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巴川紙 Research Memo(3):機能紙事業は洋紙関連、塗工紙関連、機能紙関連の3つに大別

2022/3/22 16:03 FISCO
*16:03JST 巴川紙 Research Memo(3):機能紙事業は洋紙関連、塗工紙関連、機能紙関連の3つに大別 ■巴川製紙所<3878>の会社概要 (2) 機能紙事業 機能紙事業(旧 製紙・塗工紙関連事業)は祖業の電気絶縁紙を含む洋紙関連、磁気乗車券などを含む塗工紙関連、機能性シートを製品化した機能紙関連に大別される。同事業については継続的な洋紙事業の縮小のなかで、いかに構造改善を進め、収益の黒字化を達成するかという形で事業が推移してきた。同事業も、過去の設備投資推移では2007年3月期が最大で、金額としては1,601百万円と小さく、翌2008年3月期の1,109百万円を最後に、その後は2019年3月期の679百万円にとどまった。また業績推移においても、2007年3月期の売上高18,511百万円を最高に、2021年3月期は10,202百万円まで縮小、具体的な売上開示はないものの、既に洋紙事業は売上高比率で10%を下回る2,500百万円水準に達していると言う。ちなみに連結決算を開示し始めたころの1984年10月期では、売上高451億円の中で洋紙売上は170億円計上されており、さらに単独決算の1980年10月期では約200億円の売上があったもようで、ピーク時の1/8水準となっている。営業利益でも2007年3月期以降で黒字となったのは2012年3月期~2014年3月期の3期に過ぎず、製紙業界の継続的な市場縮小のなかで、装置産業である洋紙事業の構造改革は必ずしもスムーズに行われたとは言いにくい状況が続いてきた。 2021年3月期より既存事業の継続的な縮小を踏まえ、従来の製紙・塗工紙関連事業の名称を機能紙事業と改め、成長事業と位置付ける機能紙関連事業の拡大を目指すこととした。ただ、2021年3月期は売上高10,202百万円(前期比14.8%減)、営業損失370百万円(前期は216百万円の損失)と事業低迷が続いた。これは既存事業の縮小が続くなかでコロナ禍による影響もあり、急速な市場環境の悪化に見舞われたことによるものである。利益面では前期の抄紙機停機による固定費削減効果があったものの、需要の減少と生産調整による稼働率低下も影響し、損失が拡大した。さらに、需要が急速に減少している磁気乗車券などの塗工紙関連の収益性が大幅低下したことに伴い、減損損失244百万円(機械装置126百万円など)を特別損失に計上した。このようななか、同社は2022年3月末までに洋紙9号抄紙機の停機を行うことを表明し、さらなる固定費削減を推進することを示しつつ、一部の洋紙製品については商標権の譲渡なども行った。 製紙業界全体としては、紙需要がデジタル技術の発展による電子媒体の利便性向上でペーパーレスが進行、加えて環境意識も高まっている。一方、同社においては、創業以来産業向け洋紙のウエイトが高かったものの、社会インフラの整備が進んだなか、かつてのような需要の伸びを期待することは困難となり、構造的な洋紙需要の縮小トレンドが継続している。さらに製紙業界においては2010年ごろまでで一巡していた業界再編の動きが、需要減退を受けて構造改革という形で再度再編が起こる可能性もある。同社はこのような流れのなかで、様々な構造改革を進め、需要減退に対し適切なる処置を行ってきたものの、規模的な制約もあり、必ずしも計画どおりの改善が実行できたわけではなかった。 しかし2021年3月期は既に洋紙事業が全売上高の10%を下回る2,500百万円水準まで縮小、この減少分を補う形で機能紙などが増加しており、本来であればさらに大きな利益のダメージを受けていたところを、最低限の損失で回避できたとも言える。今回、追加で大型抄紙機の稼働休止を決め、設備面・人員面での構造改革が仕上がったなかで、今後、機能紙の拡大で同事業の再拡大が見込める準備が整ったと見られる。 近年は指紋認証カードや電子回路基盤内蔵カードなどにより事業拡大 (3) セキュリティメディア事業 セキュリティメディア事業は、2020年3月31日に昌栄印刷(株)及び同社子会社の日本カード(株)を連結子会社化したことから、2021年3月期より新たな事業としてセグメントも追加された。昌栄印刷は1918年設立の名門印刷会社で、1923年にわが国では民間で初めて紙幣を製造した会社として知られる。1973年には磁気ストライブ付き通帳を手掛けて、現在の金融機関オンラインシステムに大きく寄与した。事業内容は有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連事業を行う。また同社は日本で4社しかないVISA、Mastercard、JCBカードの製造・発行認定会社となっている。最近はキャッシュレスにも対応しており、指紋認証カードや電子回路基盤内蔵カードなどでの同社の機能紙も活用しつつ事業拡大を目指している。2021年3月期の売上高は4,475百万円、営業利益は318百万円となった。 iCas関連製品の開発がメイン (4) 新規開発事業 2020年4月の組織改革で生まれた新事業区分である。同社グループの方針として主にiCas関連製品の開発と販売を進めるなかで、事業部に移管する前に新製品が上市されたものなどが売上に計上される。初年度となる2021年3月期は売上高97百万円、営業損失350百万円となっているが、その性格上収益の改善を期待されるセグメントではない。iCasは同社の強みである「抄く(抄紙技術)」と「塗る(塗工技術)」に電気物性のノウハウを融合させ、熱・電気・電磁波をコントロールすることで電気電子機器・部品の故障・誤作動防止に貢献する製品群である。製品ブランド名「iCas」(アイキャス)は「Insulation」(絶縁)、「Conduction」(伝導)、「Absorption」(吸収)、「Sheet」(シート)の頭文字をつなぎ合わせたもので、2017年に統一ブランドとして創設した。製品群として8品目が具体化しており、潜在ユーザーにテストあるいは試作納入している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘) 《EY》
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1914年創業の高機能性材料メーカー。電気絶縁紙を初めて国産化。現在はトナーや半導体実装用テープ、光学フィルム、カード製造等を手掛ける。半導体製造装置向け新製品「フレキシブル面状ヒーター」は引き合い多い。 記:2024/06/25