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坪田ラボ Research Memo(5):近視進行抑制デバイスは2026年春に臨床試験の結果を発表予定(2)

2024/7/26 14:05 FISCO
*14:05JST 坪田ラボ Research Memo(5):近視進行抑制デバイスは2026年春に臨床試験の結果を発表予定(2) ■パイプラインの動向 (3) TLG-005 坪田ラボ<4890>は2021年に住友ファーマと脳疾患(うつ病、軽度認知障害、パーキンソン病)を対象とした「バイオレット光を用いた治療法の開発」がテーマの共同研究契約を締結し、それぞれの疾患について特定臨床研究を実施した。2024年7月9日付で経過観察中の軽度認知症を除く2つの臨床研究に関する速報結果を発表しており、このうち、パーキンソン病については20例の患者を対象に実施し、主要評価項目である安全性に問題はなかったこと、また副次評価項目である有効性についても、パーキンソン病症状の評価テスト※において照射前と12週間後で比較した結果、一部の症状において改善効果を示唆する結果が得られたことを発表した。住友ファーマでは今回の研究結果で事業価値の算定が困難と判断し、2024年5月に独占的実施権を解消したことを発表したが、同社は引き続き研究及び事業開発を進める方針を明らかにしている。 ※風景画像の中に人の顔や動物などの錯視が見えるかどうかを検査するテストで、幻視の代用尺度とする検査法。パーキンソン病患者において幻視の出現頻度が増加することが知られており、病状の把握や管理に役立つと期待されている。 一方、うつ病を対象とした臨床研究では大うつ病性障害と診断された患者70名を対象に、全症例で被験機器(バイオレット光照射)及び対照機器を用いた二重盲検比較試験を実施した。主要評価項目として機器の使用開始前から照射後までのMADRSスコア※の変化量に対して、被験機器を対照機器に対して有意な改善効果が確認され、安全性にも問題はなかったとの研究結果を発表した。この結果を受けて、同社は引き続き研究及び事業開発に取り組むことにしている。 ※うつ病の症状の評価に使用される一般的な尺度の1つで、臨床試験や臨床診療において、うつ病の重症度や治療効果を評価するために広く使用されている。 (4) TLM-001 ドライアイ治療薬として開発を進めているTLM-001は、2021年4月にマルホとグローバルでの実施許諾契約を締結しており、マルホにて現在臨床試験の準備が進められている。ドライアイは3層(油層、水層、ムチン層)からなる涙液層が不安定になり慢性疼痛を引き起こす疾患で、ストレスの多い現代社会において患者数が急増している眼疾患の1つである。3層のどの層が障害を受けても涙液層は不安定となる。最近は油層の影響によるものが増えているとされている。この油層を構成する油成分は瞼の縁にあるマイボーム腺という脂腺から分泌されるが、加齢や炎症によってこの脂線の機能が低下することでドライアイを引き起こすと考えられている。同社では、ビタミンD関連物質がこの機能を回復させることを動物実験及び臨床研究によって証明しており、現在ビタミンD関連物質を主体とした眼軟膏を開発している。マルホにて開発ステージが進めば、マイルストーン収入が得られ、上市されればロイヤリティ収入を獲得することになる。 (5) 新規パイプライン 2024年3月期より、新規パイプラインとして網膜色素変性症※を対象としたTLG-020、月経不順を対象としたTLG-021、眼疾患治療薬のTLM-018が加わった。 ※眼球の内側を覆っている網膜に異常をきたす遺伝性・進行性の希少疾患で、進行すれば失明するリスクもある。まだ有効な治療法が確立されておらず、日本では難病指定となっている。 このうち、TLG-020は慶應義塾大学医学部との共同研究により、バイオレット光による網膜色素変性症への新しい治療法の可能性を見出したもので、「網膜色素変性症に対する革新的医療機器の開発」が(公財)東京都中小企業振興公社より、令和5年度TOKYO戦略的イノベーション促進事業における助成事業として採択されたことを2024年3月に発表している(事業期間3年、助成金額80百万円)。同社では、助成金を活用して非臨床研究による有効性・安全性の検証とそれに基づくヒトへの特定臨床研究を進めていく計画となっている。バイオレット光により網膜色素変性症の進行を既存の対処療法と比較して有意に抑制することが証明されれば、国内外でライセンス契約が決まるものと期待される。 TLG-021は、「光照射による月経不順治療機器」が東京都中小企業振興公社による令和5年度女性のためのフェムテック開発支援・普及促進事業における助成事業として2024年3月に採択されたものとなる(事業期間2025年11月30日まで、助成金額20百万円)。同社は助成金を活用して新しい治療法での特定臨床研究を実施し、ヒトでの月経不順の有効性・安全性の確認を行うとともに、女性が生活のなかで用いやすいデザインの医療機器開発にも取り組む。バイオレット光の効果として、脳中枢を介してサーカディアンリズム※を改善する効果や、同改善によって月経不順の解消も期待される。 ※体内時計である約24時間周期のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ぶ。 TLM-018は、ロート製薬が2024年3月に実施許諾契約を締結した点眼薬候補品となる。どういった疾患が対象となるかは未公表となっており、今後開発が進展した段階で明らかとなる見通しだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SO》
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慶應義塾大学発のバイオベンチャー。近視、ドライアイ、老眼、脳疾患を中心に研究・開発を行う。開発パイプラインのパートナーにJINS、ロート製薬など。知財強化による既存パイプラインの価値最大化などに注力。 記:2024/08/19