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暗号資産(仮想通貨)の取引所が閉鎖する要因【フィスコ・暗号資産コラム】

2020/4/10 16:04 FISCO
*16:04JST 暗号資産(仮想通貨)の取引所が閉鎖する要因【フィスコ・暗号資産コラム】 2018年以降、ビットコイン(BTC)価格の低迷が続く中で国内外の暗号資産(仮想通貨)の取引所も数多く閉鎖された。閉鎖の要因はハッキングなどによる巨額損失や経営不振、規制の影響などそれぞれの企業によって様々だが、これらの要素は多くの取引所にとって今後も十分に閉鎖のきっかけとなり得る。ここでは過去のケースを振り返りながら取引所閉鎖の要因をまとめてみたい。 まず、黎明期といえる2014年から現在まで国内外に共通する取引所閉鎖の要因に、ハッキングや紛失などで巨額の資金を失ってしまい顧客補償の資金が不足して破産するというケースがある。2018年以降、数億~数百億円規模のハッキングに遭って破産したケースは日本、韓国、ニュージーランド、シンガポールなどで少なくとも10件以上は発生している。またカナダでは昨年、CEOが秘密鍵の情報を所持したまま亡くなったことで約200億円が引き出せなくなって破産した。 次に、特に2019年以降海外で目立つのが経営不振を理由とした閉鎖だ。各取引所の閉鎖理由は仮想通貨の流動性低下、市場価格の下落と共に、開発・運営資金の枯渇などが挙げられる。特に、仮想通貨の中でもとりわけ時価総額が小さく投機性が高いコイン(草コイン)を多く扱っていた取引所のLiquiやCoinExchange、CryptoBridge、TradeSatoshiなどは、2018年以降にICO(仮想通貨を新規発行して資金調達する方法、新規仮想通貨公開)が衰退するとともにあおりを受けて昨年から次々と閉鎖した。2020年以降は各国の規制当局がさらなるコンプラやセキュリティ対策の強化を要請すると予想されるため、資金調達できない取引所は厳しい状況となるだろう。今年に入ってから、仮想通貨の税制が変わったブラジルではすでに4つの取引所がコスト増加に対応できずに閉鎖している。 利用者保護を目的とした取り締まりによって取引所が閉鎖されるケースもある。例えばカナダでは「必ずリターンが出るなどと射幸心を煽る広告をしていた」ことが理由でふたつの取引所が当局に告発されて閉鎖している。国内でも、2018年に仮想通貨取引所が当局への登録必須となった時に登録の条件を満たせずに閉鎖した取引所も複数存在した。 また、特定の仮想通貨の運用や信用問題といったケースも想定される。中国ではFCoinという取引所が、独自発行していたコインの運用を巡って今年2月に経営破綻した。ユーザーの利用状況に応じて配布していた独自コインが、システムバグで本来の配当以上の量を配布してしまっており、当コインに設定していた価値(最大で約130億円相当)を顧客に補償することができなくなったというものだ。 国内では規制当局の要請で各取引所がセキュリティ対策や資金の保管体制の向上に取り組んでおり、かつ有事の際における顧客補償を確保するための体制整備が目下進められているところではあるが、海外の取引所を利用しているという場合や、多額の仮想通貨をひとつの取引所に置きっぱなしにして保管しているという場合には、資産の保管方法を見直してみても良いかもしれない。すぐに取引する分以外に一定期間において長期保管する予定である資産があったら、自身のウォレットでオフライン環境の下に管理するというのもひとつの方法だ。 《SI》