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国内外での上値抑制要因緩和で買い戻し進展
2021/10/11 12:18
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[日経平均株価・TOPIX(表)] 日経平均;28488.95;+440.01TOPIX;1989.51;+27.66 [後場の投資戦略] 週明けの日経平均は値幅を伴った上昇で28500円台まで上昇してきた。前週6日に27293.62円まで急落したが、外部環境の不透明感後退なども追い風に、値ごろ感からの買い戻しが進んだ。しかし、前週末の米雇用統計のさえない結果や、米株安の動きも踏まえると、週明けからこれだけの上昇幅が出たのには別の事情もありそうだ。 やはり、多方面でも話題になっているように、岸田首相の金融所得課税への言及が大きいとみられる。「成長」よりも「分配」に重きを置いた政策、「変化」よりも「安定」が重視されたような印象の強い岸田新政権への株式市場での評価は厳しく、これまでネガティブに捉えられていた。特にその代表格として金融所得課税の引き上げが注目されており、企業の四半期開示の原則見直しなどとも相まって、投資家からの批判が高まっていた様子。 それが、週末の民放番組での出演で、金融所得課税引き上げについては「当面考えていない」、「成長なくして分配はない。金融所得課税を考える前にやることはいっぱいある」などと発言。これにより、当面の増税懸念が後退したほか、過度な「分配」先行イメージが払拭され、ネガティブな印象を緩和することに寄与したようだ。 そのほか、中国政府が電力不足の緩和に向け、制限していた国内での石炭の増産に動き出したほか、輸入先の多様化や拡大に努めはじめたことも、サプライチェーン(供給網)の混乱が緩和されるとの見方から、投資家心理の改善につながっているようだ。 これらの動きは、今後の展開次第では、はく落してしまった国政期待の復活や、外部環境の不透明感の緩和につながり、再び株高基調に転換するきっかけにもなり得ると期待したい。 一方で、岸田新政権の政策には依然として具体性が乏しく、経済成長につながるストーリーが明確化されていない印象が残る。今回の金融所得課税引き上げの先送りだけで、大きくはく落してしまった海外投資家からの期待を完全に取り戻せるとは言いにくいだろう。 また、外部環境の不透明感についても、まだ警戒が必要だ。米長期金利が4カ月ぶりに1.6%台へと上昇したほか、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率は約5カ月ぶりに2.5まで上昇してきている。インフレ加速や長期金利の更なる上昇など警戒感は残る。今週は、米国で13日に消費者物価指数(CPI)、14日生産者物価指数(PPI)が発表される。インフレを巡る思惑や長期金利の動向には引き続き注意したい。 後場の日経平均は引き続き堅調に推移しそうだ。ただ、28500円を回復した達成感もあり、今週の米物価指標の発表を前に、29000円に向けては一旦上値が重くなる展開も想定しておきたい。 《AK》
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