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泥沼ユーロの行方【フィスコ・コラム】

2022/9/4 9:00 FISCO
*09:00JST 泥沼ユーロの行方【フィスコ・コラム】 ユーロ・ドル相場は心理的節目の1.00ドル付近に戻したものの、下押し圧力が続いています。欧州中央銀行(ECB)当局者が引き締めに前向きな姿勢を示すほど、景気減速が懸念される面もあるようです。ユーロに積極的な買い材料は乏しく、目先の値動きが注目されます。 ユーロ・ドルは今年1月中旬の1.14ドル台前半をピークに下落トレンドに傾き、7月14日に1ユーロ=1ドルの等価(パリティ)を20年ぶりに割り込みました。0.99ドル台では割安感から押し目買いに支えられいったんは持ち直すものの、1.00ドル台を挟んで不安定な値動きが目立ちます。ユーロにとっての好材料は見当たらず、状況によってはパリティ割れが常態化する可能性もあります。 目下のユーロ安は、記録的なインフレ高進でコロナ禍からの回復が抑制されるなか、ロシアからの天然ガス供給の縮小が域内の経済活動を一段と圧迫する懸念が強まっていることが背景です。欧州天然ガス価格の指標であるオランダTTFは8月末にかけて過去最高値を更新。エネルギー消費が高まる冬に向け需給が逼迫すれば、さらにインフレを押し上げることになりかねません。 ECBは7月の理事会で11年ぶりの利上げ幅について事前の予告を上回る0.50ポイントとし、さらに引き締めを加速させるスタンスを示しました。先の米ジャクソンホールでの会合に参加したオランダやフランスなどの中銀総裁は大幅利上げの必要性を指摘しています。それを受け、市場では9月8日の理事会では利上げ幅が0.75ポイントに拡大するとの思惑が広がっており、本来ならユーロ高に振れるはずです。 ところが、ユーロは逆に下落基調が強まっています。域内の小売売上高や消費者信頼感の指標が低調であることからもわかるように、インフレが消費マインドを弱め経済回復を遅らせているためです。実際、4-6月期域内総生産(GDP)は想定を下回る内容でした。今後、インフレとリセッションが同時進行するスタグフレーション入りは避けられず、それを警戒した売りがユーロを押し下げています。 他方、米連邦準備制度理事会(FRB)はタカ派姿勢を堅持。パウエル議長はジャクソンホール会合での講演で、インフレ抑止を最優先し、引き締めを長期間継続する方針を強調しました。アメリカはテクニカル・リセッションではあるものの、雇用が堅調であるため政策余地の点でユーロ圏よりも優位性があります。それによりユーロ・ドルへの下落圧力は弱まりそうになく、今後0.98ドル台に向かうか注視されます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》