マーケット
6/28 15:15
39,583.08
+241.54
39,118.86
-45.20
暗号資産
FISCO BTC Index
6/29 19:17:40
9,820,186
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

イルグルム Research Memo(3):「アドエビス」は新価格体系により第3四半期には月単価10万円超え

2019/12/12 15:13 FISCO
*15:13JST イルグルム Research Memo(3):「アドエビス」は新価格体系により第3四半期には月単価10万円超え ■事業概要 1. マーケティングPF事業 (1) 事業特性、商品特性 イルグルム<3690>はマーケティングPF事業として、顧客企業のデジタルマーケティング活動を支援する様々な商品・サービスをクラウドベースで提供している。顧客企業は、マスメディアや広告に対する反応(上流)から、リスティング広告のクリック履歴(中流)を経て、自社サイトでの申し込み(下流)に至るまで一気通貫で顧客行動やマーケティング施策の効果を把握できる。同社の商品ラインナップの中で中核となるのが、「アドエビス」と「アドレポ」である。「アドエビス」は広告効果測定システムを中心とした「測定」機能に強く、そこで蓄積されたマーケティングデータを「活用」する機能により、一気通貫したマーケティングを実現する、“マーケティング効果測定プラットフォーム”である。このツールは、各広告の成果を一元管理・可視化できるため、費用対効果の良し悪しを簡単に把握することができる。「アドレポ」は、これまで手作業で行われることが多かった運用広告のレポート作成を自動化。あらゆる媒体を横断したレポートを瞬時に出力することができる。つまり、同社の基盤技術は、測定したビッグデータを解析し、データ活用を自動化するというものである。 (2) 顧客・流通 顧客はデジタルマーケティングを行う企業・団体・広告代理店などである。デジタル広告費用が月50万円を超えるようになると、「アドエビス」などのツールを使い効果・効率を求めるニーズが高まる傾向にある。営業に関しては、約300社の代理店経由と自社による直接販売がある。ちなみに、公開可能な導入実績(「アドエビス」及びDMP活用)として、ライオン<4912>(トイレタリー)、(株)ECC(教育)、(株)やずや(通販)、アイフル<8515>(金融)、NTTデータ<9613>(通信)など多様な業種で活用されている。同社はアドエビスの専門知識を持つパートナーを認定する制度「EBiStar」を新設しており、 (株)電通ダイレクトマーケティング、トランスコスモス<9715>、フルスピード<2159>などを含む87社が認定されている。 (3) 市場・競合 インターネット広告市場は継続的に成長しており、同社には追い風となっている。2018年のインターネット広告市場規模は1兆7,589億円と推定され、広告市場の4分の1を超えて益々存在感を増している。スマートフォン広告の増加、動画広告の増加、SNS広告の増加、アドテクノロジーの進化を背景にした運用型広告の拡大などが主な要因である。出稿するメディアの多様化は一元管理のニーズを高めていると考えられ、この点でも一気通貫のプラットフォームを持つ同社にとっては追い風である。 広告効果測定に限定して市場及び競合状況整理をすると、3つのセグメント(ローエンド顧客、ミドルエンド顧客、ハイエンド顧客)に分けることができる。ローエンド顧客は、ネット広告出稿量が少なく、Googleアナリティクスなどの無料サービスでニーズが満たされている。ミドルエンド顧客は、同社の対象顧客であり、月額50万円以上のネット広告出稿を多様なメディアに行っており、一元管理や効果・効率を求めている層である。ハイエンド顧客は、さらに大規模な広告出稿を行い、カスタマイズの自由度が高く専門性が高い。Adobe Analyticsがこのニーズに応える代表的なツールであり、同社の月額単価とは数倍の価格差がある。同社は、ミドルエンド市場に特化して展開しているため、競合サービスとは棲み分けが成されている。同社は、広告効果測定市場において市場シェア44.2%を獲得し、2位に2倍以上の差を付けている。 (4) 重要な経営指標(KPI) マーケティングPF事業の重要な経営指標(KPI)は、「アドエビス」のアクティブアカウント数と月額平均単価である。2019年9月期末のアクティブな顧客数は1,425件(前期末比で93件減少)となった。件数減少の背景には新価格体系への移行がある。一連の開発による機能充実に合わせ、2018年より価格体系の移行を順次行っている。その結果、2019年3月期第4四半期の顧客単価(平均月単価)は、107,143円(前年同期比22,225円増)と10万円を超えてなお上昇している。