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ダイナック Research Memo(3):バー・レストランの運営を、直営と受託の2つの事業モデルで展開

2019/9/3 15:03 FISCO
*15:03JST ダイナック Research Memo(3):バー・レストランの運営を、直営と受託の2つの事業モデルで展開 ■会社概要 2. 事業の概要 ダイナックホールディングス<2675>の事業は外食事業という単一セグメントだが、直営ビジネスと受託ビジネスの2つの事業モデルで展開している。 (1) 直営ビジネス 同社の直営ビジネスはバー・レストランの店舗運営を中核に、ケータリング事業と合わせて大きく2つの事業から成っている。ケータリング事業とは企業の各種パーティーや社内運動会などのイベント向けに、数十~数千人規模を対象に飲食を提供するサービスだ。対応可能人数の大きさやイベントの企画・設営・運営まで一貫してサービスを提供できるといった点で、同社のケータリング事業は業界でもトップクラスとみられる。 中核事業のバー・レストランの運営では、同社はいくつかの特徴を有している。それらの中で、多業態・多ブランド展開がまず挙げられる。同社がこの戦略を採用するのは、消費者にアピールする「売り」がある業態・店舗が好調である一方、総花的な業態・店舗は低調であることが背景にあるとみられる。同社は消費者の嗜好の変化や流行に敏感で、常に新業態・新ブランドの企画・開発・運営に余念がない。既存店舗の新業態への業態変更についても積極的だ。こうしたことが可能であるのは、上場企業として強固な財務基盤を有することや、150店(2019年12月期第2四半期末現在)という多数の店舗を擁していることにあると考えられ、同社の強みの1つともなっている。 第2は立地で、同社は都心部のオフィス街を中心に展開している点が特徴的だ。東京においては千代田・港・中央・新宿などの各区に、大阪においては梅田周辺などに、それぞれ集中的に(地域ドミナント)出店している。郊外型店舗も各地域の中核都市や拠点駅の周辺、大型商業施設などの地域一等地への出店が基本となっている。 店づくりにおいては、個人事業主の店舗や大手居酒屋チェーンなどと比較して食事やサービスの質でワンランク上の高付加価値型を追求している。またここ数年は“専門化”にも注力している。「パパミラノ」からテーマを絞った複数の新型イタリアン業態への転換がその一例だ。客層としては、立地からもわかるように都会のビジネスパーソンに代表される中間層を主たるターゲットにしている。そこでの中心価格帯は4,000~5,000円となっている。しかし多業態型の特徴を生かし、「響」では客単価を7,000~10,000円と設定して接待需要の取り込みを図る一方、低価格帯の女性向けイタリアンや駅構内ハイボール・バーも展開するなど、幅広い顧客ニーズに柔軟に対応可能なラインナップとなっている。 (2) 受託ビジネス 受託ビジネスは収益性や出店コストなどでバー・レストランの運営とは大きな違いがある。受託事業では受託者(同社)側は運営だけを行い、施設は委託者(例えばゴルフ場側)が用意する。したがって同社からすれば設備投資負担がないというメリットがある。営業が開始されれば、売上は受託者(同社)側に立ち、売上の中から契約で決められたフィーを委託者側に支払う。収益性について直営と受託事業とでどちらが高いとは一概には言えないが、直営に比べて投資効率が良いと言うことは可能だろう。 同社の受託ビジネスの中身は、ゴルフクラブレストランとそれ以外の2つに大別できる。ゴルフクラブレストランでは、運営事業所数で国内大手3社の一角を占める地位にあるとみられる。一方それ以外の受託はリゾート施設や文化施設でのレストラン運営、道の駅、高速道路のSA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)等の管理・運営が中心となっている。 同社が受託ビジネスで成功している大きな要因として、既存店舗の評判と実績が新たな契約につながるポジティブスパイラル(正の循環)を実現できていることがあると弊社ではみている。受託ビジネスは受託したレストランの母体施設の集客力に依存する部分も大きく、利益を出すためには高いマネジメント力やコストコントロール力が要求される事業と言える。そうした厳しい制約の中でもしっかりと収益を上げていることが委託者側からの信頼獲得につながり受託契約に至るという流れだ。 事業モデルが異なる直営ビジネスと受託ビジネスの2つで事業ポートフォリオを構成することで、選択肢の広い経営を実現 3. ダイナックホールディングスの強み 同社は多くの強みを有するが、筆頭に挙げられるべきは優良な事業ポートフォリオを有していることだ。これは、直営ビジネスと受託ビジネスという2つのビジネスを単に有するだけでなく、前述のように、2つのビジネスがともに、それぞれの領域において高い競争力と存在感のある規模を確立しているということを意味している。 2つのビジネスは外食産業という点では共通しているが、事業モデルや市場構造などは大きく異なっているため、補完関係を構築して事業リスクに対するリスク許容度を高めることが可能となっている。別な言い方をすれば、経営上の選択肢が広いということだ。中期成長戦略の項で詳述するが、無理に直営店舗を出店しないという経営判断や、厳しい事業環境の中でも着実に収益成長を実現することが可能となっているのも、同社の優良な事業ポートフォリオに由来すると弊社では考えている。 そして、優良な事業ポートフォリオの実現を支えているのが同社の人材パワーや創業60年の実績、サントリーグループの信用力やブランド力だ。これらの存在もまた同社の強みの重要な要素と言うことができるだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《ST》
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首都圏・関西圏を中心にレストランやバーを直営展開。ゴルフ場食堂などの運営受託も。コロナ禍が直撃し、昨年末時点で債務超過に。21.12期も苦戦の見込み。親会社サントリーHDが完全子会社化に向けてTOB実施。 記:2021/04/07