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英政局にらみのポンド【フィスコ・コラム】

2023/7/2 9:00 FISCO
*09:00JST 英政局にらみのポンド【フィスコ・コラム】 日銀の金融緩和政策の維持で他の主要通貨が強含むなか、特にポンドの堅調ぶりが目を引きます。足元は2015年以来の180円台に浮上し、なお上昇余地がありそうです。次期総選挙に向け保守党が盛り返せば、買い一服後のポンド売り圧力を弱めるかもしれません。 英イングランド銀行(中央銀行)が6月22日の金融政策委員会(MPC)で政策金利の引き上げ幅を0.50ポイントに拡大すると、ポンドは全面高の展開に。市場予想の0.25ポイントを上回る利上げで、政策金利は15年ぶりとなる5.00%に達し、英長期金利の急上昇がポンドを182円半ばに押し上げました。ポンドはその後いったん下げたものの、日銀の緩和継続方針を背景とした円売りで185円を目指す展開となり、おぼろげながら190円台もみえてきました。 英中銀の政策決定前日に発表された同国の消費者物価指数(CPI)は前年比+8.7%と、市場予測の+8.4%を上回る内容でした。ピークとなった昨年10月の+11.1%からは伸びが鈍化していますが、コア指数は逆に騰勢を強め、+7.1%と31年ぶりの高水準を記録。一方、イギリスは他国よりも強いインフレ圧力にさらされ、利上げは経済を圧迫する要因になりかねないとの見方からポンド売りも出やすい状況です。 スナク首相は強いCPIを受け、収入が生活費によって圧縮されないようにする「道徳的責任」を感じると演説で述べています。そのうえで、インフレ率を2%に戻すことを最優先させ、年内に半減させる目標の達成を「強く確信している」と言明。しかし、経済協力開発機構(OECD)は英国経済について緩やかな成長を続ける半面、政府の財政支出は抑制的で減税も見込めないと指摘しました。 2024年に予定される総選挙への影響も必至。直近の世論調査ではスナク首相率いる保守党の支持率が26%に低下し、44%の労働党に大きなリードを許しています。保守党は政権を奪還してから10年以上が経過し最近は支持離れが鮮明になり、労働党はブレア-ブラウン政権以来の返り咲きが現実的に。スコットランド人民党(SNP)が前党首の逮捕で低迷していることも労働党の追い風になりそうです。 ただ、英国内では食料品価格の高騰に利上げによる住居費の上昇も加わり、有権者の批判の矛先は保守党政権というよりも超富裕層のスナク氏本人に向かいやすいとも考えられます。そのスナク氏を政権から引きずり下ろそうとするジョンソン元首相の動向が注目されます。左派的な政策を目指す労働党より、ジョンソン氏の返り咲きで刷新される可能性が出てきた保守党が持ち直せばポンド売りは抑えられるとみています。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》