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為替週間見通し:ドルの上値は重いままか、米追加利下げの思惑強まる

2020/3/7 14:38 FISCO
*14:38JST 為替週間見通し:ドルの上値は重いままか、米追加利下げの思惑強まる 【先週の概況】 ■米国でのウイルス感染拡大でドル売り強まる 先週のドル・円は下落。日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて日本銀行の黒田総裁は、「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」との談話を発表したことや、主要7カ国(G7)財務相による電話協議への期待でリスク回避のドル売り・円買いは一服した。しかしながら、米連邦準備制度理事会(FRB)は3月3日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を開催し0.50ポイントの緊急利下げを決定し、さらなる金利低下の可能性が示されたことから、ドル売りが再び優勢となった。米国内でウイルス感染が拡大しており、緊急利下げ実施後も米国株式は不安定な状態が続いたことも嫌気されたようだ。 6日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円01銭から105円73銭まで戻した。この日発表された2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を上回ったことや、1月の米貿易赤字は予想以上に縮小したため、景気後退懸念はやや後退。さらに、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が「中小企業や航空会社に的を当てた支援策を検討する」との見方を伝えたことから、リスク回避のドル売り・円買いは一段落。ドル・円は105円29銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:104円99銭−108円58銭。 【今週の見通し】 ■ドルの上値は重いままか、米追加利下げの思惑強まる 今週のドル・円は、上値の重い状態が続くとみられる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念されており、次週開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測を背景としたドル売りは続く見通し。米国経済の先行きは不透明であり、米国株式の続落や長期金利の一段の低下もあり得る。ウイルス感染の拡大による景気悪化や金融市場の混乱を避けるために、主要中央銀行は協調して対応に乗り出しており、米連邦準備制度理事会(FRB)が臨時で開催したFOMC会合で、また豪準備銀行やカナダ中央銀行は定例会合でそれぞれ政策金利の引き下げを決定した。 短期的には欧州中央銀行(ECB)、英中央銀行、NZ準備銀行(中央銀行)の政策運営も注目される。ECBは今週開催の理事会で、ユーロ圏の経済支援のための対応について議論するとみられる。米国については利下げ余地が注目され、今月17-18日開催のFOMC会合で一段の利下げに踏み切るとの観測が広がっている。しかしながら、ウイルス感染の拡大によって米国経済の先行きは不安視されており、株式などのリスク資産から米国債への資金シフトがただちに止まる可能性は低いと見られる。今週発表される米経済指標が市場予想を下回った場合、株安・金利低下につながるとみられ、ドル売り圧力は強まりそうだ。 【米・2月消費者物価コア指数(CPI)】(11日発表予定) 11日発表の2月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+2.3%と、インフレ率は1月実績と同水準となる見通し。市場予想と一致、または上回った場合、ドル買いを誘発する可能性がある。 【米・3月ミシガン大学消費者信頼感指数】(13日発表予定) 13日発表の米3月ミシガン大学消費者信頼感指数は96.4と、2月の101.0を下回る見通し。新型ウイルスによる景気減速への懸念が広がるなか、低調な個人消費が嫌気され、市場予想を下回った場合はドル売りを誘発しよう。 予想レンジ:104円00銭−107円00銭 《FA》