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ウォール街を知るハッチの独り言 憂慮 日本企業の給与の安さ(マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎)
2024/2/7 10:02
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*10:02JST ウォール街を知るハッチの独り言 憂慮 日本企業の給与の安さ(マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、2月5日に配信されました。 そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「憂慮 日本企業の給与の安さ」の内容をご紹介いたします。 会社に良い人材を採用することは会社の存続や将来のために大切なことの一つですね。 私は新卒で入社した米国の証券会社で、最終的に機関投資家相手の外国株関連業務部門の責任者になったのですが、そのため日本の新卒の学生向けに会社説明会で会社の話をしたり、候補者の面接をする機会がありました。また、アメリカの大学を卒業する予定の学生向けに日本に拠点を持つ企業が集まってそれぞれの会社がブースを設けて訪れた学生に会社を売り込む会社説明会を行うというイベントがあるのですが、ボストンの大きなコンベンションホールで行われたそうしたイベントに参加したこともあります。その時同じイベントに参加していた日本企業採用担当者の方と話をすると、海外の大学を卒業した優秀な学生で日本企業に入社したい学生はかなりいるとのことでした。それが、最近状況が変わってきているようなのです。 これは友人で、米国の大学生の息子を持つ父親から聞いた話なのですが、その息子さんは日本の会社に入りたいのだけれど入れないというのです。日本の会社が採用してくれないのではなく、アメリカの企業の給料と比べ、日本企業が提示する給料が半分以下であるため、彼が入りたくとも入れないと…。数年前コロナ禍で、東京駅近くのマクドナルドの時給が1,000円程度であるのに対し、ニューヨーク郊外の同じマクドナルドの店舗の時給が日本円で3,000円を超えた事例がありました。賃金インフレというのは、決してファーストフードの店舗だけで起きているのではないのです。 昔から、外資系企業の給料は日本企業のそれより高かったのですが、終身雇用の日本企業で働くのと、クビになる可能性がある外資系企業で働くというリスクを勘案すると日本企業の方が良いという判断ができたと思います。それが今、クビになるリスクを考えても、余りにも給与の格差が広がり、そんな安い給料では働けないというような事態になっているようです。もちろん全ての企業がそうなっているのではないでしょうが、友人の息子さんは入りたい日本の会社の担当者に給与の条件の違いがネックになっていることを説明しても、会社の規定であり、例外は作れないという説明を受け日本企業への入社を断念、最終的にアメリカの企業への入社を決めたそうです。もちろんアメリカで生活する方が、一般的に日本よりものの値段が高いので給料が高いのは当たり前ですが、ものの値段の違いを考慮に入れても日本企業の給与は安いと思います。そもそもアメリカの賃金が高いことに加え、今のドル高で、円で見るアメリカの企業の給与は非常に魅力的になっています。今の日本はドル高で輸出企業が儲かり、株価は上がっている一方、長期的に良い人材を採用するにあたって、このような状況があるのは決して無視できない現実ではないかと思いました。 そうそう、私が採用活動をしていた時のことで今でも忘れられないことがあります。昔100人程度の学生を一同に集め会社説明会を行ったことが何度もあるのですが、その時学生からは様々な質問が出ます。「岡元さんはなんで外資系証券を選んだのですか?」、「外資系に向いている人材とは?」、「外資系って大変ではないですか?」、「週末は何をしているんですか?」、などなど。そんな中、今でも忘れない瞬間は、「外資系証券で働く上で最も大切なことは何ですか?」という質問に答えた時の学生の反応です。私の答えは、「みなさん、世の中に出ると、実は当たり前のことができない人が意外に多いので、当たり前のことをすることです」というものでした。私の回答を聞いた学生の多くは、まさに鳩が豆鉄砲を喰った時のような顔をしていたのです。もっと高尚な答えが聞けると思っていたのでしょう。 私は外資系企業で働く管理職として、強くそう思ったのですが、これは決して外資だからということでなく、社会人の世界で共通することなのでしょう。これは本当に不思議なことなのですが、社会人として当たり前のことなのに、それをやれていない人って意外とみなさんの周りにも少なくないのではないでしょうか?グローバル化や多様化が進む社会ではありますが、私はまずそれが当たり前で大切なことだと思っているのです。 マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎 (出所:2/5配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) 《CS》
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