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デジハHD Research Memo:上期は攻めの投資を継続、下期は大幅な利益回復基調へ

2019/12/6 15:11 FISCO
*15:11JST デジハHD Research Memo:上期は攻めの投資を継続、下期は大幅な利益回復基調へ 1. 「デバッグ」「システムテスト」ともに好調、第2四半期(7月−9月)ではエンタープライズ事業で黒字化達成 デジタルハーツホールディングス<3676>の2020年3月期第2四半期累計(4月−9月)決算は、売上高は10,222百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益518百万円(同33.3%減)、経常利益513百万円(同32.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益277百万円(同45.4%減)で着地した。同社は現在、「第二創業期」として、主力事業であるエンターテインメント事業の更なる成長の追求及びエンターテインメント事業に続く第2の収益の柱を育てるべくエンタープライズ事業の拡大に注力しており、第2四半期連結累計期間の売上高は、主力のデバッグ及びシステムテストサービスが好調に推移。エンターテインメント事業、エンタープライズ事業ともに増収を達成しており、過去最高を更新した。一方、利益面については減益となっているが、エンジニア採用やM&A等、今後の成長に向けた積極的な投資を行った影響等によるものである。この「第二創業期」で最も注力するエンタープライズ事業においては、テストエンジニアの稼働率向上に伴う粗利益率改善により、第2四半期 (7月−9月)において黒字化を達成している。 2. エンターテインメント事業は主力のデバッグが増収増益を達成 セグメント別の業績では、主に、ゲームコンソール、モバイルソリューション、アミューズメントのデバッグ、ゲームの受託開発、プロモーション活動のサービスを展開するエンターテインメント事業の売上高が8,127百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益が1,487百万円(同1.6%減)だった。デバッグについては、ゲームコンソール、モバイルソリューション、アミューズメントのすべてにおいて増収となった。特に、コンソールゲーム向けのサービスにおいて、複数の大型タイトル案件を多数受注し大幅増収を達成したほか、アミューズメント向けについては、規制強化による厳しい市場環境から復調傾向にあるなか、新台開発にかかるデバッグニーズを確実に取り込んだ。デバッグについては、下期についても堅調な業績が続くものと期待できる。メディアについては、主に「4Gamer.net」において、独自取材による付加価値の高い情報のスピーディな配信が奏功したほか、カスタマーサポートサービスにおいて順調に案件を獲得した。一方、クリエイティブについては、モバイルゲームの新規タイトル開発数が大幅に減少した影響から減収となり、エンターテインメント事業全体の減益要因となった。クリエイティブは下期も厳しい環境が続くが、同社ではデバッグとの連携強化等により、売上・利益の改善を目指すとしている。 3. エンタープライズ事業は「第二創業期」として初の黒字化を実現 エンタープライズ事業の売上高は2,094百万円(前年同期比43.5%増)、事業拡大に向けたアライアンスやM&A推進により、セグメント損失は181百万円(前年同期は119百万円の損失)だった。新卒採用・中途採用によりテストエンジニア(候補者含む)を2019年3月期第4四半期末から40名程度増員したこと等から、第1四半期(4月−6月)においてセグメント損失は184百万円だったが、第2四半期(7月−9月)に「第二創業期」として初の黒字化を実現しており、徐々に収益化に向けた体制が整いつつあるようだ。 エンタープライズ事業では、主に、エンタープライズシステムを対象とするシステムテスト及び受託開発サービスや、ITサポート、セキュリティ等のサービスを提供する。システムテストについては、新規案件の獲得に必要不可欠であるテストエンジニアの確保・育成を目的とする積極的な人材投資を継続するとともに、「統合コントロールセンター」新設により、テストエンジニアの稼働状況やプロジェクト進捗管理等を徹底。さらに、2019年8月1日付でM&Aにより、テスト自動化に関する高い技術力や豊富な実績を有する米国LOGIGEAR CORPORATION(以下、ロジギア)及びその子会社をグループ化した。これらの施策により新規顧客開拓や1社当たりの取引規模の拡大が進み、システムテストの増収率は前年同期比83.4%増と大幅に伸びている。また、ITサービス・セキュリティについては、システムの受託開発が好調に推移したほか、セキュリティサービスにおいて、米国Synackによるペネトレーションテストサービスの新規案件を獲得しており、増収率は同19.7%増と2ケタの伸びとなっている。なお、ロジギアは第4四半期から連結対象に加わる予定であり、システムテストにおいては特に第4四半期に売上が大きく伸びる見込みである。 4. 2020年3月期は、期初計画を据え置きとし、下期からの営業利益の大幅回復が期待される 2020年3月期の業績予想については、売上高23,000百万円(前期比19.5%増)、営業利益1,800百万円(同12.1%増)、経常利益1,830百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,250百万円(同20.7%減)とする期初の計画を据え置いている。通期計画に対する第2四半期累計期間の営業利益の進捗率は28.8%であるが、もともと上期に攻めの投資を実施し下期から投資回収ステージに入ることを計画していたため、おおむね会社の想定どおりに進捗しているもよう。下期は、エンターテインメント事業のデバッグが年末商戦期に向けた繁忙期を迎えるほか、エンタープライズ事業においては、売上が引き続き前年同期を大きく上回るペースで進捗することで第2四半期に続いて営業黒字が期待できるなど、連結ベースでの営業利益の急速な回復が期待できそうだ。 5. セキュリティ事業の更なる拡大に向けて、ラックとの合弁会社「レッドチーム・テクノロジーズ」を設立 主力のシステムテストサービスの一環として、脆弱性診断やエンドポイントセキュリティ等セキュリティサービスの提供にも注力する。2018年には、同社グループに在籍するテスターの中からセキュリティ人材の育成を目指す教育プログラム「サイバーブートキャンプ」を開始したほか、米国国防総省や米国税務局にサービス提供実績のあるSynackとの協業を開始している。これらの取り組みの一環として、事業基盤の更なる強化を目的に、国内セキュリティ大手のラック<3857>と合弁会社(株)レッドチーム・テクノロジーズを設立することを発表(同社が60%出資)。ラックは大手企業を中心に20年以上にわたりセキュリティサービスを提供している企業であり、両社が有する技術等を融合することで、国内随一のホワイトハッカーサービス企業を目指す。 また、同社は2019年11月11日に70万株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合3.18%)、5億円を上限とする自己株式取得を発表した。取得期間は2019年11月12日から2020年2月6日まで。引き続き成長に向けた投資は続けていくが、機動的な資本政策や株主還元策の実行という観点から自己株式取得を行う。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一) 《ST》
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