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カルナバイオ Research Memo(1):2020年より自社開発品の臨床試験開始、ギリアドへの導出品の進捗も期待

2020/5/28 15:21 FISCO
*15:21JST カルナバイオ Research Memo(1):2020年より自社開発品の臨床試験開始、ギリアドへの導出品の進捗も期待 ■要約 カルナバイオサイエンス<4572>は、細胞内のシグナル伝達物質であるキナーゼの働きに着目した創薬及び創薬支援事業を行うバイオベンチャーである。創薬事業では主にがん領域や免疫炎症疾患などアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患を対象としたキナーゼ阻害薬の研究開発を行っている。2016年5月に抗がん剤治療薬候補となるCDC7キナーゼ阻害薬を北米のバイオベンチャーであるSierra Oncology, Inc.(以下、シエラ)へ導出、グローバルライセンス契約を締結したことに続き、2019年6月にはGilead Sciences, Inc.(以下、ギリアド)との間で同社が新規がん免疫療法として研究開発中の低分子化合物プログラムに関するライセンス契約を締結している。 1. 2019年12月期の業績概要 2019年12月期の業績は、売上高で前期比325.0%増の3,207百万円、営業利益で977百万円(前期は1,144百万円の損失)となった。新規がん免疫療法の創薬プログラムに関してギリアドとライセンス契約を締結し、契約一時金として20百万米ドル(2,128百万円)を受領したこと、創薬支援事業の売上高が米国、中国向けの販売好調により同53.2%増の1,079百万円と大幅伸長したことが増収増益要因となった。ギリアドとの契約では、今後開発の進捗に応じて最大450百万米ドルのマイルストーン収入、及び本プログラムによって開発した医薬品が上市された場合は、売上高に応じたロイヤルティ収入を受領することになる。開発パイプラインの進捗としては、炎症性免疫疾患を対象としたBTK阻害剤「AS-0871」の臨床第1相試験を開始するべく、2019年12月にオランダ当局にCTA(臨床試験許認可申請)を提出、2020年前半にも臨床試験を開始する予定となっている。 2. 2020年12月期の見通し 2020年12月期は創薬支援事業の売上のみで前期比67.7%減の1,036百万円、営業損失1,779百万円を見込んでいる。「AS-0871」の臨床試験費用や血液がんを対象とするBTK阻害剤「AS-1763」の前臨床試験費用などにより、研究開発費が前期の1,281百万円から2,040百万円に増加する。「AS-1763」は2020年内に欧州でCTA(臨床試験許認可申請)を提出し、承認取得後に臨床試験に進める計画となっている。 3. 創薬ビジョン2030 同社は中期戦略として「創薬ビジョン2030」を掲げている。2025年頃までにブロックバスター候補となる「AS-0871」「AS-1763」の臨床試験を進め、ヒトによるPOC※を取得した段階で導出、マイルストーン収入の獲得により経営の安定化を図る。2026年以降は導出した複数のパイプラインから得られるマイルストーン収入のほか、導出品の上市による販売ロイヤリティ収入の獲得で持続的な利益の創出を目指していく。当面は開発ステージが続くため資金調達が必要となるが、資金調達の手段としては従来のような新株予約権の発行だけでなく、安定株主づくりの意味も含めた第3者割当増資も選択肢の1つとして検討する。 ※新薬候補物質の有効性や安全性がヒトで確認されること。 ■Key Points ・2020年より炎症性免疫疾患を対象としたBTK阻害剤「AS-0871」の臨床第1相試験を開始 ・2019年12月期はギリアドとのライセンス契約締結で大幅増収、営業利益も4期ぶりの黒字を計上 ・自社臨床試験でパイプラインの価値最大化に取り組み、複数パイプラインのマイルストーン及び販売ロイヤリティ収入の獲得で持続的な利益創出を目指す (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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キナーゼ阻害薬等の研究開発を行うバイオベンチャー。がん、免疫炎症疾患が重点領域。キナーゼタンパク質の販売、受託サービス等を手掛ける創薬支援事業も。次世代非共有結合型BTK阻害剤AS-1763に注力。 記:2024/08/06