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アンジェス Research Memo(5):NF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験結果は2026年頃に判明見通し

2024/1/15 13:05 FISCO
*13:05JST アンジェス Research Memo(5):NF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験結果は2026年頃に判明見通し ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向 2. NF-κBデコイオリゴDNA NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子となるタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBがゲノムの特定の配列領域(炎症を引き起こすゲノム)に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因となるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因となるタンパク質の生成を抑制する。 現在、慢性椎間板性腰痛症を対象とした臨床開発が進んでいる。患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を単回注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待されている。2021年4月に発表された米国での後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果によると安全性及び忍容性に問題はなく、また有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減したほか、腰痛の軽減期間も12ヶ月後まで継続したことが確認されるなどの効果が確認された。治験担当医師からも「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントが得られている。慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射が行われるケースが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたようだ。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。 同社はこの臨床試験結果を受け、国内で開発を進める方針を決定した。国内でも慢性椎間板性腰痛症患者は多く、事業化が可能と判断したためだ。2023年3月に塩野義製薬と第2相臨床試験に関する開発協力契約を締結し、開発費の一部拠出が実施され、同年10月に被験者※投与が開始された(予定症例数92例)。最初の2例で最大投与量となる20.0mgの安全性試験を行い、安全性及び忍容性が確認されれば、10mg群、20mg群、プラセボ群の3群(各30例)に分類して比較試験を実施する。20.0mg投与については、より高い効果が期待できる可能性があることから設定した。観察期間は12ヶ月間で、有効性評価については「痛み」の指標となるNRSスコアの変化を見る。17カ所の医療機関で実施し、順調に進めば2026年頃に臨床試験の結果が得られる見通し。良好な内容であればライセンスアウトする意向であるが、塩野義製薬と協議して決定する予定だ。 ※対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。 慢性椎間板性腰痛症で苦しむ患者は国内で167万人程度と推計されており、現在は内服・外用薬治療など対処療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者の受けるメリットも大きい。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、同臨床試験の結果が注目される。 早老症治療薬「ゾキンヴィ」は2024年早々にも承認取得の可能性 3. ゾキンヴィ 同社は2022年5月にアイガーと、希少遺伝性疾患で早老症とも呼ばれるHGPS及びPLを適応症とした治療薬「ゾキンヴィ」の国内独占販売契約を締結し、2023年3月にオーファン・ドラッグ指定※を受け、同年5月に製造販売承認申請を行った(米国での治験データを援用)。同社は、希少遺伝性疾患であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム(R)」の独占販売契約を米BioMarin Pharmaceutical Inc.と2006年に締結し、販売してきた実績がある(契約解消に伴い2019年12月期第2四半期で販売終了)。当時は承認申請から約7ヶ月で承認を取得したことから、「ゾキンヴィ」も2024年の早い段階で承認取得し、順調に進めば2024年春頃に薬価収載され、販売開始となることが予想される。なお、契約一時金及び開発進捗に応じたマイルストーンとして最大150万米ドルをアイガーに支払う契約となっている。 ※オーファン・ドラッグは希少疾病用医薬品のことで、指定基準としては患者数が5万人未満と少なく、治療法が未だ確立されておらず代替する医薬品がないこと、または既にある治療薬と比較して非常に高い有効性または安全性が期待される医薬品であることなどが挙げられる。オーファン・ドラッグ指定を受けると、研究開発費用として助成金が交付されるほか、優先審査を受けることが可能となる。 HGPSはLMNA遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化※された異常タンパク質であるプロジェリンが生成されることによって発症する。また、PLはLMNAやZMPSTE24遺伝子の変異によりプロジェリンとは異なるファルネシル化タンパク質を生成し老化を促進する。「ゾキンヴィ」はHGPSやPLの小児及び若年成人において、核膜と強固な結合を形成するファルネシル化した欠陥タンパク質(細胞の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する作用を持つ。臨床試験ではHGPS患者の死亡率を60%減少、平均生存期間を2.5年延長できた。また、安全性についても多くのPL患者が10年以上にわたって「ゾキンヴィ」治療を継続しており、副作用も嘔吐や下痢、悪心等その大半が軽度または中等度のものである。2020年11月に米国、2022年7月に欧州で相次いで販売承認されたことから、国内でも承認される可能性は高い。 ※タンパク質に行われる修飾の一種。ファルネシル化により、タンパク質の末端には疎水性のプレニル基が結合する。末端が疎水性になったタンパク質は、その疎水性の部分を細胞膜内に挿入するため、タンパク質は細胞膜(細胞の内側)につなぎ留められる。つまり、ファルネシル化されたタンパク質は、細胞の内側の細胞膜上に存在するようになる。 売上規模に関しては薬価や投与患者数次第(患者数は国内で10人未満)となるが、米国での販売価格(年間1億円強)を参考にすれば「ナグラザイム(R)」と同等かやや上回る規模になると見られる(「ナグラザイム(R)」のピーク時売上高は2018年12月期382百万円)。また、将来的には「ゾキンヴィ」の作用機序で治療が期待できる遺伝性疾患の研究も進める意向である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05