価格体系の移行は新規顧客から開始され、既存顧客においても移行がほぼ完了した段階だ。マーケティングPF事業の売上高は「アカウント数」×「月額平均単価」で算出されるため、2019年9月期に入ってからの単価の上昇が増収に貢献している。 (5) サブスクリプションモデル マーケティングPF事業の事業特性は、ライフタイムが長いサブスクリプションのビジネスモデルである。顧客獲得のためのマーケティング及びセールス投資が先行するものの、回収後の長いライフタイムを通じて、安定収益を獲得していくモデルとなっている。1回契約すると平均で3年以上継続するため、顧客数が積み上がる傾向にある。したがって、同社はマーケティングやセールスへの積極的な投資を先行させ、中長期的な収益拡大を目指す方針を取っている。マーケティング及びセールス部門費用の対売上比は理想値である30%をやや下回り26%(2019年9月期通期)である。 2. 商流PF事業(EC-CUBE部門) 「EC-CUBE」は同社がプロデュースするECサイト構築ツールである。「高いカスタマイズ性」と「低コスト/簡単」を両立し、ECサイトの質を求めるユーザーから高い支持を得てきた。現在、国内シェアNo.1のオープンソースとしてWeb制作に欠かせないプラットフォームとなっている。 特筆すべきはそのビジネスモデルで、1)無料配布、2)開発は外部コミュニティが行う(一部は同社も担当)、3)営業はパートナー企業が行う、4)物流や決済などは外部のEC関連事業者が行う、5)同社はEC関連事業者からのマージンを収入とする、などの特徴が挙げられる。同社は人材や設備などの大きな投資は行わず、顧客を含めたプレーヤーすべてが満足するエコシステムを構築している。 EC市場全体としては、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などの大手事業者に取引が集中する傾向にあるため、中小EC事業者の自社サイトの取引は伸び悩む会社もある。同社としても、EC-CUBE部門の売上は横ばいである。今後も大きな投資などはしないものの、デザイン性やセキュリティの強化策を着実に行っていく。2019年1月には、子会社(株)イーシーキューブによる独立した事業運営体制がスタートし、更なる成長を模索する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《YM》
関連銘柄 6件
2159 東証スタンダード
549
8/31 15:00
±0(%)
時価総額 8,548百万円
フリービット傘下のネット広告会社。DX、動画、AIへの展開に注力。インターネットマーケティング事業は収益堅調。特損減少。22.4期通期は最終増益。フリービットによるTOBは成立、同社株式は上場廃止予定。 記:2022/07/30
3690 東証グロース
616
6/28 15:00
-2(%)
時価総額 3,925百万円
広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」などのマーケティングDX支援事業、ECサイト構築の「EC-CUBE」などのコマース支援事業を展開。マーケティングプロセス領域における新サービスなどで成長目指す。 記:2024/06/07
4912 東証プライム
1,254
6/28 15:00
-18.5(%)
時価総額 366,840百万円
トイレタリー用品や医薬品等を展開。オーラルケア国内首位。衣料品洗剤や石鹸も有力。ホームケア分野の競争力強化図る。薬品分野はニキビ薬等の売上が伸びる。23.12期通期は増収。24.12期は2桁営業増益計画。 記:2024/04/16
8515 東証プライム
381
6/28 15:00
-4(%)
時価総額 184,640百万円
大手消費者金融会社。無担保ローンや事業者ローンの提供が主力。カードローンやキャッシングローン、事業サポート等の融資に関するサービスを提供。貸倒費用増加も新規顧客拡大で吸収。組織統合など合理化を進める。 記:2024/06/01
9613 東証プライム
2,362
6/28 15:00
+1.5(%)
時価総額 3,312,705百万円
NTT傘下のSI大手。金融分野や公共・社会基盤分野向けに強み。24.3期3Q累計は親会社との海外通信事業統合会社がフル連結化。公共、金融案件の獲得も順調。営業外の金融費用増。通期営業最高益・増配を見込む。 記:2024/03/07
9715 東証プライム
3,465
6/28 15:00
-25(%)
時価総額 169,071百万円
デジタルマーケティングやECワンストップサービス、コンタクトセンターサービスのCXサービスが主力。BPOサービス等も。大手企業中心に約3000社と取引実績。アジア中心にグローバルでの事業展開加速を図る。 記:2024/06/04