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「日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025」(2)【中国問題グローバル研究所】

2020/10/12 9:28 FISCO
*09:28JST 「日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025」(2)【中国問題グローバル研究所】 【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。 ◇以下、遠藤 誉所長の考察「米中どちらに軍配?WHO総会で習近平スピーチ、トランプ警告書簡(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。 ——— ◆中国工程院と軍事科学院との人的交流と情報交換 2017年9月、中国人民解放軍・軍事科学院はその傘下に国防工程研究院を新設した(※2)。軍事科学院は中央軍事委員会および中国人民解放軍の管轄下にあるアカデミーである。 問題は、中国工程院と軍事科学院国防工程研究院の主要な研究員(教授)(中には院士)は、互いに人的交流が盛んで、中には兼任している者もいることだ。その結果、研究成果に関する情報交換も盛んとなっている。 ということは、日本学術会議が中国科学技術協会と連携しているなら、それは中国工程院と連携していることになり、最終的には軍事科学院・国防工程研究院と提携していることにつながるということである。 日本の一部のメディア(あるいは国会議員)は、中国工程院が国防部の管轄下にあるなどと書いていたり発言したりしているのを散見するが、それは間違いだ。 国防部というのは国務院の中の中央行政の一つに過ぎず、ほとんど力を持っていない。そんな末端の管轄下にあるのではなくて、中国工程院は国務院直轄だし、軍事科学院は中央軍事委員会の直轄下にある。そのトップにいるのは習近平・中央軍事委員会主席である。 ◆日本学術会議と中国科学技術協会との人的交流 自民党の某国会議員の発言(ツイッター)に、日本学術会議は中国の「千人計画」とタイアップしているようなことが書いてあったが、日本学術会議のHPを見る限り、そういうことは書いていない。中国には今「千人計画」どころか「万人計画」もあるので、そのような細かなことを突っついて「どこに書いてあるんですか?」という反撃材料を提供するのは賢明ではないだろう。 それよりも冒頭に例示した「その他の二国間交流」(※3)の中の「中国科学技術協会との協力覚書署名式」の説明文の下にあるPDF(※4)をクリックして頂くと、そこに概ね以下のような文言がある。 ——両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う。 すなわち「日本学術会議と中国科学技術協会」は「必要に応じて推薦された研究者を受け入れる」ことが可能なように作られている。 そして2013年3月15日の提携書で、中国工程院もまた、中国科学技術協会と「科学技術サービス・人材育成などの面で提携を深化する」と謳っているのだ。 ◆日本学術会議は政府から独立した機関なのか? 日本学術会議は菅総理による任命拒否に対して「学問の自由が侵された」と主張しているようだが、日本学術会議は日本政府が毎年10億円以上の経費を注ぎ込んで運営されている機関だ。会員が自腹で会費を支払って成り立っている「政府とはいかなる関係もない、独立した学会」とは違う。国民の税金で「食わせてもらっている組織」ではないのだろうか? もちろん学問の自由は絶対に保障されなければならないし、発言の自由も民主主義国家の大原則として保障されていなければならない。 しかし、国民の税金で生きている以上、一定程度の日本政府による監督権は働くのが自然ではないのだろうか。つまり「日本国民による監督」が必要だということだ。 国民がいちいち「私たちの税金が正しく使われているか否か」を直接監督する訳にはいかないので、選挙で選ばれた国会議員に委託する以外にない。任命権が総理にあるとすれば、ある意味、総理に委任するしかないことになる。 だからこそ、菅総理や内閣関係者は、「総合的俯瞰的に判断した結果」などという「禅問答」のような訳の分からない弁明をせずに、むしろ明確に「国民の誰にでも分かる言葉」で毅然として説明すべきだろう。 そうすれば、むしろ、日本学術会議の在り方を根本から考え直すことができる。その意味では菅総理は、国民に「考える」ための良いチャンスを与えてくれたという解釈もできよう。 日本人の多くは、自民党の二階幹事長を筆頭として、中国の「シャープパワー」にやられてしまっており、魔法をかけられているので、自分が「中国の操り人形」になっていることさえ自覚できないでいる。 日本国民よ、「現実を直視しようではないか」と言いたい。 知識層も、高い思考力を持っているはずなので、どうか中国の老獪な戦略とシャープパワーに気が付いて欲しいと切望する。 (本論はYahooニュース個人からの転載である) 写真:日本学術会議(写真:西村尚己/アフロ) ※1:https://grici.or.jp/ ※2:https://baike.baidu.com/item/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E5%86%9B%E5%86%9B%E4%BA%8B%E7%A7%91%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%9B%BD%E9%98%B2%E5%B7%A5%E7%A8%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E9%99%A2/22117080?fr=aladdin ※3:http://www.scj.go.jp/ja/int/workshop/index.html ※4:http://www.scj.go.jp/ja/int/workshop/signed-mou.pdf 《RS》