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三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」、「中期経営計画2024」を推進(2)

2023/7/3 13:08 FISCO
*13:08JST 三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」、「中期経営計画2024」を推進(2) ■三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略 3. 基本戦略(2):アジア事業の成長力強化 アジア事業の生産・販売体制を再構築しシェアを獲得することで、日米欧に次ぐ第4の柱としての基盤を構築する。アジアについては、生産、販売、管理、全てにおいて、未だ事業基盤が脆弱であり、それら全てを強化する必要がある。そこで第1に、設備増強による生産能力の大幅アップを図る。生産設備については、中国の常熟工場が稼動を始めたことで、今後ビジネス計画に沿って拡大する予定だ。また、中国以外にもベトナム、台湾、インドネシアの各拠点で生産設備の刷新に着手しており、これを着実に実行することで、コスト、品質面で優れた製品を製造、提供する。2024年3月期には三和NF常熟が新規連結し、業績貢献を始める見通しであるが、しっかりと軌道に乗せることが最優先課題だ。 第2に、販売体制の見直しと多品種化への対応を図る。アジアについては販売体制にも不十分な点があり、中国では販売体制を再編して、販売力の強化に取り組む計画だ。また、防火、遮熱市場では品揃えを増やして売上拡大を目指す。2024年3月期には香港AUB社を新規連結する予定で、既存の香港の会社とのシナジーを期待する。第3に、事業体制の基盤強化を図る。管理体制のシステム化や人材育成を、各社単位ではなくアジア全体で行う計画である。以上の取り組みにより、アジア事業の営業利益は、2023年3月期の2.6億円から、2024年3月期は5.0億円に増加する予想で、最終年度の目標8.0億円に向けて着実に拡大する計画だ。 4. 基本戦略(3):防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進 気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。第1の、防災・環境対応製品の拡充については、同社が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、昨今、環境がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む考えだ。2025年3月期までに防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の売上高を2022年3月期実績1,545億円から2025年3月期目標1,950億円と約405億円の増加、年平均8.1%の成長を目指す。この分野を今後の成長分野と捉えて、伸ばす計画だ。売上高は2023年3月期実績1,710億円(連結売上高比29.1%)、2024年3月期予想1,800億円(同31.0%)と、中期経営計画の目標1,950億円(同33.7%)に向けて順調に推移している。 第2に、製品・サービスのスマート化を推進する。IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米国などでは進んでいるのに対し、国内ではこれからの状況であり、グループ全体で取り組む考えである。既にIoTは様々なラインナップを準備している。 5. 基本戦略(4):デジタル化とものづくり革新 業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。第1のデジタル化の推進では、日本では、設備を刷新し、社内の各種業務のデジタル化やアプリを利用した業務システムの効率化を図る。米州では、ERP(企業資源計画)による生産性改善を目指す。欧州では、物流を強化するために、社内プロセスのさらなるデジタル化に取り組む。アジアでは、ERPによる業務プロセス改善を推進する。今後3年間で、設備投資に340億円、IT投資に120億円、合計460億円と、前中期経営計画から200億円増額することで結果を出す計画だ。設備投資額の2023年3月期実績は100億円、2024年3月期予想も159億円と、やや計画を下回って推移しているが、引き続きIT投資、生産設備への投資を積極化し、能力の拡大や省力化を進める考えだ。 また、第2にものづくり革新では、日本では設備の自動化やロボット等を活用し、施工生産性を改善する。日本では、今後はドアが伸びる見通しであり、能力の増強にも努める計画だ。取り組みを本格化することで、ドアの供給体制の強化を図る。米州では、地域全体での製造体制の最適化が課題である。引き続き自動化投資を行い、生産ラインナップの最適化に取り組む計画だ。欧州では、ビジネスやエリアの拡大に合わせて、製造・物流を強化する。特に産業用ドア等を中心に、産業製品の能力増強に取り組む方針だ。中国では、計画通り2023年3月期に常熟工場を設立稼働させており、生産設備の最新鋭化により生産能力拡大を図る。 6. 基本戦略(5):サステナビリティ経営の推進 サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字)を推進し、社会からより信頼される企業を目指して様々な施策に取り組んでいる。三和シヤッター工業では、2030年のCO2排出量を2019年度比で30%削減するという定量目標を掲げていたが、環境対策に対する世の中の速い動きに合わせて、2050年には事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにする新たな目標を追加した。また、ESGマテリアリティ(ESGに関する重要課題)を刷新して、ものづくり、環境、人の3つの枠組みでESGを推進しているが、実効性を高めるために、11個のマテリアリティに紐づいたKPI(重要業績評価指標)を設けて取り組むこととした。こうした施策により“サステナブルで住み続けられるまちの実現”を目指している。 初年度の2023年3月期は、CO2排出量の第三者検証を実施し、また女性の社外取締役の選任を行うなど、KPIに従って予定通り進捗している。2024年3月期も、気候変動を緩和する商品を順次拡大する計画だ。また、これまでは国内の三和シヤッターを中心に環境データの開示を行ってきたが、グローバルに展開する企業として、欧米、アジアについても実績の把握、あるいは目標の設定に取り組む考えだ。 近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、「S&P/JPXカーボン・エフィシエント指数」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。また、CDP2022気候変動「B」評価、第4回日経SDGs経営調査★3.5など、数々の賞も受けている。このようなサステナビリティへの外部評価の高まりは、同社株への投資家層の関心や評価をさらに高めることになるだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《SI》
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総合建材メーカー「三和シヤッター工業」が中核の持株会社。鋼製シャッター、スチールドア、軽量引き戸などで国内トップシェア。北米、欧州など海外でも事業展開。シャッター、ドア事業のシェア拡大などに注力。 記:2024/08/10