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10月のくりっく365、ドル・円はもみ合い、南アフリカランド・円は弱含みか

2021/10/8 10:45 FISCO
*10:45JST 10月のくりっく365、ドル・円はもみ合い、南アフリカランド・円は弱含みか 東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、9月の取引数量が前月比22.7%増の216万7043枚、1日の平均取引数量は9万8504枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は3961.48億円と前月比で77.33億円増加した。取引通貨量では、米ドル、トルコリラ、南アフリカランド、豪ドル、メキシコペソの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、9月の取引数量が前月比36.5%増の458万2514枚、1日の平均取引数量は25万2399枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は586.52億円となり、前月比で約31.13億円の増加となった。 取引数量トップは米ドル・円の53万5073枚(前月比49.2%増)であった。9月のドル円は月末にかけて急伸した。9月21日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)までは前月と同様、日米での実質金利差に大きな変化がない中、ドル円は1ドル110円ちょうどを挟んだ水準でのもみ合いが続いた。しかし、9月FOMC後の記者会見にて、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、11月にも量的緩和策の縮小(テーパリング)を開始し、来年半ばまでにそのプロセスを完了させる可能性を示唆。同時に公表された政策金利見通し(ドットチャート)では、当局者18人のうち9人が2022年内の利上げを見込んでいることが示され、6月時点の7人から増加した。想定以上にタカ派色が強いと受け止められ、金利先高観を受けて米10年国債利回りは急伸、9月末頃には約3カ月半ぶりとなる1.5%台半ばまで上昇した。日米金利差の拡大を受けて、ドル円は買われ、1ドル111円を突破した勢いそのままに、29日には一時111.96円まで上昇した。 トルコリラ・円は39万0845枚(前月比10.4%増)だった。トルコリラは月初から大きく下げる展開となった。中央銀行総裁が「コアインフレ率の重要性が増した」と発言したことで、早期利下げへの警戒感が浮上し、リラ売りを誘った。23日の金融政策決定会合まではこうした利下げ懸念がくすぶったことに加え、米国を中心に株式相場がリスク回避ムードを強めたこともあり、月後半にかけてはリラ安がさらに進展した。会合で実際に利下げが決定してからは、目先の悪材料出尽くしで下げ止まったが、中央銀行がエルドアン大統領による利下げ要求という政治的な圧力に屈したとの見方が強まった。更なる利下げ不安もくすぶる中、月末にかけては下げ渋ったものの戻りは限定的となった。 10月のドル・円はもみ合いか。米金利の先高観は依然根強いものの、タカ派色の強かった9月のFOMC後、ドル高につながる材料はかなり織り込まれた。また、足元では世界同時的な脱炭素への急速シフトの弊害として、石炭や天然ガス、原油などのエネルギー価格が世界的に高騰している。インフレ懸念が今後一層強まると、今年序盤に見られた「インフレ加速・長期金利急騰」というシナリオが再来する可能性も否めない。米金利の急騰は金利差からみればドル円の上昇圧力となる一方、急激なインフレ懸念はリスク回避ムードを強め、株式相場の調整とともに安全資産である円買い圧力につながる。また、他方で、商品先物取引委員会(CFTC)がまとめた建玉状況からは、シカゴ通貨先物市場の投機筋の持ち高はすでに相当にドル買い・円売りポジションに傾いており、ここから一段と円売りに持ち高を傾けることは考えにくい。ドル円は、FRB高官による利上げ前倒しへの言及など、更なるタカ派材料が出ない限りは当面、一進一退の展開となりそうだ。 10月の南アフリカランド・円は弱含みか。南アフリカは貴金属などの資源輸出国であり、最大の貿易相手国は輸出・輸入ともに中国である。そのため、世界景気に敏感であると同時に、中国経済との結びつきが強い。その中国経済については、恒大集団をはじめとした不動産業の資金繰り問題や深刻な電力不足など、実体経済の下振れにつながりかねない懸念要素が相次いでいる。中国経済と結びつきの強い南アフリカにとっては悪材料であり、ランド売り・円買い要因となる。また、米国金利の先高観が強まっていることも新興国通貨にとっては重しとなり、ランドは上値の重い展開が続きそうだ。 《YN》