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マザーズ先物の活用方法 vol.2~上半期の振り返りと下半期の見通し~
2022/8/8 15:47
FISCO
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*15:47JST マザーズ先物の活用方法 vol.2~上半期の振り返りと下半期の見通し~ 以下は、2022年8月3日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「マザーズ先物の活用方法」である。フィスコアナリスト仲村幸浩と白幡玲美が対談形式で、2022年下半期の相場見通しと、東証グロース市場注目企業の業績動向についても解説している。4回に分けて配信する。 白幡:7月、8月分でアメリカのCPIの伸びが鈍化すると考える理由は何なのでしょうか。 仲村:一つ目はアメリカのサプライマネジメント協会が発表する製造業景気指数、いわゆるISM製造業景気指数です。この指数を構成する項目に「入荷遅延」と「価格」がありますが、世界的なサプライチェーンの混乱で物流網が逼迫するなか、これらの項目は長い間、拡大と縮小の境界値である50を大幅に上回る状態が続いていました。しかし、これらは依然として50を上回っているとはいえ、足元では大きく低下していることが確認できます。 2つ目に、コンテナ運賃の沈静化が挙げられます。物流網の混乱から世界的に海運市況も逼迫し、コンテナ船の運賃が急騰していました。しかし、北米を結ぶ主要8つのコンテナ航路の運賃を示す総合指数(WCI:World Container Index)を見ると、こちらも足元では昨年からのピークアウト感がより明確になってきています。 そして、3つ目に、ウクライナ戦争を契機に一層深刻化した世界的なエネルギー・食料品の価格高騰にも沈静化の兆しが見られはじめていることが挙げられます。FRBの積極的な金融引き締めが需要を大きく抑制し、需給の逼迫が和らぐとの見方から、足元では価格が急騰していたアルミニウムやニッケルといった非鉄金属から、銅、原油、穀物などの商品市況が大きく下落しています。先ほどお見せしたCRB指数も、よく見ると、足元では下落傾向に転じてきていることが見て取れます。右側のグラフは指数を前年比に変換したものですが、こうすると、よりピークアウト感が明確になっていることが分かります。 ※CRB指数チャート参照 白幡:なるほど、年後半はようやく希望が見えてきそうということで、投資家には嬉しい話ですね。ただ、相場には「絶対」はありませんし、何かリスクはないのでしょうか。 仲村:そうですね。やはり、インフレが思ったような形でピークアウトしないというリスクはあります。例えば、原油先物価格。景気後退入りに伴う需要の鈍化を見越して、足元では価格が下落してきていますが、再び上昇に転じる可能性があります。もともと原油だけは他のコモディティと異なり、構造的に深刻な供給不足の問題を抱えているからです。 世界的に「脱炭素」や「ESG」といった機運が高まるなか、石油業界ではここ数年、新規の設備投資が抑えられてきました。まず、こうした背景が構造的な供給不足を生み出しています。また、6月に開催された石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の主要産油国で構成される「OPECプラス」では増産幅の拡大が決定されましたが、ここで決まった増産幅は供給不足を解消するには“焼け石に水”程度のものです。さらに、現状、増産はサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の2カ国に依存しており、その他のリビアやナイジェリアなど多くのOPECプラス加盟国は生産設備のキャパシティーの問題や政治上の問題から、むしろ、生産計画の未達が目立っています。このため、景気後退による需要の鈍化が供給不足を解消するに至らないことがクローズアップされてくれば、原油先物価格が再び上昇し、ガソリンなど消費者の身の周りのモノの価格が高止まりするリスクがあるといえます。 ※原油先物チャート参照 白幡:需要サイドと供給サイドのシーソーゲームといった感じで、緊張感のある状態が今後も続きそうですね。インフレが沈静化しない要因は他に何がありますか。 仲村:もう一つはアメリカのCPIの構成項目のなかで3分の1と最大の割合を占める住居費です。帰属家賃などで構成されるこの項目は住宅ローン金利や住宅価格に遅れて動く傾向があります。先ほど申し上げたように、アメリカでは年始から金利が全般大きく上昇してきており、住宅ローン金利も急上昇しました。30年物の住宅ローン固定金利は昨年末から今年6月までの間に一時87%も上昇しました。 白幡:たった6カ月の間に2倍近くも上昇するなんて、住宅購入を検討していたアメリカの消費者からしたら、たまったものではありませんね。 仲村:はい。実際、住宅ローン金利の上昇が効く形で、6月下旬に発表された4月分の指標からは、上昇が続いていた住宅価格にも減速の兆しが見られはじめました。しかし、帰属家賃などから構成されるCPIの住居費は住宅価格の指標から約1年程遅れて動く傾向があり、CPIの最大構成項目である住居費が減速するには来年前半まで待つ必要がありそうです。この間に、ガソリンなどの他の生活必需品の価格が大きく減速をしてくれれば、CPI全体では伸びの鈍化が期待できますが、そうならなければ、遅行性のある住居費の上昇と相まってCPIの高止まりが長期化するリスクがあるといえます。 白幡:そうなってくると、尚の事、エネルギー価格に減速してもらわないといけないわけですね。なるほど、仲村さん、ここまでの相場の振り返りと見通しについて解説してくださいましてありがとうございました。動画後半では「マザーズ先物の活用方法と東証グロース市場の注目企業の業績動向」についてお話していただきます。仲村さん、引き続きよろしくお願いいたします。 仲村: はい、よろしくお願いいたします。 —【マザーズ先物の活用方法】〜2022年下半期の相場見通しと、東証グロース市場注目企業の業績動向〜vol.3〜に続く— 《NH》
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