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世界食糧危機の中、なぜ中国には潤沢な食糧があるのか?(1)【中国問題グローバル研究所】
2022/6/23 15:56
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*15:56JST 世界食糧危機の中、なぜ中国には潤沢な食糧があるのか?(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。 世界が食糧危機にさらされている中、中国は世界の穀物を買い占めているのではないかという批判がある。しかし中国政府はマクロ政策により世界最大の穀物生産国になったのだと主張する。中国が食糧問題を最重要視する理由には、中国共産党の根源的問題が潜んでいる。 ◆「中国の多すぎる食糧備蓄に対する西側からの批難」に関する中国の見解 5月27日、中国外交部は定例記者会見で(※2)、記者から「最近、中国は国際市場からあまりに多くの食糧を買い占めているという批判が西側諸国から出ているが、中国はそれをどう思っているか?」という質問が出た。 それに対して汪文斌報道官は以下のように答えた(番号を付けたのは筆者で、あまりに回答が長いので少しでも見やすくしようと区切りをつけた)。 1.中国政府は常に食糧安全問題を非常に重要視してきた。「穀物の自給自足と絶対安全」というのが中国政府の基本だ。2021年までに、中国の穀物生産量は7年連続で0.65兆キログラム以上で、世界最大の穀物生産国であり、世界第3位の穀物輸出国となっている。中国は自給自足に関して自信があり、国際市場に入り込んで「食糧を買い占める」という必要はない。 2.中国は世界の土地の9%未満を使用しているだけで、世界の食糧の約4分の1の生産量を実現し、世界人口の5分の1を養っている。この事実を見るだけでも、中国が世界の食糧安全に大きく貢献していることがわかる。同時に、中国は大国の視座に立ち、世界の食糧安全の確保に積極的に貢献してきた。 3.中国が提案するグローバル発展イニシアチブは、食糧安全を「八大重点協力分野の一つ」と見なしており、世界中のすべての関係者に力を動員し、利点の補完性を促進し、以て、食糧安全を含むすべての持続可能な発展目標の実現に向けて最大限に力を合わせていくことを目標としている。中国は常に国連食糧農業機関(FAO)の南南協力にとって重要な戦略的パートナーだ。 近年、中国はFAO南々協力(※3)基金に1億3000万米ドルを寄付し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海、太平洋島嶼国に多数の専門家や技術者を派遣した。中国はFAOの中で、最も多くの専門家を派遣し、最も多くの資金援助をし、最も多くのプロジェクトを実行しいる。COVID-19の発生以来、中国はいくつかの国に緊急食糧援助を提供することにより、国連や他の国際機関のイニシアチブに積極的に対応してきた。世界の食糧生産と供給の安定化に対する中国の積極的な貢献は、国際社会から広く認められているところだ。 4.中国は食品ロスと廃棄物削減を積極的に提唱している。世界の食糧の1%のロス削減は、2800万トンの損失の削減に相当し、7000万人以上の人々を養うことができる。習近平主席は、食品節約を強化する必要性をくり返し強調してきた。 2021年、中国は食品ロス削減に関する国際会議を主催し、G20のメンバーを含む国際社会から肯定的に受け止められた。 多くの開発途上国が食糧不足に直面しており、一人分のご飯を二人で分け合う状況があることを残念に思う。先進国の一部では「物を粗末に扱う」ことに慣れてり、一人前のご飯を食べて一人前のご飯を捨てている」。先進国で毎年浪費される食品ロスの量は、サハラ以南のアフリカで生産されるすべての食品の総量に近い。 アメリカ農務省のデータによると、アメリカの食品の30〜40%が毎年廃棄されており、2018年に廃棄された食品の総量は1億300万トンに達し、1,610億ドルに相当する。 5.中国は、関係国に対し、不必要な食品廃棄物を出さないようにし、その正当な国際的義務を果たし、より多くの国際的責任を引き受けることを要請している。頭をひねって他の国(中国)に(お前の国は食糧備蓄が多すぎる)と騒ぎ立てるのではなく、自ら始めて、現実的な方法で食料を節約し、国際的な農業貿易の円滑な運営を維持し、発展途上国の食糧生産能力を向上させるのを助けるべきだ。こうしてこそ世界の食糧安全を効果的に維持できる。 6.直面する困難が多ければ多いほど、われわれは互いに助け合うべきだ。国際的な食糧サプライチェーンが衝突している情勢下において、私たちはすべての国に共同責任を負うことを求めたい。食品ロスと廃棄物の観点から、食糧危機を補完し、食糧を節約するというプラスの方向で世界の食糧安全を効果的に維持しなければならない。 ◆「中国の食糧価格が安定している理由」に関する中国政府の説明 6月20日、中国の経済を協議する国家発展改革委員会は<我が国の食糧価格はなぜ安定しているのか?>(※4)に関する説明を行った。主たる回答内容を以下に示す。 ・中国の穀物価格が全体的に安定している理由は、最終的には、我が国が強力な穀物供給と価格の安定を確保するための強力なメカニズムと政策措置を確立したからである。穀物の総在庫は十分であり、小麦と米の在庫は1年以上の消費需要を満たすことができる。 ・2021年の時点で、中国の穀物の播種面積は8年連続で17.4億ムーを超えており、穀物を植える農民の意欲は安定している。2022年に春に植えられる穀物の面積は約9億4000万ムで、昨年の同時期に比べてわずかに増加し、引き続き穀物価格の安定に寄与するだろうと予測される。 ・●生産コストが穀物価格を決定し、穀物の安定供給にも影響を与える。農民の意欲を十分に発揮させるために、わが国は米と小麦の最低購入価格を実施し、穀物生産補助金政策を継続的に改善し、三大主要穀物(米・麦・トウモロコシ)の「完全コスト保険」や「所得保険」を推進し、「農業社会サービスシステム」を発展させて、穀物農家の収入の安定化を図った。 (筆者注:「完全コスト保険」とは「農作物が自然災害などに遭遇した時に被る損害を含めた、生産コスト全てに対する保険」のことで、「収入保険」とは「農作物の販売価格や生産量の変動に対する保険。生産量が増え過ぎたことによって販売価格が下がる時でも、一定の収入を保障できる保険」のことで、「農業社会サービスシステム」とは「供給、販売、加工および情報サービス」など、農産物を購入者の末端にまで提供するさまざまなサービスのことである。) 農産物価格の高騰に対応して、化学肥料の供給を確保し、価格を安定させるために、たとえば仮肥料の備蓄を確保するなどの作業メカニズムの確立が価格安定に寄与している。 ◆『中国農業産業発展報告2022』は今年の食糧総生産量は去年を越えると予測 6月21日、『中国農業産業発展報告2022』が発表された(※5)が、報告書は、「中国の農業生産は今年も改善を続け、総穀物生産量は昨年を上回り、0.69兆キログラムに達すると予想され、綿、油、砂糖、果物、野菜の生産は安定して好転しており、畜産物や水産物の供給も安定している」と指摘している。 「世界食糧危機の中、なぜ中国には潤沢な食糧があるのか?(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。 写真: ロイター/アフロ (※1)https://grici.or.jp/ (※2)https://www.fmprc.gov.cn/fyrbt_673021/jzhsl_673025/202205/t20220527_10693630.shtml (※3)https://www.fao.org/japan/portal-sites/spfs/south-south-cooperation-and-japan/jp/ (※4)http://news.cnr.cn/dj/20220620/t20220620_525874537.shtml (※5)https://szb.farmer.com.cn/2022/20220621/20220621_002/20220621_002_3.htm 《FA》
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