を導入しているが、中国では輸出規制対象外の機種で対応可能であり、中国でのウェーハ再生事業を展開するに当たっての支障はないものと同社では判断している。 (4) 今後の事業領域及び販売地域の展開 同社は長期的な戦略として、事業領域と販売地域の拡大を進めていく方針としている。現在、新規展開を予定しているものとして、中国で生産しているプライムウェーハの中国以外の地域への販売が挙げられる。日米欧市場で採用されるためには更なる品質の向上が求められるが、同社ではキャッチアップを成し遂げ、世界へ販売していくことを目指している。また、商社機能として半導体・電子部品、消耗材などの販売を日本と中国で展開しているが、今後、欧米市場での販売展開も進めていく予定にしている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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