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辰年のベトナム株【フィスコ・コラム】

2024/1/7 9:00 FISCO
*09:00JST 辰年のベトナム株【フィスコ・コラム】 2024年の干支は辰(龍)。ベトナムの南北に細長い国土が龍に似ていることから、現地の人々は辰年が縁起の良い年と考えられているそうです。同国の株価は昨年末から底堅さを維持しており、過去2年間の冴えない相場が好転するか、市場の期待も高まっています。 代表的な株価指数VNは昨年12月18日以降、上昇トレンドに転じ、同日の1091ポイントから1150ポイント付近まで上値を伸ばしました。特に、年末年始の休暇を挟んで海外勢の売りが先行するものの、終盤は国内勢の買戻しが相場を押し上げるケースが目立ちます。テクニカルの要因が指数を支えていると指摘されますが、やはり先高期待により国内の投資家が買いを膨らませているもようです。 過去2年間、ベトナムはアジアの成長センターと言われたにもかかわらず、株価は低調でした。VN指数は2022年の年明けに過去最高値圏の1500ポイントに浮上した後、春先から不正行為による信用失墜で急落。投資ブームの退潮で同年の終盤は1000ポイントを割り込みます。翌2023年は再起が期待され、9月には1240ポイント台まで持ち直したものの、ダブルトップを付けて再び失速してしまいます。 それでもVN指数が下げ渋ったのは、ベトナム国家銀行(中銀)の金融緩和が背景にあります。同中銀は約3年ぶりに政策金利の引き下げに踏み切った後、夏場にかけて断続的に利下げを実施。年後半は国内勢の買戻しで、下値の堅さが意識されるようになりました。そうした値動きから2024年は中長期的な上昇トレンドが期待されており、旧正月後に地合いの良さが続くか注目されています。 ただ、ベトナムの2023年の成長率は前年比+5.05%と、前年の8.02%から大幅に鈍化し、政府目標の+6.5%も下回っています。やはり輸出が前年比-4.4%となり、特にスマートフォンの不振が響きました。ベトナム政府は2024年の成長率目標を+6.0-6.5%としました。過去10年間の成長率平均の+5.87%を上回る高水準を見込んでおり、それを達成できるようならVN指数も堅調地合いとなりそうです。 2018年の米中貿易戦争以来、ベトナムは中国に代わる製造拠点としての地位を高めました。最近でも東アジア地域包括的経済連携(RCEP)といった貿易協定に加盟し、海外からの直接投資も拡大。成長拡大の余地は大きく、今年も引き続きアジアの原動力となりそうです。11月の米大統領選でトランプ前大統領の返り咲きなら米中対立の激化が予想されるため、VN指数の押し上げ要因として注目されるでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《CN》