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意外な底堅さ目立つポンド【フィスコ・コラム】
2023/3/5 9:00
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*09:00JST 意外な底堅さ目立つポンド【フィスコ・コラム】 ユーロ・ポンド相場でポンドの底堅さが目立っています。イギリスのインフレ鎮静化が進み、中銀はハト派姿勢に傾き始めました。一方、消費は回復傾向を見せ、スタグフレーション回避が期待されます。不透明な政治情勢がポンドの重石にならないか注視されます。 ユーロ・ポンドは昨年12月から2月はじめにかけて小じっかりとなり、0.85ポンド半ばから0.89ポンド後半まで2カ月間で5%近く上昇。その後は軟調地合いに転じるも、足元は0.88ポンドを挟んだ値動きとなり、ポンドは下げづらい状況となっています。欧州中央銀行(ECB)はインフレ撲滅に前向きなのに対して英イングランド銀行(中央銀行)は出口を模索し、本来ならユーロ高・ポンド安が大きく進んでも不自然ではありません。 ポンド買いの要因として、イギリスのスタグフレーション回避への期待感が考えられます。消費者物価指数(CPI)は昨年10月に前年比+11.1%と過去30年間の最高水準に達しましたが、それをピークに伸びは鈍化。2月15日に発表された1月CPIは+10.1%となり、コア指数も含め前回から失速しています。依然として高水準ではあるものの、インフレ鈍化傾向が歓迎されています。 一方、2月17日の小売売上高は前月比で3カ月ぶりにプラスへ転じるなど、回復基調が示されました。また、2月21日の購買担当者景気指数(PMI)では製造業が49.2と、景気の好不況の節目である50に接近し、サービス業は53.3と、昨年夏以来の水準に戻しています。PMIに関してはユーロ圏の方も持ち直しているものの、イギリスのポジティブ・サプライスでこの日はユーロ安・ポンド高に振れました。 英中銀はコロナ禍への対応で政策金利を0.10%まで引き下げた後、2021年12月から利上げサイクル入り。その後は今年2月まで10会合連続で引き締めを進めてきました。ただ、実体経済の弱さが問題視され、ポンドはその間、利上げにもかかわらず値を下げる時期がありました。中銀はすでにハト派スタンスに傾きポンドは積極的に買いづらい状況ですが、今後景気回復が鮮明になれば買戻しが強まるとみられています。 一方、国内では賃上げを求めるストライキが活発化し、上向きかけている経済への影響が懸念されます。スナク首相は有効な政策を打ち出せず、来年の総選挙で保守党の敗北に現実味が増しています。そうしたなか、ブレグジットで積み残された北アイルランドの通関問題でイギリスは欧州連合(EU)と急接近。中長期的には英国経済にとって大きなメリットと見込まれ、ポンドとともにスナク政権にも失地回復の芽が出てきました。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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