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日本懸念の円安は限定的?【フィスコ・コラム】
2020/3/1 9:00
FISCO
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*09:00JST 日本懸念の円安は限定的?【フィスコ・コラム】 長年にわたり安全通貨とされてきた円の立ち位置に変化が生じています。日本での新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとした懸念であれば、円安はさらに進むかもしれません。ただ、白熱するアメリカ大統領選の予備選によって、それが回避される可能性もあります。 ドル・円は2月19日から20日にかけて110円30銭を上抜けると、そのまま一気に112円20銭台まで浮上しました。安倍政権は「ドル買い」と説明していましたが、クロス円も同様の値動きだったため円売りであることは明白。その後の米大幅株安を受けドルは109円台に押し戻されたものの、下げ渋っているようにもみえます。先の円売り圧力が一時的なものかどうか、容易に判断しにくい状況です。 円はこれまで安全通貨と位置づけられ、北朝鮮によるミサイル発射の際も地政学リスクの高まりを受け買われてきました。逆に、日本株高など好ましい要因が発生すると円売りは強まる傾向があります。あるいは、円安は輸出に有利という理由で日本株高の要因ともみられています。しかし、最近は日本株安でも円高は想定ほど進まず、必ずしもその等式が成り立っているわけではありません。 もちろん、日本は潤沢な対外資産を保有し、いざという場合に売却して円に換えることができるため、円の暴落は想定できません。だとすれば、最近の強い円売りはアジア通貨安の一環である可能性もあります。しかし、新型ウイルスの問題を起点に日本株が30年にわたって伸び悩んでいることや、デフレが20年も続いていることなどが改めて注目され、それらを理由に海外の投機筋が円売りを仕掛けても不自然ではありません。 他方、アメリカ大統領選の予備選を受けたドル安が極端な円安を阻止する、との見方もあります。予備選と円急落の回避とは一見関係はなさそうですが、民主党の指名争いで頭一つ抜け出したバーニー・サンダース上院議員の動向がカギとなります。サンダース氏の選挙戦は格差是正を訴え富裕層への課税強化などがイメージされるため、同氏への支持が広がるほど市場を収縮させることになります。 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年11月以降、流動性注入による資金調達市場の安定を狙い米財務省短期証券(Tビル)の購入を決めました。この措置は実質的な量的緩和として好感され、米国株は強気相場がさらに鮮明になりました。ただ、アメリカ国内でのウイルス被害でNYダウなどは2月最終週に大幅安に振れており、当面株安が続くようならドル買いを後退させるでしょう。 サンダース氏は初戦のアイオワこそ他候補にトップを譲ったものの、その後は優勢を保ったまま3月3日のスーパー・チューズデーを迎えます。そこで圧勝すれば一段の株売り・ドル売りは避けられなくなります。もちろん、トランプ大統領も黙ってみているわけはなく、FRBへの利下げ圧力を強めるためドル売りを支援するはずです。 ここ数日のアメリカの大幅株安で、市場の先行きに不透明感が広がっています。ただ、目先ドルが次の上値のターゲットである112円40銭を上抜けたとしても、円安は限定的とみます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》
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