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中国の「ブロックチェーン+」の国民生活分野における応用の投資(2)【中国問題グローバル研究所】

2020/1/9 16:13 FISCO
*16:13JST 中国の「ブロックチェーン+」の国民生活分野における応用の投資(2)【中国問題グローバル研究所】 【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。 ◇以下、孫 啓明教授の考察「中国の「ブロックチェーン+」の国民生活分野における応用の投資(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。 ——— 三、現時点中国におけるブロックチェーンの主な応用分野 ブロックチェーンの応用の幅は非常に広く、既にデジタル金融、モノのインターネット、スマートマニュファクチャリング、サプライチェーン管理、デジタル資産取引など、様々な分野に参入している。今後、さらに我々は「ブロックチェーン+」の生活分野での応用を探り、教育、就労、養老、貧困支援、医療健康、食品安全、公共福祉、社会支援などで技術応用を促進させ、もっと便利な、良質な公共サービスを提供する必要がある。さらに、ブロックチェーンと新型スマートシティの構築を組み合わせ、情報インフラ、スマート交通、エネルギーなど分野での応用を促進し、都市管理の知能化、正確性を向上させる。ここでは紙幅が限られているため、以下、製品のトレーサビリティ、デジタル領収書、デジタル証明書、デジタル身分証明の4つの分野について簡単に述べる。 1、製品のトレーサビリティ トレーサビリティが最も困難な農産品を例に取ると、ブロックチェーンの非中央集権的、透明、改ざん不可、データ共有、P2P伝送などの技術的特徴を利用し、農場、農家、認証機関、食品加工企業、販売企業、物流倉庫企業などをアライアンスブロックチェーンに加盟させ、すべての重要なノードの情報と価値を共有し、それによってトレースバックとトレースフォワード、そして責任の所在の明確化を実現できる。この手法で、従来のトレーサビリティプラットフォームの情報が不透明、データが容易に改ざんできる、セキュリティが低い、比較的閉鎖的であるなどの欠点を解決できる。これにより、生産者が力を尽くし、売り手が安心し、消費者が安心であることを確保できる。ブロックチェーンによる農産物のトレーサビリティは今の中国にとって国民生活における重大な課題である。 2、デジタル領収書 ブロックチェーン領収書は中国で最初に実用化されたブロックチェーン技術の一つである。国税庁深セン税務局が主導し、テンセントが独自に開発したブロックチェーン技術に基づく、ブロックチェーンデジタル領収書「税務チェーン」は既に実用化されている。2018年8月、中国初のブロックチェーン領収書は深センの国際貿易回転レストランで発行された。ブロックチェーンデジタル領収書は、税務当局、発行者、および受領者という三者の参加によって実現される。税務当局は、ブロックチェーンデジタル請求書「税務チェーン」プラットフォームを導入し、税務当局、発行者、受領者が唯一無二なデジタル識別子により「税務チェーン」に参加し、まさに「取引すれば領収書が発行される」、「領収書が発行されれば清算される」という、秒単位の領収書の発行と分単位の清算という目標を実現した。ブロックチェーンデジタル領収書「税務チェーン」プラットフォームにより、税金徴収のコストが大幅に削減され、データの改ざん、領収書の重複清算、脱税などの問題を有効に解決できる。 3、デジタル証明書 デジタル証明書は司法証拠、商業証拠と著作権保護などの分野がある。司法証拠を例にとると、ブロックチェーンとデジタルデータ証明書の組み合わせは、デジタルデータの保存コストを削減でき、証拠保存の効率を向上し、司法証拠の保存、知的財産、デジタル契約などの業務にデータベースを提供できる。2018年9月7日、中国最高人民法院がインターネット事件におけるブロックチェーン証拠の法的効力を認める「インターネット裁判所におけるいくつかの問題に関する規定」を公表した。現時点、北京、杭州、広州などを含む少なくとも7つの省と地方の裁判所がブロックチェーンデジタル証拠プラットフォームを構築した。 2019年8月、中国最高人民法院は、人民法院司法ブロックチェーン統一プラットフォームの構築を宣言し、現時点で既に最高人民法院、高級人民法院、中級人民法院、基層人民法院の4つの階層、21つの省と市をカバーできる。同時に国家タイムサービスセンター、多元的紛争調停プラットフォーム、公証役場、司法鑑定センターなど27のノードを設置し、現時点4階層の法院は既に1億8000万以上の証拠データをブロックチェーンに保存、固定するタスクを完了している。最高人民法院が主導し、『司法ブロックチェーンの技術要件』『司法ブロックチェーン管理規範』などのドキュメント策定し、全国各階層の法院のデータにおけるブロックチェーンの適用を標準化した。 4、デジタル身分証明 デジタル個人情報は断片化、漏洩しやすい、制御が難しいなどの特徴があり、世界各国の政府は個人情報の管理に困っている。しかしブロックチェーン技術はその非中央集権的、暗号化、改ざん不可などの特性により、デジタル身分証明の信頼性検証と権限付与に対して、可能性のあるソリューションを提供する。2018年12月、中国移動通信傘下の中国移動IoT社がHuobi中国などの会社と提携し、「聯核クラウド」プロジェクトの共同開発を始めた。現時点は既にホテル業、配達業、エンタテインメント業などの分野の実名認証とクラウドサービスを提供している。これは中国初のブロックチェーンとIoT技術に基づく身分証明共有検証プラットフォームであり、宅配便、賃貸、旅行業の実名化などの分野に広く応用検証価値を持っている。 ブロックチェーン技術は様々な産業で異なる方法で応用され、計り知れないブルーオーシャン市場になるであろう。今後はますます多くの企業がブロックチェーンに参入すると筆者が信じている。将来のビジョンを持つ経営者なら、ブロックチェーン発展のトレンドを正確に把握し、新しい科学技術革命と産業変革がもたらす挑戦に積極的に対処し、今の潮流を直視すべきである。 ※1:https://grici.or.jp/ この評論は12月27日に執筆 (写真:ロイター/アフロ) 《SI》