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韓国の経済を分析する vol.4 少子高齢化の先に見える韓国の危うさ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

2019/12/16 16:13 FISCO
*16:13JST 韓国の経済を分析する vol.4 少子高齢化の先に見える韓国の危うさ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】 【フィスコ世界経済・金融シナリオ会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部から多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、アイスタディの代表取締役である中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまでにも今後の中国経済、朝鮮半島危機、第四次産業革命後の日本経済の分析、仮想通貨と日本経済のゆくえ、デジタル資本主義、米中冷戦などの分析・考察を行ってきている。 ◇以下は、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議で議論したことをFISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 Vol.8−「反日」が激化する 韓国の「いま」と「今後」 4つのシナリオ』(9月26日発売)の特集『韓国の「経済」を分析する』でまとめたものの一部である。全4回に分けて配信する。 最大の貿易相手国・中国の景気悪化が鮮明になるなかで、韓国の経済成長に急ブレーキがかかっている。韓国は貿易依存度が高く、中国の「製造2025」で稼ぐ力が弱体化する可能性もある。惰弱性が表面化すれば1997年に起こったIMF危機のような通貨危機に陥る懸念も。韓国経済の“いま”を分析する。 ■深刻化する少子高齢化の先に見える韓国の危うさ 今後、少子高齢化も日本以上に深刻化する。韓国統計庁が2019年3月28日に発表した将来人口推計によれば、早ければ2019年の5,165万人をピークに総人口は減少に転じる見通しだ。人口に占める65歳以上の高齢者の割合も2065年に46%に達し、高齢化では日本を抜いて経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国中でトップになる見込みだ。 なお、韓国の2018年の合計特殊出生率は0.98と初めて「1.00」を下回り、世界で最低水準に落ち込んだ。生産年齢人口もピークアウトしている。セーフティネットはOECD加盟国中でも最低クラスだ。日本並みに社会保障を整えるなら、さらにGDPの10%を社会保障に充当する必要があり、10兆円超の赤字を計上することになるだろう。そうなれば、10~20年で日本並みの債務残高比率になる可能性がある。内需拡大で経済の実力を一段と増すことは難しいように思われる。 また、対外純資産が積み上がって、日本のような成熟した債権国になる前に、中国の追い上げで稼ぐ力が低下すれば、アジア通貨危機のように問題は深刻化する。それに対応する韓国の通貨スワップ締結状況は、中国が全体の65%を占めている。地経学的な圧力を高める可能性のある国に通貨スワップの大半を依存している不安定な状況なのだ。 また、各国との契約はドル、円との交換でなく、あくまでも各国通貨との交換になる。その点では、マレーシア、インドネシアとの契約は、通貨危機に陥ったときに実際に有効性があるのかという視点で見る必要がある。 通貨危機になれば、経済的に厳しい状況の中国が、ドルと人民元の交換に応じるかは大きな疑問が残ると言わざるを得ない。実際、人民元では、食糧やエネルギーといった必要不可欠な物資の調達は不可能だ。通貨スワップが有効に機能せず、通貨危機が発生した場合、韓国はギリシャや南米型の危機に瀕する可能性も十分にあるということだ。 ◆執筆者 シークエッジ グループ代表 白井一成 アイスタディ代表取締役 中川博貴 フィスコ取締役 中村孝也